Inter BEE 2022

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Special 2022.04.28 UP

【Inter BEE CURATION】コロナ禍で変わった動画視聴の視聴シーン

渡辺庸人 VRダイジェスト+

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※INTER BEE CURATIONは様々なメディアとの提携により、Inter BEEボードメンバーが注目すべき記事をセレクトして転載するものです。本記事は、ビデオリサーチ社の協力により「VRダイジェストプラス」から転載しています。コロナ禍で変わった動画視聴に関した記事となっております。

ネット動画視聴の増加と変化

 コロナ禍が始まって2年が過ぎますが、この間に起きた生活者とメディアの関係性に関しての大きな変化のひとつに、「ネット動画視聴の増加」が挙げられます。ビデオリサーチのMCR/exのデータを見ると、コロナ禍を通じてネット動画視聴が増加していることが分かります(図1)。

図1 ネット動画視聴の増加(MCR/ex)

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 またこのデータからは、単純な利用率や利用時間の増加だけでなく、「テレビ画面」での動画視聴が増加したことも分かります。動画視聴する際に、スマートフォンに次ぐ2番手のデバイスとしてテレビ画面が使われるようになりました。

 実は、このような利用されるデバイスの変化だけでなく、ネット動画の視聴シーンにも変化がみられます。今回は、コロナ禍でのネット動画視聴シーンの変化について、ひと研究所の研究結果を紹介します。

動画視聴シーンとしての「自宅のリビング、居間でのくつろぎ」の比重の高まり

 ひと研究所では、映像メディアの利用シーンについて継続的に調査を実施しています。今回、コロナ禍前の2019年10月と、コロナ禍の2021年10月の調査結果をもとに、コレスポンデンス分析を用いてマッピングを作成しました(図2)。

図2 映像メディア利用シーンのマッピング(メディアポジショニング)

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 マッピングには、映像メディアの利用シーンと、具体的な映像サービスがプロットされています。また、映像サービスは2019年の調査結果と2021年の調査結果がそれぞれプロットされています。4つの象限はそれぞれ利用シーンを表していて、左上が「自宅のリビング・居間でのくつろぎ」、左下が「自室のくつろぎ・ベッドの中」、右上が「ながら視聴」、右下が「自室内外の生活の合間」となっています。

 例えば、テレビのリアルタイム視聴は、特に食事を中心とした"ながら視聴"が多いことが、他の映像メディアの視聴シーンと大きく異なります。その特徴が反映されているため、テレビ(リアルタイム)は右上にプロットされています。  
 
 さて、2019年と2021年の映像メディアのポジションを比較すると、テレビ(リアルタイム、録画)やDVD/ブルーレイといった映像媒体、あるいはYouTube、SNS動画といったものは、あまりポジションが変化していません。一方で、Netflix、TVer、テレビ局の見逃し配信サービス、GYAO!、ABEMAは左上の「自宅のリビング・居間でのくつろぎ」に移動してきていることが分かります。これは、それぞれのサービスにおいて「自宅のリビング・居間でのくつろぎ」のシーンで視聴される比重が大きくなったことを意味しています。端的に言えば、それぞれの動画サービスはコロナ禍前と比較して、リビングや居間でのくつろぎの時間に視聴されるようになってきた、ということです。

 また、このマッピングに「習慣的な利用率(週に1日以上の利用率)」や「1回当たりの平均利用分数」をあわせてみると、「自宅のリビング、居間でのくつろぎ」に移動してきた動画サービスの多くは利用率・利用分数が増加していることがわかります(図3)。これらの動画サービスは、コロナ禍で利用機会や時間が拡大していますが、その利用シーンも変化しているのです。

図3 メディアポジショニングマップ

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なぜ利用シーンは変化したのか?

 このような利用シーンの変化はいくつか要因が考えられます。

 まず、最初に触れたようにネット動画視聴にテレビ画面が用いられることが増加しています。これは、テレビのインターネットへの接続、テレビのリモコンにある「ネット動画ボタン」の利用といった"コネクテッドTV"の活用が広がったことや、動画視聴者の"大きな画面で見たい"というニーズの高まりなどによるものと考えられます。テレビの多くはリビング・居間に設置されていますので、テレビ画面での動画視聴の増加とは、すなわちリビングや居間での動画視聴の増加にもつながります。  

 もう一つの要因として、コロナ禍で家族がそれぞれ動画視聴することが増えたことで、スマートフォンやパソコンなどを用いてリビングや居間でネット動画を視聴する機会が増えたことも影響していると推察されます。自宅の中での空き時間や余暇時間をネット動画視聴に費やすようになった中で、自然と過ごす時間の長いリビングや居間で動画視聴することが増えたと考えられます。特に、映画のような長尺コンテンツ視聴にはリラックスできる環境が好まれるのではないでしょうか。また、ネット動画視聴が日常化することで、ネット動画を普段あまり視聴していない家族も、その状況にだんだんと慣れていき、違和感なくリビングや居間で過ごすようになってきていることも想像できます。  

 このように、テレビ画面活用というハード面と生活環境の面、この両方の要因によって、ネット動画視聴はリビングや居間で過ごしている時間に流入してきているといえます。  

 また対照的に、このマッピングではYouTubeは上記のような傾向があまりみられません。この点については補足が必要です。実際の利用状況のデータを見ると、YouTube(やSNS動画)は「就寝前にベッドや布団に入って」や「自分の部屋でくつろいでいるとき」がNetflixやTVerといった動画サービスよりも高い傾向となっていました。特に就寝前は映画やドラマのような長尺コンテンツより、YouTubeやSNSで見られる短尺動画の方が視聴しやすいと考えられます。また、YouTubeやSNS動画で見ているコンテンツが個人的な趣向性・プライベート性が強い、家族で好き嫌いが分かれるような場合は、自分の部屋で視聴することを好む場合も多いといえるでしょう。この特徴が影響しているため、視聴する生活シーンの中心は必ずしもリビングや居間には動かなかったようです。

 今後、アフターコロナに向けて、人々の生活行動はさらに変化すると考えられます。そして、それに連動して動画視聴行動も変わっていく可能性があります。
 ひと研究所では、アフターコロナにおいても調査・分析を継続し、生活者の動画視聴動向に注目していきます。

【調査概要】
ひと研究所「メディアポジショニング調査」
調査方法:インターネット調査
調査対象:日本全国の15~69歳(中学生は除く)
サンプル数:2021年10月調査:4867名、 2019年10月調査:4879名
調査期間:2021年10月1日(金)~10月2日(土)
     2019年10月4日(金)~10月5日(土)

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