Inter BEE 2025 幕張メッセ:11月19日(水)~21日(金)

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Special 2025.11.17 UP

【INTER BEE MEDIA Biz】企画セッション「音声プラットフォームが拓く近未来像~radiko・Spotify・NHK~」事前レポート

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左上・池田氏、左下・エリソン氏、右上・三好氏、右下・塚本氏

音声コンテンツ市場はいま、これまでにない熱を帯びつつある。15周年を迎えたradiko、NHKのらじるらじる、そして日本にすっかり定着したSpotifyをはじめとして、多彩な音声プラットフォームで賑わっている。動画の隆盛と並行して、”聴く”コンテンツを楽しむトレンドが盛り上がりつつあるのだ。12のセッションが詰まったINTER BEE MEDIA Bizのラストを飾るのが「音声プラットフォームが拓く近未来像」だ。radiko社長の池田卓生氏、NHKラジオ編成マネージャーの三好正人氏、そしてスポティファイジャパン代表トニー・エリソン氏がパネリストとして登壇。ワイズ・メディアの塚本幹夫氏がモデレーターとして議論を仕切る。本稿では先日リモートで行われた事前打合せの様子をレポートする。下打ち合わせのはずが思いの外、ホットな議論となった。
(メディアコンサルタント 境治)

音声プラットフォームは爆発寸前?成長への期待

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元フジテレビの塚本氏はラジオなど音声メディアは未経験なので、モデレーターを引き受けるにあたりかなり勉強したという。議論の前提として示した資料によると、日本の音声系コンテンツ市場は現在約9000億円規模で、コンテンツ市場全体の約7%を占めている。近年は微増傾向にあるものの、爆発的な成長には至っていない。
「音声プラットフォームで日本のユーザーに何が足りないのか、何があればこの市場がさらに拡大するのか」と塚本氏は問いかける。実際、状況としては爆発的に成長する一歩手前なのかもしれない。拡大のきっかけは何か、それがこのセッションを括る大きなテーマになりそうだ。

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スポティファイジャパンのトニー・エリソン氏は「トニーと呼んでください」と流ちょうな日本語で気さくに話す。「ポッドキャスト市場はもっと大きく成長できるはずです」と、日本における音声コンテンツの潜在性に言及。「ポッドキャストという名前は、iPodに配信されるコンテンツだからつきました。」とエリソン氏は説明。つまりポッドキャストは、iPodの時代から世界的に親しまれてきた音声配信のスタイルなのだ。「用語の意味が理解されていないのも、アーリーアダプター止まりになっている一因かもしれません。」とエリソン氏は続ける。逆に言えば、そこにある何らかのハードルを取り除くことが、音声プラットフォームの拡大の鍵かもしれない。

どのプラットフォームでも一番人気は、放送局のコンテンツ!

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radikoの池田氏は「もっと能動的に、リスナーが"耳の文化"を楽しめる環境を作っていきたい。」と熱く語る。「電車の中でも、イヤホンを耳に入れている人は多い。"耳の可処分時間"の奪い合いが始まっています。各プラットフォームがどう分析し次の手を打っているのかに非常に興味があります。」とセッションへの期待を述べた。エリソン氏によれば、Spotifyでは個人クリエイターによる人気番組も増える一方で、放送局提供のコンテンツも数多くランキング上位に入っているという。放送由来のコンテンツの親近感と信頼性が音声プラットフォーム内でも評価されている証左と言える。ここにも、今後の拡大の鍵がありそうだ。

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ビジネスとして市場拡大を目指すradikoやSpotifyに対し、NHKの三好氏は公共メディアとしての立場から「らじるらじる」の方針を話した。「業界全体が盛り上がることは、あまねく人々に情報を届けるというNHKの使命達成にも繋がります。その意味で、拡大路線という方向性はみなさんと一致しています。」今年10月の”必須業務化”によって音声コンテンツももっと広めることになったという。「この秋からポッドキャストにもさらに力を入れ始めたところです。今はまさに、何ができるかを模索している段階です。」より多くの人に届けたい思いは、他の事業者と同じだと言える。
当日のセッションでは「音声プラットフォームの現在」「近未来における展望」「将来のビジョン」という3つの時間軸で議論を展開することになった。音声プラットフォームの議論は、他のすべてのコンテンツ市場の今後と重なる点が多々ありそうだ。興味のある方は、Inter BEEへの来場者登録を済ませた上で、下のリンクで参加登録してほしい。ぜひ会場で議論をライブで体感していただきたい。

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