Inter BEE 2024 幕張メッセ:11月13日(水)~15日(金)

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Special 2022.05.31 UP

【Inter BEE CURATION】「サイトにインターネット広告が表示される仕組み」今さら聞けない!基本の『キ』

データ統合ソリューション【VR LINC】推進チーム VRダイジェスト+

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※INTER BEE CURATIONは様々なメディアとの提携により、Inter BEEボードメンバーが注目すべき記事をセレクトして転載するものです。本記事は、ビデオリサーチ社の協力により「VRダイジェストプラス」から転載しています。今更聞けないインターネット広告の仕組みの記事となっております。

「サイトにインターネット広告が表示される仕組み」今さら聞けない!基本の『キ』

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日々急速な進化を遂げるデジタルマーケティング業界。
皆さんも、毎日のように各社から発信されるニュースで最新情報をキャッチアップしたり、実務上デジタルマーケティングに関わることも多いかと思います。
このコーナーでは、皆さんがニュースや業務で触れるデジタルマーケティングに関する多くのサービスで頻繁に目にする・・・けれども、"基本"であるがゆえ、詳しく説明されることが少ない「単語」や「仕組み」について、初心者にもわかりやすく説明していきます。

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※本記事をご覧いただくにあたっては、事前に以下単語について理解を深めておくことをおススメします。
「サーバー(サーバ)とは?~今さら聞けない!基本の『キ』」
「タグとは?~今さら聞けない!基本の『キ』」

前段:そもそも、ウェブサイトがブラウザに表示される仕組みは・・・

Google ChromeやMicrosoft Edge、Firefoxなどの「ブラウザ」は、ウェブサイトをサクサク見ることが得意なアプリケーションです。
 皆さんが普段、企業のウェブサイトやGoogle、Yahoo! JAPANなどのポータルサイト等を閲覧する際には、ブラウザを使用することが多いでしょう。

 この「ブラウザ」は、HTMLやCSS、JavaScriptなどのプログラミング言語を読み込み、結果を表現することができます。
 プログラミング言語は一切ワカラナイ!という方も多いと思いますが、つまりは
ブラウザは、(そのブラウザが)理解可能な言語を使って表現された情報は、それを読み込んで結果として表現することができる」のだとお考え下さい。

 企業がウェブサイトを作る際には、一般的なブラウザが対応している言語を使ってウェブページを作ります。
たとえば、ビデオリサーチのホームページトップ(https://www.videor.co.jp/)は、HTMLという言語を使って以下のように作られています(一部抜粋)

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 世界共通語である英語で書かれてるので、HTMLという言語が分からない方にもなんとなく推察ができるかもしれません。
 たとえば、一番上に書いてある

<!DOCTYPE html>←これは、「このウェブページはHTMLという言語を使って書かれているよ」

2行目に書いてある 

<html lang="ja">←これは、「表示言語(Language)は日本語(Japanese)を使ってね」

といった形です。

<>←このかぎかっこでくくられた中身は「タグ」と呼ばれるブラウザへの"命令文"となっており、ブラウザがこの<>の中身を読み込むと、そこに書かれた"命令"を実行することでブラウザ上にビデオリサーチのウェブサイトが視覚的にわかりやすいよう表現されることができます。

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 「タグ」="命令文"に関する詳しい情報は、「タグとは?~今さら聞けない!基本の『キ』」をご参照ください。

 これら命令文の集まり(HTML言語等の言語で書かれたプログラム)が1ページ分まとまったものを「ソースコード」と呼びます。
他にも、ブラウザ上のタブに表示される企業ロゴのアイコンや画像、動画などは別途jpegやpng、MP4などでファイルとして用意され、これをまとめてその企業が管理するWEBサーバー(*1)に保管されています。

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*1 WEBサーバーのことを略して単に「サーバー」と呼ぶことのほうが多いです。また、他のサーバーも活用することもあります。サーバーについての詳細は「サーバーとは?~今さら聞けない!基本の『キ』」をご参照ください。

ここまで理解できればあと少し!
つまり、ウェブサイトが表示される仕組みはこうです。

ビデオリサーチのホームページを例に・・・

■ビデオリサーチのホームページの表示に必要な情報はサイトを運営する企業が管理するWEBサーバーに保管されており
■ビデオリサーチのホームページを見たい「りさ子さん」が現れ、該当URLにブラウザからアクセスしようとすると
■ブラウザから「御社のホームページ見せてください」というリクエスト(要求)がWEBサーバーに飛び、
■WEBサーバーは「OK、必要なセットをあげるよ」とレスポンス(返答)する
■ブラウザはWEBサーバーから必要セット一式を受け取り、
■そこに書いてある命令に沿って、ビデオリサーチのホームページを表現する
■結果、りさ子さんはブラウザに表示されたウェブページを閲覧し、楽しむことができるようになる

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アドサーバーと運用型広告

 さて、前章では「WEBサーバー」というものが登場しましたが、このうち、インターネット広告を表示させることに特化したものをアドサーバー」と呼びます。
広告=英語でAdvertising(アドバタイジング)なので、「Ad Server」、ということですね。

 たとえばテレビCMの場合、日本テレビ(4ch)でテレビを見ている場合は日本テレビ社が流すと決めたテレビCMしか流れませんし、テレビ朝日(5ch)でテレビを見ている場合はテレビ朝日社が流すと決めたテレビCMしか流れない・・・といったように、そのチャンネルで放送されるテレビCMはすべてそのテレビ局が管轄しています。

