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2026.09.02 UP
【Hollywood Report】ティペット・スタジオ、カリフォルニア州バークレーの常設スタジオを発展的撤退へ
鍋 潤太郎 / Inter BEEニュースセンター
8月25日付の本欄で、「ティペット・スタジオ、破産手続きから無事に脱却、経営再建に成功」という記事を記事を寄稿させて頂いた。この週末、これに関連して、新たなる進展が見られた。今回は、そのニュースをお伝えする事にしたい。
8月30日(日)、ティペット・スタジオがFacebook公式アカウントで発表したところによれば、ティペット・スタジオは、これまで長年使用してきたカリフォルニア州バークレーにあるストップモーションの常設スタジオ施設を”発展的撤退”する。今後はプロジェクトの規模に応じて、その都度、外部の施設を使ってプロダクションを継続していくという。またカナダのトロント支社にあるVFXスタジオでは、引き続き映画のVFXプロジェクトが進行中だという。
これにより、バークレーのスタジオ内や関連施設に保管してあった、過去の作品で制作されたクリーチャーやプロップの保管場所が無くなるため、これらの一部を売却する為のイベントが、8月28日~30日の週末に現地にて実施された。
この売却イベントには、長年のファンや業界関係者、そして過去に同スタジオで勤務していた人々が、思い入れのある作品のクリーチャーやプロップを購入するために長い列を作った。ここで得られた収益は、裁判所から承認済の経営再建計画の一部に充当されるという。
下記は、ティペット・スタジオのFacebook公式アカウントで8月30日に発表された内容の意訳である。
『ティペット・スタジオでは、物理的な拠点体制と制作手法を見直し、長年使用してきたバークレーの施設から撤退することを決定致しました。この移行期間中も、ティペット・スタジオは、映画、テレビ、エンターテインメント分野におけるVFX制作を継続してまいります。カナダ支社のトロント・スタジオでは現在も、長編映画の大型プロジェクトが順調に進行中です。
ストップモーションは依然として当社の創造的な強みの1つである事に変わりはありませんが、現在の業務ニーズにおいて、大規模な常設施設を維持し続ける必要性はなくなりました。専用のステージや造形・制作スペース、モーションコントロール撮影などの専門的かつ物理的な設備を必要とするプロジェクトについては、各作品の要件に応じて適切な外部施設と連携し、対応していく予定です。
今後も私たちは目の前の業務に注力し、クライアント、クリエイティブ・パートナー、そしてアーティストの皆様と協力しながら、現在および今後の作品制作に取り組んでまいります。』
近年、北米のVFX業界ではリモートワークが進んでおり、物理的なオフィス・スペースを縮小し、高額なオフィス賃貸料や固定資産税を節約しようとする傾向が見られる。その観点では、常設スタジオを持たない事で運営コストを節約するという方向転換は、経営再建計画に含まれていた可能性もあるだろう。
今回のカリフォルニア州バークレーの常設スタジオの発展的撤退という発表を受けて、地元であるサンフランシスコ/ベイエリアや、アメリカ西海岸のVFX業界では、これまで数々の作品を生み出してきたストップモーションの常設スタジオが無くなってしまう事を惜しむ声がオンライン上で溢れている。
しかしながら、今回の発表に関連する米報道の中で、フィル・ティペット氏は「自分は生涯現役である (I will die with my sword in my hand)」という意気込みをコメントしており、まだまだ引退することなく、精力的にプロジェクトを進めていく気鋭と姿勢が感じられる。
筆者自身も、ファンとして、今後のフィル・ティペット・スタジオの活躍を、温かく見守っていきたいと思うのである。