Inter BEE 2024 幕張メッセ:11月13日(水)~15日(金)

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映像制作/放送関連機材 2020.05.15 UP

【NEWS】ソニー ライブ映像制作向けIP対応機器や「VENICE」および「FX9」機能拡張などコンテンツの価値とワークフロー効率を高める映像制作商品群とソリューションを発表

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4K 60p撮影に対応した小型リモートカメラ「SRG-XP1」(左)、「SRG-XB25」(右)

 ソニーは5月1日、IPを活用したライブ映像制作ソリューションの拡充や、コンテンツ管理システムのクラウド対応、映画制作用CineAltaカメラ『VENICE』およびXDCAMメモリーカムコーダー『FX9』の機能拡張などの新たな商品群とソリューションを発表した。

 IPライブプロダクションシステム、クラウド、高画質映像制作機器、ライブ・報道映像制作、HDRに関連する製品の機能強化や新製品を紹介している。トピックスはそれぞれ以下の通り。

■IPライブプロダクションシステム
 ●IPカメラエクステンションアダプター、IP CCUエクステンションアダプター、SDI-IPコンバーターボードの新製品

■クラウド、XDCAMドライブ
 ●コンテンツ管理システムMedia Backbone NavigatorXのクラウド対応
 ● XDCAMドライブの新製品「PDW-U4」

■高画質映像制作機器、ソリューション
 ●VENICE ファームウェアアップデート(Ver.6.0)
 ●FX9 ファームウェアアップデート

■ライブ・報道映像制作ソリューション
 ●XDCAMショルダーカムコーダー PXW-Z750のファームウェアアップデート
 ●新製品 マスターセットアップユニット「MSU-3000」「MSU-3500」
 ●4K 60p撮影に対応した小型リモートカメラ2機種を発表

■HDRソリューション
 ●カメラシステムHDCシリーズがHDR映像制作ワークフローSR Live Metadata出力対応
 ●2020年中にカムコーダー「PXQ-Z750」「PXW-Z450」でも対応
 ●ピクチャーモニターのHDR/SDR変換対応もファームウェアアップデートで実現

IPライブプロダクションシステム

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IPカメラエクステンションアダプター「HDCE-TX30」(左)、IP CCUエクステンションアダプター「HDCE-RX30」(右)

●IPカメラエクステンションアダプター、IP CCUエクステンションアダプター、SDI-IPコンバーターボード
 既存のシステムカメラと組み合わせて使用することで、映像や音声信号などのIP伝送を行い、リモートプロダクションを機動的に実現するIPライブプロダクションシステムの新製品として、IPカメラエクステンションアダプター「HDCE-TX30」、IP CCUエクステンションアダプター「HDCE-RX30」の2機種を発表した。また、SDI-IPコンバーターボード「NXLK-IP51Y」「NXLK-IP50Y」の機能拡充を発表している。

 IPライブプロダクションシステムは、映像・音声、メタデータ、同期・制御などの信号をリアルタイムにIP伝送するシステム。同システムでは、ソニーが独自開発したIP伝送技術「ネットワーク・メディア・インターフェース」に対応したSDI-IP変換ボードを用いており、Network Media Interface (NMI)、SMPTE ST 2110もサポートしている。

 昨年のInter BEE 2019で出展しており、システム全体を制御するIP Live システムマネージャーのほか、システムカメラ、スイッチャー、リプレイサーバーなどを100Gネットワーク回線で接続したデモを実施している。複数機器の統合的な制御や監視を実現する「Live Element Orchestrator(ライブエレメントオーケストレーター)」も出展した。

 すでに、世界で100以上の中継車・スタジオに採用されており、国内でも36件以上の導入事例がある。今年4月には、朝日放送テレビ株式会社のスタジオサブにおいて、SMPTE ST 2110を用いた4Kシステムが稼働開始している。

