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Event Report 2026.03.13 UP

【Hollywood Report】第24回 VES アワード授賞式レポート

鍋 潤太郎 / Inter BEEニュースセンター

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画像:VESアワード受賞式にて (筆者撮影)

ハリウッドは映画賞シーズンの真っ只中である。2月25日(水)、ハリウッドの映画賞の1つである「VES アワード授賞式」が開催された。今回は、第24回VESアワード受賞式のレポートを、現地から筆者独自の目線による特別レポートの形でお届けする。

◯映画賞シーズンのハリウッド

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画像:レッドカーペットでは、各メディアのカメラマンの立ち位置が確保されるが、我らがInterBee Onlineの文字もドドーンと(筆者撮影)

ハリウッドは1月〜3月にかけて、Awards Season(賞レース・シーズン)に突入する。
この時期には、米脚本家組合や米俳優組合等の各映画ギルドの受賞式が開催される。

これらの各映画賞の最後を締めくくるのが、オスカー像でお馴染みのアカデミー賞である。さまざまな映画ギルドの受賞式がこぞって開催された後、アカデミー賞が最後に開催されるように日程が調整されている。

◯そもそも:VESアワードとは何か

読者の皆様の中には、そもそもVESアワードについて、よくご存知でない方も多いのではないだろうか。

ハリウッドには、VFX(ビジュアル・エフェクト)業界に従事する人を対象とした協会がある。これがVisual Effects Society(米視覚効果協会)である。略してVESの3文字で記述される事が多い。たまに「ベス」と呼んでいる方をお見掛けする事があるが、VESはアルファベット3文字を「ヴィ・イー・エス」と呼ぶのが正式な呼び名である。

VESは、米監督組合、脚本家組合、俳優組合等と並ぶ、ハリウッドの映画ギルドの1つである。ただ、VESは労働組合ではなく、業界の啓蒙を目的とした協会という位置づけを保っている。設立は1997年で、会員はハリウッドを中心とする映画、テレビ、アニメーション、ゲーム等のVFX業界に従事する世界中のプロフェッショナル達で構成される。

VESによれば、米国および50ケ国に約5,600人もの会員数を誇り、先ごろ日本にも支部が新設された。文字通り「世界最大規模のVFX業界のギルド」である。
会員になるには、「5年以上の現場経験を有する事」が条件とされ、現役会員2名からの推薦状が必要とされる。
そして、年2回行われる理事会の承認を経て、晴れてメンバーになる事が出来る。もちろん、日本からも加入が可能だ。

このようにVESは、「VFX業界の、プロの、プロによる、プロのための協会」と言える。

VES公式サイト

そして、映画ギルドとしてのVESが主催する賞が、このVESアワードである。VESアワードは、言ってみれば「VFX業界のアカデミー賞」のような位置づけである。

その授賞式では、全世界から応募されたVFX作品の中から、映画、TV(ドラマ、コマーシャル)、アニメーション、ゲームなど、全25カテゴリーに及ぶ最優秀作品が、VESの会員投票によって選出される。

今年の第24回VESアワードにおけるノミネート作品は、世界25カ所での審査会を経て選出されるという途方もないプロセスを経て、最終的にVESメンバーによるオンライン投票によって、受賞作品が決定される。

そして授賞式では、各部門の受賞作品の発表及び表彰が行われる。
受賞者には、VESアワード名物の「月顔トロフィー」が贈られる。

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画像:VESアワード名物の「月顔トロフィー」(筆者撮影)

VESアワード受賞式は、ビバリーヒルズのサンタモニカ&ウィルシャーの交差点に位置する有名なホテル、ビバリー・ヒルトンで開催されている。ここはゴールデングローブ賞授賞式の会場としても知られ、1,000人以上が出席する、大規模な授賞式である。

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画像:来場者には豪華プログラムが配布される(筆者撮影)

VESアワード受賞式は、チケットさえ購入すれば、VES会員でなくても入場する事が出来る。
ただし、チケット代は今年ノミネートされた方やVES会員は300ドル、一般500ドルと高めの設定だ。

