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映像制作/放送関連機材 2019.06.13 UP

【After NAB Show 2019】 アスク/ディストーム 新生NewTekの今後の展開とPremium Accessの新機能やNDI 4関連の最新情報を解説

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After NAB Showのアスク/ディストームのセッション 右端がフェルディナンド・ストアー氏

 After NAB Showのアスク/ディストームのセッションには、両社が取り扱うNewTekのアジア・パシフィック営業ディレクター、フェルディナンド・ストアー氏が登壇し、NewTekの動向のアップデートを解説した。

2019年5月、ノルウェーに本部を置くVizrtがNewTekを買収

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NewTekはVizrt傘下に入っても共通ビジョンを持って事業を継続して展開

 まず、2019年5月にNewTekがノルウェーに本部を置くVizrtに買収されたことを報告した。ストアー氏は「両社には、IPベースでソフトウェア駆動ライブプロダクション製品を提供しており、ビデオを使ってストーリーを伝える人にツールを提供する企業である共通点がある。一方でターゲットとする市場は、Vizrtは放送局などのトップエンド、NewTekはライブ配信など幅広い裾野を持つ。統合することで、競合することなく客層が拡がる」と説明した。さらに、NewTekに関しては、「ビジネスユニットとしてブランド名そのものが残る」(ストアー氏)として、従来と変わらず製品開発・提供を続けていくことをアピールした。

Premium Accessに3つの新機能を追加

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TriCasterの機能を拡張するサブスクリプションモデル「Premium Access」の新機能

 続いて、NABで発表された新製品と機能について説明した。「Premium Accessの新機能」「TriCaster TC410 Plus」「VMCソフトウェア」「Spark Plus」「NDI 4」の5項目である。
 Premium Accessは、TriCasterの機能を拡張するサブスクリプションモデル。新しく追加される機能として、以下の3つを紹介した。
(1)Microsoft Wordのコメント機能を使ってテレプロンプター機能を提供する「ライブ ストーリー クリエーター」
(2)ほぼ無制限のNDI(Network Device Interface)のビデオ/オーディオソースに対して、TriCasterのインターフェイスから直接操作して録画・録音できる「無制限のNDIレコーディング」
(3)縦型や正方形、複数画面など非標準のビデオ解像度をサポートする「デジタルメディアI/O」
 デジタルメディアI/Oは、スマートフォンやSNS向けの番組作成、デジタルサイネージのコンテンツ作成などに効果を発揮するという。これらの新機能は2019年6月に国内でリリースする。

 TriCaster TC410 Plusは、最大8系統の同時外部ビデオ入力、2系統の独立したSDIを備えるTriCasterシリーズの小規模モデル。エントリー製品となるTriCaster Miniの上位に位置する製品で、2019年4月に国内販売を開始したと説明があった。
 VMCソフトウェアは、データセンター内に設置して遠隔操作するために最適なソフトウェア製品として、サーバーまたはワークステーション上で動作する。サブスクリプションサービスとして2019年夏頃に提供を開始する。
 SparkPlusは手頃な価格のNDIポータブルコンバーターで、小型でカメラに装着できるサイズを実現した。4K 30fps対応と1080p 60fps対応の2モデルを用意し、5月末に発売する。

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新製品「TriCaster TC410 Plus」の位置づけ

mTCP への対応、直接録画への対応など、進化したNDI 4

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IPビデオテクノロジーの「NDI」の主な特徴

 NewTekのNDIのアップデートとしては、最新のNDI 4についての説明があった。「ビデオ業界は成熟した業界だが、他の業界がインターネットを使わざるを得なくなっている状況から、ビデオプロダクションもIPへの変化に対応を余儀なくされている。SDIからIPへの移行が始まっており、ソフトウエアベースのIPビデオテクノロジーであるNDIがさらに注目されるようになっている」(ストアー氏)。

 NDIの特徴として、双方向通信が可能なこと、DCT圧縮を利用するが圧縮解凍を繰り返してもクオリティロスが加算されないこと、解像度とフレームレートに依存しないことなどを挙げる。
 また、「SDKが無償でダウンロード可能。すでに1万2000社以上がダウンロード済みであり、NDIに対応する数千の製品がある」(ストアー氏)。ネットワーク上にNDI対応デバイスを追加するだけで認識され、これまでに700以上のデバイスを1つのネットワーク上で利用できた事例があるという。

NDIのままトランスコードせずにファイルとして直接保存可能に

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 NDI 4では、いくつかの新機能を提供する。
 「まずは、mTCP(Multi TCP)とUDPの選択ができるようになったこと。複数のNIC(ネットワークインターフェースカード)を効率良く使えるようになる。またディスカバリーサーバーの追加が可能になり、ネームサーバーを設定できるようになる」(ストアー氏)。

 「一番大きな変更点が、NDIのままトランスコードせずにファイルとして直接保存できるようになったことだ。これまでNDIのビデオは伝送だけで録画には使えなかった。今回からNDIのまま直接録画が可能になる。AdobePremierで使えるプラグインを無償配布する予定だ」(同)。

 さらに圧縮効率の改善、NDI|HXのドライバーが不要になるなどの改良点を挙げ、より使い勝手が高まったNDI 4の紹介を終えた。

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