Inter BEE 2022

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Special 2021.12.21 UP

【Inter BEE CURATION】アフターコロナ:誰がテレビスクリーンを制するのか~INTER BEE CONNECTED 企画セッションレポート(前編)

編集部 Screens

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※INTER BEE CURATIONは様々なメディアとの提携により、InterBEEボードメンバーが注目すべき記事をセレクトして転載するものです。本記事は、Screensに2021年12月17日に掲載された「アフターコロナ:誰がテレビスクリーンを制するのか~INTER BEE CONNECTED 企画セッションレポート(前編)」記事です。お読みください。

アフターコロナ:誰がテレビスクリーンを制するのか~INTER BEE CONNECTED 企画セッションレポート(前編)

日本随一の音と映像と通信のプロフェッショナル展「Inter BEE 2021」(主催:一般社団法人電子情報技術産業協会=JEITA)が、11月17~19日、リアル会場となる幕張メッセ(千葉)とオンライン会場の両立てで開催された。

今回は、放送・ネット・ビジネスの“CONNECT”がテーマとなっているイベントの目玉企画のひとつ「INTER BEE CONNECTED」のセッションより、企画セッション「アフターコロナ:誰がテレビスクリーンを制するのか」の模様を、前後編にわたりレポートする。前編では、国民生活時間調査とMCR/exという、2つの調査データから生活者のメディア接触の現状を探る。

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パネリストは、日本放送協会 放送文化研究所 世論調査部 研究員の渡辺洋子氏、株式会社電通 電通メディアイノベーションラボ メディアイノベーション研究部 主任研究員の森下真理子氏、株式会社AbemaTV ビジネスディベロップメント本部 本部長の山田陸氏、モデレーターは株式会社電通 電通メディアイノベーションラボ 統括責任者、電通総研 フェローの奥律哉氏が務めた。

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高齢になればテレビを見るのではない。世代ごとの持ち上がり効果~時系列データから見る生活行動、メディア利用の変化~

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渡辺洋子氏

日本放送協会(NHK)の渡辺氏が紹介したデータは、NHK放送文化研究所による「国民生活時間調査」。1995年から5年おきに行われる、日本人の実態を明らかにする規模の大きな調査によるものだ。

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まず、テレビ視聴の25年の変遷を振り返ると、「長い間、テレビ離れと言われていましたが、全体の視聴時間が減少し始めたのは、実は2015年からです」とデータを紹介。

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行為者率(1日に15分以上テレビを見た人の割合)に関しては、2005年から減少が始まり、2015年、2020年と下げが加速し、特に40代以下で大きく低下していることが分かる。

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この行為者率が下がった時のメディア流行を確認すると、2010年あたりから非常に多くのネット関連のサービスが増え、スマートフォンの登場とともにSNSが普及している。2015年にはAmazonプライム・ビデオやNetflixなどのサービスが日本で始まり、「さすがにこれだけの変化があると、テレビも影響を受けざるを得ないのでは」と指摘した。

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年層別のテレビ行為者率の推移では、世代という観点からグラフを斜めに見ると、ある気づきがあるのだと言う。

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60代、70歳以上は今でも20年前のテレビ視聴行動を維持している世代だが、30代、40代はこの10年で6割台に下がっている。この年代の人たちは、年を取ったからといってテレビを見るようになるということはなさそうだと読み取れる。世代ごとのメディア接触傾向は持ち上がるのだと分析した。

この点をモデレーターの奥氏は、「放送事業者にとって大切なのは、“高齢者はテレビを見るようになる”ことではありますが、今の若者世代はそうではないだろうと、このデータは示唆しています」と強調した。

続いて年層別のテレビ・インターネット・インターネット動画の行為者率の分析が行われた。

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ここでは20代や16~19歳といった年層では、テレビもインターネット動画も差がないところまで来ていることが示された。

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また食事とテレビ視聴の関係を比較するデータでは、国民全体のグラフが食事とテレビの時間帯が同じような山を示しているのは当然として、16~19歳でも、小さいながらも食事時間に同じく山ができ、逆にインターネット動画は減っている。

奥氏はこの状況を、「インターネット動画の視聴をいったん切って、リビングルームでそれなりにみんな集まってテレビを見ながら食事、ということが想像できます。このゴールデンタイムの状況をどう捉えて、番組編成を考えるのかは大事ではないでしょうか」と語った。

この他にも渡辺氏からは、仕事時間の減少、多様化するワークスタイル、家事や休息を重視する生活、といった生活の変化が起こっていると確認できるデータが紹介された。

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テレビ視聴は減少、ネット利用が増加のトレンドは変わらない~コロナ禍でのメディア接触動向~

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森下真理子氏

電通の森下氏からは、ビデオリサーチ社によるMCR/exデータが紹介された。これは一日を通しての生活行動やメディア接触行動を知ることができるもので、現在は6月と12月の年2回の調査が行われている。今回のセッションでは、特にコロナ禍でのメディア接触動向の変化に焦点を当てて調査データ(東京50km圏)が示された。

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まずコロナ禍が生活行動に与えた影響として、2020年6月には外出自粛のピークとなり、起床在宅時間は過去にない長い水準に達していたことが示された。そして1年後の2021年6月には減っているものの、まだ2019年に比べるとかなり長いということが分かった。

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自宅内での1日あたりメディア接触の経年変化を描いたグラフでは、テレビのリアルタイム視聴が減少していること、その反面でモバイルでのネット視聴が伸びていることが読み取れた。コロナ禍に入りテレビは一転増加に転じたが、2021年には元の減少トレンドに戻ったこと、モバイル経由のネット利用はもともと増加トレンドにあったものがコロナ禍でさらに伸びたことなどが説明された。

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森下氏は、「ネットはコロナ前と比べると、まだまだ勢いがあります。家の中でのメディア接触がどう変化していくかを考えるときの大きなポイントです。もう一つのポイントは、「テレビ動画」という、テレビ画面で観るネット動画の視聴時間です。4年ほど前から調査対象に加わりましたが、コロナ禍では非常に目立つ存在になってきています」と、大きな傾向の読み取り方を語った。

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1日を通しての自宅内映像メディア接触率の最新データからは、「男女12~19歳のグラフを見るとテレビは朝と夜に視聴されていますが、日中や深夜にはモバイル(スマホ、携帯・PHS)での動画視聴がテレビを超えています」などと分析した。

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奥氏はこの分析を受け、「ぜひ放送事業者の方に見ていただきたい。視聴率だけで判断すると、時間帯によってはスマートフォンでの動画視聴がテレビよりも多いということは分かりません。この若い方たちが、今後年を重ねればどういう動き方をするのかを考えなければいけない」と訴えた。

後編では、本セッションの後半部分、コネクテッドTV利用の現状についての調査と、ABEMAの事例についてレポートする。

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