クラウド、XDCAMドライブ

●コンテンツ管理システムMedia Backbone NavigatorXのクラウド対応
 スポーツ団体や企業など、映像コンテンツを所有するユーザー向けの映像制作・管理ソリューションとして、コンテンツ管理システムMedia Backbone NavigatorXのクラウド対応を発表した。Media Backbone NavigatorXは、同社の4K/HD映像、音声、画像、文書コンテンツなどのコンテンツ管理ソリューション。

 今年6月から、ローカル(オンプレミス)環境に加えて、クラウドベースでの構築に対応する。大容量データストレージシステムのオプティカルディスク・アーカイブとの連携も可能で、使用頻度の高い素材はクラウドで管理し関係者間で共有、使用頻度の低いものはローカル環境のアーカイブシステムに保存するなど、コンテンツ管理の柔軟度が向上する。

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XDCAMドライブ「PDW-U4」

● XDCAMドライブの新製品「PDW-U4」
 コンテンツ管理・制作用製品として、XDCAMドライブの新製品「PDW-U4」を発表。光学ヘッドシステムDCHS (Dual Channel Head System)を2台搭載し、ファイル転送速度をさらに高速化した。

 XDCAMディスクに収録されたファイルのノンリニア編集機への取り込みや、編集後のファイルの書き出しスピードを大幅に改善、番組制作のワークフローのさらなる効率化に貢献する。発売は、2020年12月。希望小売価格(税別)は600,000円。

高画質映像制作機器、ソリューション

●VENICE ファームウェアアップデート(Ver.6.0)
 CM/シネマ/ドキュメンタリー映像制作機器では、映画制作用CineAltaカメラ VENICEのファームウェアアップデートが発表になった。ファームウェアアップデート(Ver.6.0)は、2020年11月の予定。

(1)イメージャーモードを追加
 VENICEのファームウェアアップデート(Ver.6.0)において、ハイフレームレート収録可能なイメージャーモードを追加すると発表した。 新たに追加となるフォーマットは、72fps/5.7K 16:9、110fps/3.8K 16:9および72fps/4K 6:5の3つ。これにより、VENICEに実装されている全てのイメージャーモードでハイフレームレート収録が可能になる。
 
(2).artファイルのインポート対応
 RAWファイル用アプリケーションRAW Viewer 「RWV-10」で生成した.art(Advanced Rendering Transform)ファイルのインポート対応。これにより、ユーザーの3DLUTファイルから生成した.artファイルをインポートし、より高画質なモニタリングが可能になる。さらに、VENICEの性能・色再現性を最大限に引き出すテクニカラールックの.artファイルも提供開始予定。

(2)ビューファーのユーザーマーカー表示対応
 ビューファインダー上のユーザーマーカー(ユーザーフレームライン)の、2種類表示に対応する。テレビ用とスマートフォン用など、異なる縦横比を持つディスプレイでの視聴を前提とした撮影での利便性が向上する。

●FX9 ファームウェアアップデート
 XDCAMメモリーカムコーダー FX9は、10月予定のファームウェアアップデート(Ver. 2.0)で、以下の機能が追加・強化される。

(1)5Kサイズスキャンによる4K 60p収録、DCI 4K(4096×2160)収録、4K 16bit RAW出力への対応。

(2)ソニー 一眼カメラαに搭載されている「瞳AF」や、タッチスクリーンによる設定変更、フォーカスコントロールなどの操作が可能に。

(3)S-Log3での記録に加え、インスタントHDRワークフロー(HLG方式によるHDR記録)に、新たに対応。

ライブ・報道映像制作ソリューション

●XDCAMショルダーカムコーダー PXW-Z750のファームウェアアップデート
 2020年7月に予定しているPXW-Z750の4K/HD同時記録機能拡張のファームウェアアップデート(Ver.2.0)により、以下の機能が拡張される(3つめは2021年初旬のソフトウェアアップデートによる)。