しかしながら、ディナーもついて、VFX業界の著名人やハリウッドのセレブを間近で拝める華やかな授賞式に出席出来るのだから、それだけの価値はあると言っても良い。
チケットは毎年人気で、ノミネート発表後に間もなく売り切れになってしまう年も少なくない。
そのため、チケットを確実にゲットするには、「ノミネートがアナウンスされたら即購入するのが吉」とされている。

また今年はVESアワード受賞式をライブストリームで視聴出来るサービスも実施され、こちらは今年ノミネートされた方やVES会員は50ドル、一般100ドルであった。

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画像:ロビーのモニターでは、世界の支部紹介のクリップの中でVES JAPANも紹介されていた(筆者撮影)

〇今年のVESアワードの傾向

第24回VESアワード受賞式は2月25日(水)夜に開催された。ノミネートされたゲスト、VFX業界からの参加者、そして賞のプレゼンター達がドレスやタキシードに身を包んでビバリー・ヒルトンに集い、全25カテゴリーにも及ぶ各賞、そして特別賞の授賞式が開催された。

今年はヒバリー・ヒルトンが大規模な改装工事中で、なんと正面玄関が完全封鎖されており使用出来ず。代わりにウィルシャー・ブルバード沿いの仮設玄関からのアクセスとなった。付近はリムジンやライドシェアで大混雑するなど、多少不便な点も見られた。しかし、授賞式自体は滞りなくスムースに進行された。

さて今年は、映画『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』が最優秀視覚効果賞[実写映画部門]を含む7部門を制覇。またアニメーション関連部門では『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』が3部門で月顔トロフィーを獲得した。

主要カテゴリーの受賞作品に加え、映画「罪人たち」が最優秀助演視覚効果賞[実写映画部門]で受賞、BBCのドキュメンタリーシリーズ「太古の地球から~氷河時代の動物たち~」が最優秀視覚効果賞[ドラマ部門]を受賞。コマーシャル関連部門では「BMW / Heart of Joy: Meet Okto the Octopus」が最優秀視覚効果賞[コマーシャル部門]を受賞した。またゲーム関連部門では「Ghost of Yotei」が優秀視覚効果賞[リアルタイムプロジェクト部門]を受賞した。

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画像:各賞のプレゼンターも、VFXにゆかりのある俳優や著名人が続々と登壇。壇上にいるのはに人気YouTubeチャンネル「VFX Artists React to Bad & Great CGi」でおなじみ、Corridor Crewのお三方(筆者撮影)

〇VES特別賞

VESアワードでは、VFX業界において長年貢献した人物に毎年特別賞を贈っている。

今年は著名な映画プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーにVES生涯功労賞が贈られた。賞のプレゼンターとして、『F1: The Movie』のジョセフ・コジンスキー監督が登壇し、VES生涯功労賞の盾をジェリー・ブラッカイマーに手渡した。

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画像:VES生涯功労賞の盾を手にする映画プロデューサーのジェリー・ブラッカイマー(左)、そして賞のプレゼンターとして登壇した『F1: The Movie』のジョセフ・コジンスキー監督(右) (画像提供:VES)

ジェリー・ブラッカイマーは壇上で、「VES生涯功労賞の歴代受賞者を見渡してみますと、スピルバーグ監督、フランク・マーシャル&キャスリーン・ケネディご夫妻、ジェームズ・キャメロン監督、マーティン・スコセッシ監督など錚々たる皆様です。

そんな中に私のような者を加えて頂けるなど、この上ない光栄だと思います」という謙虚なコメントを述べた後、「皆さんのお仕事は魔法/マジックです。皆さんが、観客を映画館に導き、夢と魔法を見せるのです。
皆さんのお仕事は、本当に素晴らしいと考えております。」と場内のVFX関係者に語りかけていたのが印象的であった。

また、今年はWeta Workshopの共同創設者であり、チーフ・クリエイティブ・オフィサーのリチャード・テイラーに、VESビジョナリー賞が贈られた。

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画像:VESビジョナリー賞を受賞した、Weta Workshopの共同創設者であり、チーフ・クリエイティブ・オフィサーのリチャード・テイラー (筆者撮影)

