Inter BEE 2022

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Special 2021.12.16 UP

【Inter BEE CURATION】テレビは変わった!テレビはどうする?~INTER BEE CONNECTED 企画セッションレポート

編集部 Screens

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※INTER BEE CURATIONは様々なメディアとの提携により、InterBEEボードメンバーが注目すべき記事をセレクトして転載するものです。本記事は、Screensに2021年12月15日に掲載された「テレビは変わった!テレビはどうする?~INTER BEE CONNECTED 企画セッションレポート」記事です。お読みください。

テレビは変わった!テレビはどうする?~INTER BEE CONNECTED 企画セッションレポート

日本随一の音と映像と通信のプロフェッショナル展「Inter BEE 2021」(主催:一般社団法人電子情報技術産業協会=JEITA)が、11月17~19日、リアル会場となる幕張メッセ(千葉)とオンライン会場の両立てで開催された。

今回は、放送・ネット・ビジネスの“CONNECT”がテーマとなっているイベントの目玉企画のひとつ「INTER BEE CONNECRED」のセッションより、企画セッション「テレビは変わった!テレビはどうする?」の模様をレポートする。

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本セッションではテレビ番組の作り手を招き、「テレビ視聴と企業の変化にテレビ番組はどう対応するか」というテーマでプレゼンと議論が行われた。「放送一辺倒だったテレビのビジネスは、さまざまなチャネルで多様な収益モデルを構築する必要がある」という提言に関し、新しいモデル構築を試みる作り手はどう答えたのか。

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パネリストは、株式会社テレビ東京『シナぷしゅ』プロデューサーの飯田佳奈子氏、名古屋テレビ放送株式会社 ハピキャン事業マネージャーの大西真裕氏、北海道テレビ放送株式会社 コンテンツ事業局 クリエイティブフェロー/エグゼクティブディレクターの藤村忠寿氏。 メディアコンサルタントの境治氏がモデレーターを務めた。

テレビを超え世界共通言語になることを目指す、民放初の赤ちゃん向け番組『シナぷしゅ』

セッションはまず、モデレーターの境氏が「コロナ禍でテレビ受像機は『モニター化』している」ことから、「テレビ番組の事業はポートフォリオ的に捉えていかなくてはならない」という提言を行った。そして鍵となるのは「ファンを育てること」であると言う。今回パネリストとして登場したのは、いずれもこれらのことを実践してきた作り手たちだ。

最初にプレゼンしたのは、テレビ東京で0~2歳児をターゲットにした、民放初の赤ちゃん向け番組として昨年4月に始まった『シナぷしゅ』(毎週月曜~金曜あさ7:35~8:00、テレビ東京系列6局ネット)の統括プロデューサー・飯田佳奈子氏。

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株式会社テレビ東京 飯田佳奈子氏

赤ちゃんの集中力は短時間しか保たないので、基本的には毎日短尺の約10コーナーを放送している。育児にコンテンツを活用したいという需要があると考え、安心して観てもらえるように、内容の裏付けとして東京大学赤ちゃんラボの監修を付けているのだという。

特徴的なのは、「すべての権利を『シナぷしゅ』で保有していること」で、フットワーク軽く二次利用展開ができること。放送直後、配信の形でYouTubeにすべてのコンテンツを上げ、さまざまなニーズに合わせて観てもらえる形になっている。チャンネル登録者数は13万人を超え、ニーズに合わせたまとめ配信も含めてコンテンツ数は約450本に達している。

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『シナぷしゅ』YouTubeチャンネル

SNSも積極的に活用。Instagramのフォロワー数は約26,800人、Twitterは約15,900人にまで増えており、何よりセッション参加者を驚かせたのが、これらの運用を飯田氏一人で、ファンの方々と密にコミュニケーションを取っているということ。「数が増えて大変になってきました」と笑いながらも、「ファンとつながり続けることで、常に番組が時代感を捉えた作りになる」と説明した。

また飯田氏は、IP(Intellectual Properties:知的財産権)ビジネスの展開を目指しており、「非常に社会的意義がある番組だと思っていますので、存続のためにしっかりと(収益の)柱を立てていかなくてはならない」と語る。番組コンテンツの商品化・書籍化、楽曲のサブスク配信、海外展開などにも取り組み、GUとのコラボレーションでは商品だけではなく、コンテンツ制作やインフォマーシャル制作と放映といた多方面展開を実現していることも紹介された。

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【関連記事】テレビ東京、赤ちゃん番組『シナぷしゅ』が「GU baby」とコラボ

「IPが主体となって事業全体を俯瞰して統括し、同時にファンの方とも積極的に言葉をかわして横のつながりを広げていき、『シナぷしゅ』という言葉がテレビの枠を超えて世界共通言語になるのが目指す未来です」と熱く語った。

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「テレビ番組はひとつのコンテンツ」。Webメディア『ハピキャン』制作への想い

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名古屋テレビ放送株式会社 大西真裕氏

続いてプレゼンを行ったのは、『ハピキャン』事業マネージャーの大西真裕氏。『ハピキャン』とは、Web・動画コンテンツ・地上波放送を組み合わせた複合型アウトドア情報発信メディアで、アウトドア体験の「きっかけを生む」コンテンツを届けることが目的だと言う。

