Inter BEE 2020

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Special 2019.12.16 UP

【INTER BEE CONNECTED 2019セッションレポート】「WrapUpトーク~これまでの5年これからの5年~」〜テレビを見つめるメンバーが語る〜

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Inter BEEの特別企画であるCONNECTEDが5年目を迎えた節目に、今年は全12セッションを終えたところでラップアップトークセッションが開催された。CONNECTEDを企画プロデュースしてきた経験豊富なアドバイザリーボードメンバー全7名が登壇し、これまでの5年の総括と今後の5年の行方を占った。
(テレビ業界ジャーナリスト/長谷川朋子)

CONNECTED過去5年で70セッション、187人が登壇

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来場者数グラフ写真:CONNECTEDがスタートした2014年から来場者数の増加傾向が続いている

CONNECTEDのアドバイザリーボードメンバーとして登壇したのは、ワイズ・メディア取締役/フラー常勤監査役の塚本幹夫氏。NHK放送文化研究所研究主幹の村上圭子氏、電通ラジオテレビビジネスプロデュース局ビジネス戦略部長の布施川平氏、メディアコンサルタントの境治氏、毎日放送経営戦略室メディア戦略部長の齋藤浩史氏、テレビ朝日経営戦略部渉外担当部長の岩田淳氏、LivePark社長の安藤聖泰氏の計7名。塚本氏が進行役となって、まずは過去5年を振り返った。

2014年からスタートしたCONNECTEDでこれまで70企画(出展者セッションを除く)のセッションが行われ、187人が登壇した。放送の潮流に先手を打って問題提起する内容に好評を得て、今年の12セッションは全て満員。「これも放送やメディア、コンテンツの分野に対する皆さんの関心の高さを示したものと考えている」と塚本氏がコメントした。

各アドバイザリーボードメンバーからも総括が述べられた。

アドバイザリーボードメンバー5年目、SNSやオウンドメディアをテーマに企画担当する境氏:「5年前の頃はテレビを見ながらスマホをいじるといったことが純粋に面白く、視聴者とコミュニケーションを図りながら番組を盛り上げる話についてドラマ、バラエティーのプロデューサーらに登壇してもらった。変化を感じたのは今年のセッションだった。SNSの活用が視聴率獲得に結びつくかどうか、実際にどう役に立つのかといったフェーズに入った。マーケティングツールとして進化していることがわかった」。

アドバイザリーボードメンバー1年目、視聴データ担当の布瀬川氏:「テレビ広告、制作におけるデータ不足が業界内の課題にあったが、いよいよ利活用のパターンが絞られてきた。視聴データは使えるかもしれないと思っていたものが、使うしかない、使うためにどうすればいいのかというフェーズに入った」。

アドバイザリーボードメンバー6年目、ローカル局を中心にテレビの未来がテーマの斎藤氏:「ローカル局は東京より遅れて周辺領域を取り組んでいるが、確実に浸透してきていることを実感している。キングコング西野(亮廣)さんを迎えて、会場の模様をエムキャスで配信した2016年のセッションは、ローカル局も配信できるのではないか、というまさにそのタイミングだった。またここ数年は放送外ビジネスが地に足を着き始めたと思う」。

アドバイザリーボードメンバー6年目、地域や公共メディアがテーマの村上氏:「“パートナーシップ”をキーワードに、系列や地域を越えて、志ある人同士の繋がりが深まっていることを実感している。地域メディアに関してはケーブル、ローカル民放、NHK地域局はメディアごとに得意分野がある。地域の人たちに貢献できるサービスをどのように提供できるのか、東京とは違う動きがあるのではないか。それがテーマにある。公共メディアについては、”Society5.0”がテーマ。地方経済が疲弊していくなかで、地域ファーストの地域ビジネスを活性化させていくことも役割にある」。

アドバイザリーボードメンバー3年目、スポーツ、海外展開担当の岩田氏:「スポーツ企画は今年、WOWOW田中社長を招き、東京2020に向けた話を行った。注目されている話題であり、今後、取り組みが増えていく分野。またネットを通じて、さらに広がることを印象づけた。海外展開については今年、配信がテーマ。中国、アメリカ、日本の状況を解説した」。