 新聞や雑誌についても同様で、読売新聞に掲載される広告は読売新聞社が決めたものしか載りませんし、週刊少年ジャンプに掲載される広告は集英社が決めたものしか載りません。
このような広告は、特定企業に事前に広告を出すことを"予約"した上で出稿することから「予約型広告(純広告)」と呼ばれます。
 ところが、インターネット広告はそうとは限りません。例えば、Yahoo! JAPANのウェブサイトにはヤフー社に事前の"予約"を取っていない広告が多数載りますし、価格.comのウェブサイトにはカカクコム社に事前の"予約"を取っていない広告が多数載っています。*2
 
 なぜ"予約"が要らないのでしょうか?ヤフー社やカカクコム社は、提携するインターネット広告配信事業社に自社サイトの"枠"を提供し、その"枠"にどんな広告を、誰が出すかは毎回オークションを行い、最も高い価格をつけた事業社の広告を掲載し、利益を得ているのです。

そしてインターネット広告配信事業社は、Yahoo! JAPANや価格.comのような人気サイトの枠を使って、そのサイトに訪問した相手にその都度最適な広告を配信することにより、効率的かつ効果的な広告リーチを目指しています。

 このような広告を「運用型広告」と呼び、この仕組みを実現するのに欠かせないのが「アドサーバー」なのです。*3

*2 広告出稿にあたっては、インターネット広告配信事業社等にて予約の有無に関わらず広告内容が法的・倫理的等の視点で問題ないかを確認する事前審査が行われることが一般的です。
*3 予約型のインターネット広告も存在し、これらにおいてもアドサーバーを使用することが多いです。

ウェブサイトにインターネット広告が表示される仕組みを解説!

 前章では、「アドサーバー」を用いることで、提携する他社が出す広告をサイト上に出すことができる・・・と説明しました。
 この仕組みを流れで説明すると、以下のようになります。
*オレンジの文章=追加箇所

■ビデオリサーチのホームページの表示に必要な情報はサイトを運営する企業が管理するWEBサーバーに保管されており
■そのウェブページに表示される広告は、提携する広告配信事業社が管理するアドサーバーに保管されている
■ビデオリサーチのホームページを見たい「りさ子さん」が現れ、該当URLにブラウザからアクセスしようとすると、
■ブラウザから「御社のホームページ見せてください」というリクエスト(要求)がWEBサーバーに飛び、
■WEBサーバーは「OK、必要なセットをあげるよ」とレスポンス(返答)する
■この際、WEBサーバーからアドサーバーに「広告ちょうだい」というリクエストが飛び、
■アドサーバーは広告の表示に必要な必要セット一式をWEBサーバーに渡している

■ブラウザはWEBサーバーから必要セット一式を受け取り、
■そこに書いてある命令に沿って、ビデオリサーチのホームページを表現する
■結果、りさ子さんはブラウザに表示されたウェブページを閲覧し、楽しむことができるようになる

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※実際にはビデオリサーチのホームページでは広告掲載は行っておりません。

ビデオリサーチのホームページはビデオリサーチ社が管理していますが、この例の場合、ビデオリサーチのホームページをりさ子さんのブラウザ上に表示させるにあたり、広告配信事業社Aという第三者も関わっているのが大きなポイントです。
その広告を誰が配信しているのかという情報は多くの場合、広告の端にリンクが付与され、りさ子さん自身が確認することが可能な状態となっています。

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サイトAの閲覧情報がサイトBで広告として表示されるのはなぜ?

この仕組みを活用した広告の1つが、「リターゲティング広告」です。
 昨日見ていた「ファッション通販X」のメンズネクタイに関する情報が、翌日ニュースサイトを閲覧しているときにも広告として表示された・・・といったシーンを、皆さんも1度は経験したことがあるのではないでしょうか。

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リターゲティング広告とは、「1回以上、該当サイトを訪れたことがある人にその会社の広告を配信する」ことを意味します。
これが実現できるのが、アドサーバーという第三者の存在です。
さきほどの流れに追加すると、以下のようなイメージとなります。

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 広告配信事業社Aのアドサーバーは、過去のりさ子さんのブラウザに付与した3rd party Cookieからウェブサイトの閲覧履歴を知り、「洗剤B」のウェブサイトを見ていたという事実を突き止めた結果、リターゲティング広告を配信したのです。

リターゲティング広告の仕組みについてさらに詳しく知りたい方、Cookieの仕組みについて詳しく知りたい方は以下をご参照ください。

リターゲティングの仕組み~今さら聞けない!基本の『キ』
Cookieとは?~今さら聞けない!基本の『キ』
1st party Cookieと3rd party Cookieの違い~今さら聞けない!基本の『キ』

 リターゲティング広告は、インターネット広告の中でも特に「購入」に繋がりやすい広告の1つと言われており、多くの企業が積極的に活用しています。
しかしながら、りさ子さんのような受け手となる一般生活者側から見ると、アドサーバーを管理する広告配信事業社Aのような存在自体を認識していないことが多く、「昨日見たウェブサイトの情報がなぜ他のウェブサイトを見ているときに表示されるのか?」と疑問に思ったり、追っかけられていると感じ不快に思う人もいることが事実です。

このような経緯から、米Apple社を皮切りに上記のような広告の仕組みを制限する流れが世の中的にも進みつつあります。

インターネット広告の配信には、その参入障壁の低さからスタートアップを含む多くの事業社が参画しており日進月歩で新しい仕組みや考え方が生まれています。また、スマートフォンの浸透によりGoogle社やApple社の方針も大きな影響を及ぼします。

デジタルマーケティング業界にお勤めの方は、日々の情報キャッチアップと、その情報が自社のビジネスにどう影響するのかを考えるクセを日ごろからつけておくようにするとよいでしょう。

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