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Webメディア『ハピキャン』

Webメディア『ハピキャン』を中心として、地上波番組『おぎやはぎのハピキャン』(メ~テレ毎週木曜深夜0:15~)、YouTubeチャンネル『ハピキャンチャンネル』が軸となり、さまざまなメディアでコンテンツを展開している。現在の媒体規模は、Webメディア月間閲覧数579万PV、動画メディアでは配信実績が300万Views、YouTube番組登録者数が213,000人となっている。

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大西氏は、「地上波番組はコンテンツのひとつ」としながらも、同番組は愛知・岐阜・三重の東海3県以外にも全国24局33都道府県で地上波放送(番販)を行っている。またGunosy(グノシー)やSmartNewsなど多くの媒体に『ハピキャン』の記事が流れるように連携し、番組制作におけるキャンプ関連企業とのタイアップにも積極的だ。

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このような多方面への展開について、「デジタルシフトでテレビの外に広告費が流れるという危惧がありましたが、そのシフトしている先のデジタルを作ればいい」という単純な発想からだと大西氏は言う。

テレビ局としてのメ~テレが『ハピキャン』に取り組む意義は、テレビ広告だけではなくデジタル広告も売れること、エリア外の日本全国・世界中に届けられることなどがあるとし、メディア制作の点でもテレビ番組で培った企画力と動画制作力を活用できるということが強みだと続けた。

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一方で大西氏のハピキャンにかける想いは、「生活者にアウトドアの良さを伝えたい」ということだという。もともと本人はアウトドア初心者だったが、「子供と一緒にキャンプに行きたい、カッコいい親父でありたい」という個人的な想いと共に、「初心者でも分かりやすく活用しやすい情報を発信したい、キャンプを単なるトレンドではなく文化として根付かせていきたい」といった熱い想いがあるのだ。

番組制作にかける制作者個人の強い想いがあれば面白い番組ができる

次に境氏は『水曜どうでしょう』でおなじみのHTB藤村忠寿氏の最近の活動(HTB開局50周年ドラマ『チャンネルはそのまま!』やYouTubeチャンネル『藤やんうれしーの水曜どうでそうTV』)を紹介。

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北海道テレビ放送株式会社 藤村忠寿氏

藤村氏はここで、『チャンネルはそのまま!』は北海道でのローカル放送を先行して流し、その後普通なら全国ネットに流すのだが、『水曜どうでしょう』も配信しているNetflixと契約し、全国で楽しんでもらえるようにしたという取り組みを説明した。その結果、「比べ物にならないくらいの収入」が得られたのだという。

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(あくまでも)個人のYouTubeチャンネル『藤やんうれしーの水曜どうでそうTV』も、タレントは出ていないのにチャンネル登録者数は40万人を超えている。この要因のひとつは、今でも延々と20年にわたりローカルで放送している『水曜どうでしょう』の再放送があるのだという。本放送(1996年~2002年)の6年間で見られなかった人が見ることで、「そのたびに新しいファンが増える」と言い、「視聴率がゼロになっても続けて欲しい」と語った。

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『藤やんうれしーの水曜どうでそうTV』YouTubeチャンネル

セッション終盤はこの話題からのクロストークになり、2人のプレゼンを聞いた藤村氏は、「テレビ制作で大事なのは、作り手個人の想いですよね。飯田さんも大西さんも、番組作りに対して大義名分を持っている。これはすごく大事なことですね」と感想を述べた。

境氏は「自分のやりたいことが2人の話には如実に表れています。『私が子育てを楽にしてあげたい』『自分がキャンプしたいと』。その想いが原点にないと、たぶんうまくいかないのかもしれない」と続けた。

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メディアコンサルタント 境治氏

このやり取りを受けて飯田氏は「制作者の想いがファンに安心感を与えることがあるのだと思います。このコンテンツなら付いていって、寄りかかっても大丈夫だとか。視聴者は視聴率で観る番組を決めているわけではないと思うので、その裏側にあるものが大事なのですかね」と言い、大西氏も「自分の子供に親父としてカッコいい親父になるために、ということも考えていて、一度体験してみると、キャンプの根幹にある自然に触れる体験などを広げて行きたいという想いが強まりました」と口を揃えた。

番組制作にかける想いやこれからの番組制作のあり方などについて活発な議論が続いた後、藤村氏はセッションを総評してこう振り返った。

「こういう考えを持っている方がいれば、テレビはまだまだ面白いだろうし、これだけのことができる力があるんですよ。ただ番組を作って数字だけを追うことを繰り返していたら、こういう発想は出てこないと思います。勉強になりました」

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最後に境氏は、「番組コンテンツ作りにいろいろヒントになる話がたくさんあったのではないかと思います」と締めてセッションは終了した。

なお、企画セッション「テレビは変わった!テレビはどうする?」は、12月17日(金)までアーカイブ配信されている。

「テレビは変わった!テレビはどうする?」アーカイブ配信中※12月17日(金)まで

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