アドバイザリーボードメンバー6年目、放送以外の切り口がテーマの安藤氏:「テレビ局は動画コンテンツ作っている会社でもある。自分たちの得意分野で収益化できるインターネット関連のチャレンジを紹介してきた。またテレビ局がネット企業と競争することの難しさも伝えることができていると思う。今年は周辺のメディア環境が変わっていることを認識し、何をすべきかを考える場になったと思う」。

最後にアドバイザリーボードメンバー6年目、配信がテーマの塚本氏が「これまで各局の配信担当者に登壇してもらい、Paravi、FOD、Huluといったテレビ局が中心のSOVDサービスを企画したが、今年はメディア戦略の話に切り替えた」と述べ、全体については「CONNECTEDの過去5年を振り返ると、放送コンテンツの変化の歴史がわかるのではないか」とまとめた。

生き残りのキーワードは「アップル」「今」「創立」「制作費」「ソーシャルファースト」

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続いて、5年後の2024年の放送・動画コンテンツの行方を予想し、議論を展開した。大喜利方式でアドバイザリーボードメンバーが回答していき、お題は「5年後、地上波テレビの広告費はいくらになっているか?」「5年後、ローカル局の再編は進むか?」「5年後、民放の常時同時配信は始まっているか?」「5年後、国内で生き残っているSVODは何か?」「5年後、テレビが生き残るために必要がキーワードは何か?」といったもの。

 地上波テレビの広告費についての回答を紹介すると、2014年に1兆8347億円、2018年に1兆7848億円(電通「日本の広告費」調べ)と下降傾向にはあるなか、5年先の広告費を「1兆5000億円」と予想する回答が最も多かった。例えば、布瀬川氏は「インタラクティブに提供していくことができれば、広告の単価も上がり、放送局由来のコンテンツは広告ビジネスとしての可能性はあるので1兆5000億円とした」と答え、斎藤氏は「1兆5000億円としたのは、テレビ広告は信頼感があるが、扱いにくい商材になっているから。ただし、ゆっくり反映して落ちたとしても、放送局由来は別のところで上がっていくことに期待したい」と、また安藤氏は「TVerなどで減ったリーチの補完を考えていけば、1兆5000億円に踏みとどまっているのではないか。テレビはメディア価値がある。インフォマーシャルなど努力できる余地はまだあるはずだ」と述べた。そして、最も低い数値を予想した村上氏は「1兆2000億円ぐらいになるかと思う。それぐらい厳しい状況だということ。配信でどれだけ頑張れるのか、テレビ由来コンテンツで盛り上げていけるのかが問われていく」と指摘した。

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「日本のコンテンツ産業の主軸として、放送局は産業全体を引っ張っていくべき。そこでキーワードを設けたい」という想いを伝えながら、塚本氏が各メンバーに回答を求めた「放送局が生き残るために必要なキーワード」について最後に紹介する。

安藤氏「キーワードはアップル。中国の深センで作られていてもブランドや信頼性で売れるアップル社からヒントを得て、テレビ局は結局、何が残るかを目指すべき」、岩田氏「キーワードは創立、内政。自前感を持つことが大事なのではないか」、斎藤氏「提供できる自分の価値を考え直す。存在価値はどこあるのか、それは何かを見極めて考え直し、それをベースに考えれば、生き残ることができる」、境氏「『今を映している、お前はただの現在に過ぎない』これはテレビマンユニオンの設立背景が書かれた本のタイトル。テレビはこれに尽きる。今、テレビは『今』から離れてしまっているが、これからはローカルでもケーブルでも、いろいろなところにそれぞれの『今』がある。自分たちが必要な『今』を出すべき。それに伴って広告費がついてくるはず」、布瀬川氏「キーワードは制作費。放送局は今後、モノを作るためのお金をどのように投資していくべきかを考えていくべき。広告会社の宿命として、制作費を回せるビジネスモデルの維持を検討していきたい」、村上氏「キーワードはソーシャルファースト。社会のために何ができるか。それを考えないと。公共ではなくなってしまう」と、それぞれの考え方を示し、この5年先も走り続けていく未来が描きながらラップアップトークセッションを終えた。

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