(1)最上位機種 PXW-Z750におけるXAVC 4K 60p撮影時に、同時記録するHDでもXAVC HD 60pが選択できるようになる。4K素材・HD素材のタイムコードが完全に一致しているため、編集の効率向上に寄与する。

(2)XDCAMメモリーカムコーダー『PXW-Z280』『PXW-Z190』のシンプルライブストリーミングに対応( 有償ライセンス『CBKZ-SLNW1』が必要)。

(3)動画共有サイトでのライブ配信機能が がFHD解像度(1920×1080)で可能になる。これにより、カメラ1台で収録からライブ配信まで行える。

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マスターセットアップユニット「MSU-3000」(左)、「MSU-3500」(右)

●新製品 マスターセットアップユニット「MSU-3000」「MSU-3500」
 HDC-5000シリーズ、HDC-3000シリーズ、HDC-2000シリーズ、HDC-4300などの、マルチフォーマット対応のシステムカメラの各種設定を集中管理・制御することができるマスターセットアップユニット2機種を発売する。

 MSU-3000、MSU-3500の両機種ともに視認性の高い16:9の新液晶タッチパネルを搭載している。MSU-3000は横型モデル(EIAラックサイズ)、MSU-3500は縦型モデル(EIAハーフラックマウントサイズ)で、実装スペースに合わせた選択が可能。発売日は2020年夏。希望小売価格(税別)は1,000,000円。

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「SRG-XB25」(右)は光学25倍ズーム、「SRG-XP1」(左)は水平画角100°以上の広角での撮影が可能

●4K 60p撮影に対応した小型リモートカメラ2機種を発表
 4K 60p撮影に対応した小型リモートカメラ「SRG-XB25」は光学25倍ズーム、「SRG-XP1」は水平画角100°以上の広角での撮影が可能。IP対応でネットワークケーブル1本で電源供給やRTMP、RTSP配信ができる。

 また、NDI|HXに対応し、ネットワーク上の対応機器と接続できる。映像制作現場のほか、イベント会場や大学などの教育機関の講義収録、企業の遠隔ミーティングなど、より効果的なリモートコミュニケーションが求められる幅広いシーンで使用可能。発売日は2020年8月。価格はオープン価格。

HDRソリューション

●カメラシステムHDCシリーズがHDR映像制作ワークフローSR Live Metadata出力対応
 2020年夏から、カメラシステムHDCシリーズのHDR/SDRに関連する設定データを、メタデータとして各機器のSDI信号上に出力できるようになる。

 「SR Live Metadata(エスアールライブメタデータ)」と呼び、収録時にファイルにも記録される。すでに、スポーツ中継や音楽ライブなどで活用されているHDRプロダクションコンバーターユニット「HDRC-4000」に搭載されている機能。

●2020年中にカムコーダー「PXQ-Z750」「PXW-Z450」でも対応
 映像制作用プラットフォームCatalyst Prepareで同メタデータを記録したHDRファイルをロードすると、HDRからSDRへの変換が行える。プロダクションビデオサーバー「PWS-4500」や4K XAVCレコーダー「PZW-4000」では対応済みで、2020年中には、カムコーダー2機種(「PXW-Z750」、「PXW-Z450」)にも対応予定。

●ピクチャーモニターのHDR/SDR変換対応もファームウェアアップデートで実現
 2021年3月予定の無償のファームウェアアップデート(Ver2.0)と有償のライセンスにより、4K HDR対応ピクチャーモニター「PVM-X2400」(24型)および「PVM-X1800」(18型)(2020年7月発売予定)が、本体上のHDR/SDR変換に対応する。

 モニター単体で、HDR(PQ/HLG/S-Log3)からSDRへの変換や解像度の変換(4K→HD)などのモニタリングが可能になり、利便性が向上する。市場推定価格(税抜き)は、「SRG-XP1」 は220,000円前後、「SRG-XB25」が 300,000円前後

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