VES ビジョナリー賞は、「VFXの芸術と科学を独自に、そして一貫して活用し、芸術性、発明性、画期的な仕事を通じて想像力を育み、ビジョナリーな(先見の明を持つ)個人を表彰する」賞である。昨年は、山崎 貴監督が同賞を受賞している

リチャード・テイラーは壇上で、次のようにスピーチしていた。

「この栄誉を授けてくださったVESに感謝申し上げます。この特別な夜に皆様とご一緒できることを嬉しく思います。
私が常に心がけているのはたった4つの信条です。それは、自分自身への愛、自分の仕事への愛、一緒に仕事をする人への愛、そして誰のために仕事をするかという愛です。人生においてこの4つを実践できれば、あなたは素晴らしい人生を送っていると言えるでしょう。」

〇今年ノミネートされた日本人

今年は日本からのノミネートが3名、海外でご活躍されている日本人の方が2名、そして海外国籍の方2名も含めさせて頂くと、なんと7名の方がノミネートを果たした。7名という人数は、筆者の知る限り、最多記録である。

まずは日本から、コジマプロダクションの小島秀夫 / 新川洋司 / 平沢翔太の各氏が、ゲーム『DEATH STRANDING 2: ON THE BEACH』で、最優秀視覚効果賞[リアルタイム部門]にノミネートされた。

また、Image Engineの猪股陽佑氏(Lead Modeler)が、映画『The Gorge』に登場する「ボディウェブ(The Bodyweb)」で、最優秀背景賞[実写映画部門]にクルー3名の方と共に連名でノミネートされた。

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画像:猪股陽佑氏(筆者撮影)

また、WetaFXの荒堀泰延氏(Fx Supervisor)が、『ストレンジャー・シングス』シーズン5 第8話に登場した「マインド・フレイヤーへの襲撃」で、最優秀エフェクト&シミュレーション賞[ドラマ/コマーシャル/ゲーム・シネマティック/リアルタイム部門]にクルー3名の方と共に連名でノミネートされた。

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画像:左から、荒堀泰延(Fx Supervisor)、エミリー・ファン(FX TD)、マイケル・クロバック(FX Supervisor)、 ブランドン・フリート(FX Supervisor)の各氏。(画像提供:WetaFX)

そして、WetaFXの張本 嘉浩 氏(Lead Creatures Technical Director)[国籍:ニュージーランド]が、『ストレンジャー・シングス』 シーズン5 第8話「マインド・フレイヤー」で、最優秀キャラクター賞[ドラマ部門/コマーシャル部門/リアルタイム部門] にクルー3名の方と共に連名でノミネートされた。

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画像:左から、ジェームズ・ムーア、張本嘉浩、レイン・ハウの各氏(筆者撮影)

また、Dreamworks Animationの下河 真由美氏(Digimatte Artist)[国籍:アメリカ合衆国]が、『バッドガイズ2』に登場する「カイロの街」で、最優秀背景賞[アニメーション映画部門] にクルー4名の方と共に連名でノミネートされた。

いづれも、惜しくも受賞には至らなかったものの、ノミネートの功績は偉大である。

〇今年の受賞作品一覧

第24回VESアワード 全25カテゴリー  受賞作品一覧は下記のとおり
(受賞作品名およびタイトルは原題のまま)。

■最優秀視覚効果賞[実写映画部門]
OUTSTANDING VISUAL EFFECTS IN A PHOTOREAL FEATURE
Avatar: Fire and Ash

■最優秀助演視覚効果賞[実写映画部門]
OUTSTANDING SUPPORTING VISUAL EFFECTS IN A PHOTOREAL FEATURE
Sinners

■最優秀アニメーション賞[アニメーション映画部門]
OUTSTANDING ANIMATION IN AN ANIMATED FEATURE
KPop Demon Hunters

■最優秀視覚効果賞[ドラマ部門]
OUTSTANDING VISUAL EFFECTS IN A PHOTOREAL EPISODE
Prehistoric Planet: Ice Age; “The Big Freeze”

■最優秀助演視覚効果賞[ドラマ部門]
OUTSTANDING SUPPORTING VISUAL EFFECTS IN A PHOTOREAL EPISODE
The Residence; “The Fall of the House of Usher”

■最優秀視覚効果賞[リアルタイム部門]
OUTSTANDING VISUAL ARTS IN A REAL-TIME PROJECT
Ghost of Yotei

