Inter BEE 2024 幕張メッセ:11月13日(水)~15日(金)

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Special 2024.02.14 UP

【Inter BEE CURATION】YouTube、TikTokは360度メディア!? ーACR/exで描くメディアポジショニングマップ

統括・ソリューションユニット リサーチアナリシスグループ/ひと研究所 フェロー渡辺庸人 VRダイジェスト+

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【この記事はこんな方にオススメ!】
✅ 生活者がどのようにメディア利用をしているのか関心がある方
✅ 生活者がYouTubeやTikTokをどのような生活シーンで利用しているのか関心がある方
✅ テレビなどのマスメディアが持つ強みを知りたい方

1. メディアポジショニングマップでわかる生活者とメディアの関係

メディアポジショニングマップとは、メディアごとの利用シーンを可視化したマップで、様々なメディアが「どのような時に」利用されているのか、その全体像を解き明かすことを目的とした分析です。テレビ、SVOD、AVOD、SNS等、メディアの位置づけを俯瞰したり、生活者におけるメディア利用の最新動向を把握したりすることに活用できます。また、企業と生活者のコミュニケーション時に意識すべきことを考える際にも役立つものになっています。

例えば、メディアポジショニングマップを描くことで、

● テレビのリアルタイム視聴は、食事のシーンと強く結びついている
● ラジオなどの音声メディアは、移動中で存在感がある
● SNSの利用はプライベートな生活シーンが目立つ

といったことを視覚的に表現することができます。

2. 時系列研究で見えてきたのは動画視聴行動の変化

生活者研究を行うシンクタンクであるビデオリサーチ「ひと研究所」では、2019年から2023年にかけて、5回にわたりインターネット調査を行い、メディアポジショニングマップを描いて動画視聴行動の変化を分析してきています。この時系列の分析から、次のことが明らかになってきました。

● コロナ禍を通して、ネット動画メディアがリビングや居間で使われる傾向が強まった(図1)
● 若年層、Z世代で"朝の動画視聴"行動に増加の兆しがみられる

メディアが使われる生活シーンがこの数年で大きく変化してきており、その変化がメディアポジショニングマップでは"メディアのポジション移動"という形で表れています。

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詳しくは「メディアポジショニングマップ2023(第5回)」結果レポートから確認できます。

3.YouTube、TikTokは360度メディア!?「ACR/ex」で見るメディアポジショニング

研究調査として、2019年よりインターネット調査データを用いてメディアポジショニングマップを作成してきましたが、今回、より代表性が高いサンプルであり、調査データの拡張性も高い当社の生活者データベース「ACR/ex」への搭載に向けて実験調査を行いました。今後、「ACR/ex」の15,000項目にも及ぶ調査に組み込むことで、より細かいターゲット像を設定したり、各メディアの利用者像を詳しく分析したりできるようになります。ここでは、「ACR/ex」での実験調査データを用いて作成したメディアポジショニングマップ【ACR/ex β版】を紹介していきます(図2)。

※第1回~第5回の研究調査から、調査対象のメディアを見直して実施しています。
※調査対象メディア、生活シーンについては、末尾の調査概要を参照

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マッピングの4つの象限はそれぞれ利用シーンを表しています。(図3)
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右上は、食事をしながらや、家族と共視聴をしやすいメディア(特にテレビのリアルタイムでの視聴)が目立つ位置にあります。左上は、動画サービスの利用や、ゲーム、紙の漫画や雑誌の閲覧など、個人で楽しむメディアが多く位置しています。右下は、ラジオを中心とした耳だけで楽しめる音声メディアが多く位置しているのが特徴です。左下は、SNSや、文字や画像が中心のデジタルコンテンツなどが目立ち、主にスマートフォンで利用する文字・画像メディアが目立ちます。このように、各象限ごとにメディア利用の特徴が表れています。

さらに、今回のマッピングからは次のような特徴も読み取れました。YouTube、TikTok、ニコニコ動画、Twitch、ツイキャス、ライブ配信サービスのように、一般ユーザーが作り配信するコンテンツ(User Generated Contents = UGC)が多く含まれるメディアが、ポジショニングマップの中心エリアに比較的固まって位置しています。ここから、UGCには多種多様な内容・形式のコンテンツがあり、総じて、どのような生活シーンにも入り込みやすい特性・ポテンシャルを持っていると解釈することができます。

確かにUGCを具体的にみると、くつろぎの時間に一人でじっくり見る長尺動画、合間の時間にさっと楽しめるショート動画、心地の良い音楽がずっと流れる配信、そして家族と一緒に楽しめる内容のものなど、様々なコンテンツが投稿・配信されていることが分かります。その結果、UGCが多く含まれるメディアは、いわば「360度メディア」ともいえるポジションになっていると考えられます(図4)。

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UGCの多様性によって、これらのメディアは今後も、より一層生活の様々なシーンへ浸透していくことが予想されます。昨今の"ショート動画"の爆発的な拡大や、その一方で起きている"ゲーム実況"の盛り上がりのようなライブ配信を起点とした長尺コンテンツの拡大・浸透は、その表れと考えられます。UGCの多様性に注目し、生活の中にどのように入り込んでいくかを継続的に確認・検証していくことが、より一層重要になっていくと言えるでしょう。

4.アフターコロナの時系列把握とより深い分析の実現に向けて

現在ひと研究所では、「ACR/ex」のデータを用いて継続的にメディアポジショニングマップを描き、アフターコロナのメディア行動の変化を把握していくことを計画しています。また、「ACR/ex」の他の項目と連携することで、詳細なターゲットのメディア利用の特徴を把握できるため、より深い分析ができるよう研究も進めていく予定です。

引き続き、「ACR/ex」によるメディアポジショニングマップに、ぜひご期待ください。

【本記事で紹介したサービス】
・サービス名:ビデオリサーチ「ACR/ex
・調査時期:2023年8月
・対象地区:東京50Km圏
・ターゲット:男女12‐69才
※マッピングで分析したデータは各メディア3か月以内利用者
※調査対象メディアと生活シーンは以下の末尾資料参照

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