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Special 2023.04.18 UP

4年ぶりリアル開催で完全復活、香港フィルマート2023現地取材レポート

テレビ業界ジャーナリスト 長谷川朋子

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アジア最大級のエンターテインメントコンテンツ流通マーケット「香港フィルマート」が3月13日から16日まで4日間にわたって開催され、4年ぶりのリアルイベントとなった。防疫対策の方針に沿って、本格準備が始まったのは開催のわずか半年前だったというが、最終的にコロナ以前と同じ規模の参加者を集め、出展社数は約700社・団体に上った。現地取材した「香港フィルマート2023」をレポートする。

出展数計700社、日本から37社・団体に

香港フィルマートは毎年3月の時期に香港・香港島にある香港コンベンション&エキシビションセンターで開催されている。2019年以降、新型コロナウィルスパンデミックの影響によりオンライン形式に切り替えられたが、今年はようやくリアル開催が復活した。3月13日から16日までの4日間の会期中、連日にわたり活気をみせ、アジアのエンターテインメント文化とビジネスを牽引するイベントとしても復活を果たした。

主催する香港貿易発展局の発表によると、今年の参加者数は世界41か国・地域から7300人以上を数えた。欧米と比べると、アジアでは香港に限らず、中国本土や各国・地域で行動制限が長らく続いたこともあり、予想もしなかった規模感だった。香港特別行政区政府が入境措置緩和に踏み切った12月末から出展問い合わせが増えていったという。

出展数は約700社・団体に上った。国・地域別のパビリオンは中国本土、インド、韓国、台湾、タイ、イタリア、米国、欧州、そして日本も並び、賑わった。日本からの出展はユニジャパンおよび国際ドラマフェスティバル(民放連)がとりまとめた大型パビリオンに加えて、各地域フィルムコミッション団体が集まったブース、そして民放キー局などによる単独ブースより構成され、計37社・団体を数えた。

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また中国本土からは北京、福建、広東、湖南、江蘇、陝西、山東、上海など各省、直轄市ごとのブースも復活し、中国3大ストリーミングプラットフォームであるiQIYI、テンセント、Youkuも存在感を示していた。中国本土の出展社数は330社・団体を数え、過去最多だったことがわかった。

地元香港からはエンペラー・モーション・ピクチャーズ、ゴールデン・シーン、メディア・アジア、PCCWメディアなど老舗の大手映画会社から強力な通信系まで出揃い、国内映画興行の好調や海外展開の成功を通じて、香港エンタメの勢いを見せつけた。期間中、地元香港メディアによる記者会見なども行われ、ジャッキー・チェンやニコラス・ツェーやトニー・レオン、アンディ・ラウなど香港を代表する俳優陣が出席し、4年ぶりの開催を盛り上げた。

香港貿易発展局ロー事務局次長「あらゆる交流や取引が可能になる場」

売り出し中のタイトルを掲げた華やかなブースが立ち並ぶなか、急成長する台湾系配信メディアMuse(木綿花国際)も一際目立っていた。日本のアニメ作品を豊富に揃え、「鬼滅の刃」の大型パネル前はフォトスポット化し、注目を集めていた。

中国ビジネスの窓口と位置づけられる香港フィルマートだが、アジア全体のエンターテインメントの活気を発信する場所としても意識が向けられていたように思う。「エンターテインメント・パルス」と称されたカンファレンス企画では市場トレンドや業界動向を共有し、アジアの勢いを感じられる場面にもなった。

中国映画配給制作会社ボナ・フィルムに中国ドラマ制作会社デイリーライト・エンターテインメント、韓国コングロマリットCJ ENM、インドのZEE エンターテインメント、タイのBEC ワールド、そして日本の吉本興業といった各国最大手メディア企業の代表者たち登壇し、テーマごとにアジア市場の可能性について議論が交わされた。吉本興業は日本で唯一のセッション登壇者となり、Amazonプライム・ビデオなどでリアリティショーの実績を作るビジネスクリエイターとして、チーフプロデューサー村本陽介氏が成功ノウハウを語った。

主催者を代表して香港貿易発展局パトリック・ロー事務局次長は「映画にテレビ、最新のエンターテインメント、さらにアニメーションなど、どのコンテンツも歓迎するのが香港フィルマートだ」と話す。

「コンテンツの売買だけではなく、投資や制作、配給につなげることもできる場として機能しています。たとえば、香港の映画やドラマを日本や韓国でリメイクすることも、日本や韓国の作品を中国本土や香港の華僑の市場でリメイクすることを商談する場になっているのです。あらゆる交流や取引が可能になるため、パンデミックの時期を乗り越え、多くの方が香港フィルマートに参加しているのだと思います」(ロー事務局次長)

 香港を拠点に中国本土とアジア地域の国際エンターテインメントビジネスを促進する場として、完全復活を色濃く印象づけていたことは間違いない。

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