Inter BEE 2022

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Special 2021.11.16 UP

UnityがWeta Digital買収の最終合意を発表

鍋 潤太郎 / Inter BEEニュースセンター

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SIGGRAPH2019の機器展におけるUnityブース

11月9日、Unity(本社:サンフランシスコ)が発表したところによると、Unityは現金と株式の組み合わせによる16億2,500万米ドルでWeta Digital(本社:ニュージーランド)のツールを取得するための買収の最終合意に達したと発表した。この買収は、2021年第4四半期中に完了する予定。

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SIGGRAPH2020の機器展におけるUnityブース

このニュースが配信されると、SNS上では「買収されたのはWeta Digitalの開発部門だけ」 「いや、”Weta Digitalが買収された”という記事があるが?」などの情報の錯綜や混乱が見られた。
そこで、今回の買収合意の内容を整理してみると、次のようになる:

Weta Digital 開発部門 → Unity傘下へ、Weta Digitalのブランド名は継続される
Weta Digital VFX部門 → 新会社WetaFXとして継続

つまり、Weta Digitalの開発部門+パイプライン+ツール郡はUnityに吸収される。Weta DigitalのVFX部門は、独立した新会社WetaFXとして継続され、引き続きピータージャクソン監督が同社の株式の過半数を所有し、CEOであるプレム・アッカラジュ(Prem Akkaraju)も続投する。
新会社WetaFXは、開発チームがUnityへ吸収された後も継続されるであろうコラボレーションにより、「Unityの最大の顧客」となる事が期待されているという。

さて、リアルタイム・テクノロジーとWeta Digitalで思い出すのが、今年のSIGGRAPH2021 Electronic Theaterでも注目を集めた短編アニメーション「Meerkat」が記憶に新しい。
この作品はUnreal Engineを駆使して制作され、同社がリアルタイム・テクノロジーに着目している姿勢を伺わせる1本であった。今回、Weta Digitalが「Meerkat」で使用したUnreal Engineではなく、敢えてUnityと手を結んだ事は、非常に興味深いと同時に意外でもある。

昨年12月中旬には、Weta Digitalがロサンゼルスとサンフランシスコに新しくオフィスをオープンする計画が浮上しているというニュースがハリウッドの各メディアによって報道され、そして今年6月にはAutodeskと次世代クラウドサービス WetaMの提携、8月にはSideFXとのクラウドサービスWetaH の提携などが相次いで発表されていた。これらが今回の買収によって、どのように影響を受けていくかが注目されている。

いずれにせよ、今後の同社のビジネス展開の動向からは、ますます目が離せない今日この頃である。

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Weta Digitalの代表作の1つ、映画「アリータ: バトル・エンジェル」(2019年2月、LA市内の映画館にて撮影)

11月9日、Unity(本社:サンフランシスコ)が発表したところによると、Unityは現金と株式の組み合わせによる16億2,500万米ドルでWeta Digital(本社:ニュージーランド)のツールを取得するための買収の最終合意に達したと発表した。この買収は、2021年第4四半期中に完了する予定。

Weta Digitalは高度な自社開発ツールを有し、将来的にこれらのワールドクラスのアーティストツールを、Unityからアクセス可能なクラウドベースのワークフローを通じて、世界中のアーティストが利用出来るようにする事を目指していくという。

今回の買収が完了すれば、UnityはWeta Digitalが持つ強大な開発力を取得する。
Unityが取得するのは、
・Weta Digitalの自社開発ツールとコア・パイプラインの設計及び構築を手掛けた275人のエンジニアから成る、ワールド・クラスの開発チームの人材。
・ Manuka、Gazebo、Barbershop、Lumberjack、Loki、Squid、Koru等に代表される、先駆的な自社開発ツール郡。
・Weta Digitalが蓄積し続けている、膨大なアセット・ライブラリ。

などが予定されており、Weta DigitalがUnityのクリエイティブ・ソリューションに参加する事で、『アバター』、『ロード・オブ・ザ・リング』、『ワンダーウーマン』などを制作したツールとテクノロジーを、将来的にUnityプラットフォームに統合する事で、次世代のリアルタイム3Dコンテンツの創造性を可能にしていく狙いだという。

Weta Digital:
ピーター・ジャクソン監督によってニュージーランドに設立されたVFXスタジオ。 設立はデジタル・ドメインと同じ1993年で、大手VFXスタジオの中では老舗の部類に入るが、設立後しばらくは無名の存在であった。ピーター・ジャクソン監督の『指輪物語』シリーズでアメリカ西海岸やヨーロッパから優秀な人材を集めて急成長し、ハリウッドのトップVFXスタジオにまで登り詰めた。Weta Digitalの特色の1つとして、強力な開発力がある。開発部門に人材と予算を投入し、優れた開発力によって他社では実現困難なハイエンドなVFXを実現し、クライアントであるハリウッドのメジャー・スタジオからの絶大なる信頼を獲得した。
現在ニュージーランドのウェリントンに拠点を置き、40カ国以上からアーティストが集まる大規模かつ著名なVFXスタジオである。これまでに34のVESアワードの受賞に加え、6つのアカデミー賞、13のアカデミー科学技術賞、6つの英国アカデミー賞を受賞。ゴラムやシーザーなどのパフォーマンス主導による画期的なアニメーション、そして中つ国からパンドラの世界に至るまで、高度なVFXを提供し続けている。

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第19回VESアワードにて生涯功労賞(Lifetime Achievement)を受賞、
普段着でコーヒーカップを片手に、
冗談を交えつつスピーチを行うピーター・ジャクソン監督
©VES/Visual Effects Society

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