■最優秀視覚効果賞[コマーシャル部門]
OUTSTANDING VISUAL EFFECTS IN A COMMERCIAL
BMW; “Heart of Joy | Meet Okto the Octopus”

■最優秀視覚効果賞[博展映像部門]
OUTSTANDING VISUAL EFFECTS IN A SPECIAL VENUE PROJECT
The Wizard of Oz at Sphere

■最優秀キャラクター賞[実写映画部門]
OUTSTANDING CHARACTER IN A PHOTOREAL FEATURE
Avatar: Fire and Ash; Varang: Leader of the Ash Clan

■最優秀キャラクター賞[アニメーション映画部門]
OUTSTANDING CHARACTER IN AN ANIMATED FEATURE
KPop Demon Hunters; Rumi

■最優秀キャラクター賞[ドラマ部門/コマーシャル部門/ゲーム部門/リアルタイム部門]
OUTSTANDING CHARACTER IN AN EPISODIC, COMMERCIAL, GAME CINEMATIC, OR REAL-TIME PROJECT
IT: Welcome to Derry; “The Thing in the Dark;” The Pickle Monster

■最優秀背景賞[実写映画部門]
OUTSTANDING ENVIRONMENT IN A PHOTOREAL FEATURE
Avatar: Fire and Ash; Bridgehead Industrial City

■最優秀背景賞[アニメーション映画部門]
OUTSTANDING ENVIRONMENT IN AN ANIMATED FEATURE
Zootopia 2; Marsh Market

■最優秀背景賞[ドラマ/コマーシャル/ゲーム・シネマティック/リアルタイム部門]
OUTSTANDING ENVIRONMENT IN AN EPISODIC, COMMERCIAL, GAME CINEMATIC OR REAL-TIME PROJECT
Andor; “Welcome to the Rebellion;” The Senate District

■最優秀デジタル撮影賞[全部門]
OUTSTANDING CG CINEMATOGRAPHY
Avatar: Fire and Ash

■最優秀モデリング賞[実写/アニメーション部門]
OUTSTANDING MODEL IN A PHOTOREAL OR ANIMATED PROJECT
Avatar: Fire and Ash; The Windtraders’ Gondola

■最優秀エフェクト&シミュレーション賞[実写映画部門]
OUTSTANDING EFFECTS SIMULATIONS IN A PHOTOREAL FEATURE
Avatar: Fire and Ash; Simulating Pandora

■最優秀エフェクト&シミュレーション賞[アニメーション映画部門]
OUTSTANDING EFFECTS SIMULATIONS IN AN ANIMATED FEATURE
KPop Demon Hunters

■最優秀エフェクト&シミュレーション賞[ドラマ/コマーシャル/ゲーム・シネマティック/リアルタイム部門]
OUTSTANDING EFFECTS SIMULATIONS IN AN EPISODE, COMMERCIAL, GAME CINEMATIC, OR REAL-TIME PROJECT
Prehistoric Planet: Ice Age; The Big Freeze

■最優秀コンポジット&ライティング賞[実写映画部門]
OUTSTANDING COMPOSITING & LIGHTING IN A FEATURE
F1: The Movie; Modern Race and POV Footage

■最優秀コンポジット&ライティング賞[ドラマ部門]
OUTSTANDING COMPOSITING & LIGHTING IN AN EPISODE
The Last of Us; “Through the Valley;” A Storm of Ice, Fire and Flesh

■最優秀コンポジット&ライティング賞[実写コマーシャル部門]
OUTSTANDING COMPOSITING & LIGHTING IN A COMMERCIAL
BMW; “Heart of Joy | Meet Okto the Octopus”

■最優秀SFX部門[実写部門]
OUTSTANDING SPECIAL (PRACTICAL) EFFECTS IN A PHOTOREAL PROJEC
Andor; “Who Are You?”

■先端技術賞
EMERGING TECHNOLOGY AWARD
Avatar: Fire and Ash; Kora Fire Toolset

■最優秀視覚効果賞[学生作品部門]
OUTSTANDING VISUAL EFFECTS IN A STUDENT PROJECT
Azimuth

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