Inter BEE 2026 幕張メッセ:11月18日(水)~20日(金) Inter BEE 2026 幕張メッセ:11月18日(水)~20日(金)

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Special 2026.11.06 UP

【INTER BEE MEDIA Biz】企画セッション「なぜ日本の映画館だけがコロナ禍から回復できたのか?」事前レポート

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世界の映画館は、いまもコロナ前の水準に戻りきっていない。そのなかで、日本の映画市場は2025年にコロナ禍前の過去3年間の平均を超える入場者数を記録した。日本の映画館はなぜ回復できたのか。「アニメが強いから」で片づけてよいのか。映画館という「場」に、いったい何が起きているのか。
この問いを、データと現場の両方から読み解くのが、InterBEE2026で11月18日に開催される「なぜ、日本の映画館だけがコロナ禍から回復できたのか?“推し活”の現場となった映画館」と題したセッションだ。
(Branc編集長 杉本穂高)

「アニメが売れている」という認識はどこまで正確か?

コロナ前の水準と比べた映画館の入場者数を見ると、日本以外の多くの国はおおむね6〜7割にとどまっている(2019年が特に好調な年だったため、比較にはコロナ前3年間の平均を使った)。日本の洋画の興収も、2019年と比べると約6割まで縮んだ。それでも日本の市場全体は回復した。何がその差を埋めたのか。
答えの一端は、2025年の数字に表れている。興収10億円を超えたアニメ映画は14本あり、合計は901億円、市場全体の32%にあたる。しかも14本すべてが、シリーズものや原作ものといった、すでに大きなファンダムを持つ「既存IP」の作品で、オリジナル作品は1本もなかった。この上乗せ分を差し引くと、日本の回復ぶりは海外とほとんど変わらなくなる。
そこで今回は、一つの仮説を出したい。映画館は「推しの晴れ舞台を見に行く場所」になったのではないか、というものだ。初日に観る、何度も観る、入場者特典を集める、SNSで共有する。こうした推し活的な消費行動が、映画館という場所にうまくはまった結果ではないか。
登壇するのは、Re entertainment CEOの中山淳雄氏と、アニメ文化ジャーナリストの渡辺由美子氏。モデレーターは筆者が務める。
中山氏には、推し活消費の実態をデータで示してもらう。たとえば『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』では、中山氏からリピーターの割合を試算を紹介してもらう。本作は、グッズへの引きの強さも際立っているという。深夜アニメ系の劇場アニメがグッズ展開や入場者特典とともにどう興行を伸ばしてきたのかの事例も含め、販促や体験の設計が興行とどう結びついているのかを語っていただく予定だ。
一報、渡辺氏は「推し活」というひとくくりの言葉に疑問を投げかける。「キャラクターなら何でも売れるわけではない」。特典を目当てに何度も足を運ぶファンもいれば、作品の質に惹かれて通うファンもいて、ニーズはまるで違う。「キャラクター人気」で思考を止めず、どこまで細かく分けて考えられるか。それがこのセッションの核になる。

地方の映画館で「育つ」応援上映

渡辺氏は長年、女性ファンの歴史を追いかけてきた。応援上映が全国で開催された時期には、北海道、金沢、新潟、関東近郊、静岡、名古屋、京都、大阪、福岡等、各地の映画館を観測し、時には現地の映画館で応援上映に参加し、自分の目で確かめてきた。
渡辺氏によれば、応援上映は「育つ」という。同じ作品の同じシーンでも、劇場ごとに、コールも取り出すグッズも違う。地方では、本編の前に流れる地元企業のCMで掛け声が飛ぶところから盛り上がる。行くたびに違う体験ができるから、ファンは各地へ遠征し、そこで交流が生まれ、さらにファンダムは拡大・深化していく。
渡辺氏が特に注目するのが、イオンシネマの取り組みだ。劇場ごとの裁量で番組編成を組み、メッセージボードのようなファン同士の交流の場をつくり、キャラクターの誕生日や出身地にちなんだ上映も企画する。
アニメ作品等の音楽ライブや舞台、コラボカフェ等、キャラクターがリアルに「降りてくる」場所は、これまでほとんどが東京に集中してきた。渡辺氏は、日本の大多数を占める「ライブ会場のない地域」で映画館がその役割を担い、ファンを全国に広げる「ハブ」になっていると見る。一方、大都市圏に劇場を構えるTOHOシネマズには、華やかな祝祭の場をつくる力がある。都市型と地方型、それぞれの映画館が持つ魅力を具体例とともに紹介してもらう。
また、web動画からファンダムを育てて配信公開し、ファンの反響から劇場公開した『超かぐや姫!』は、配信と劇場の共存モデルになるのか。そして、このモデルは持続可能なのか、海外にも通用するのか。この問いは、日本の作品を世界にどう広げるかというテーマにもつながっていく。
「なぜ、日本の映画館だけがコロナ禍から回復できたのか?“推し活”の現場となった映画館」(MB-181)は、11月18日(水)10時30分から11時30分まで、展示ホール7の特別企画オープンステージで開催予定。聴講は無料(事前登録制)。映画館やアニメ業界の方はもちろん、テレビや配信などでIPビジネスに関わる方に、映画館の「いま」を知ってもらえる60分にしたい。

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