Inter BEE 2024 幕張メッセ:11月13日(水)~15日(金)

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Special 2023.12.14 UP

【Inter BEE CURATION】「ADID、IDFA、AAID・・・広告ID(広告識別子)とは?」今さら聞けない!基本の『キ』

データ統合ソリューション【VR LINC】推進チーム VRダイジェスト+

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※INTER BEE CURATIONは様々なメディアとの提携により、Inter BEEボードメンバーが注目すべき記事をセレクトして転載するものです。本記事は、ビデオリサーチ社の協力により「VRダイジェストプラス」から転載しています。

日々急速な進化を遂げるデジタルマーケティング業界。
皆さんも、毎日のように各社から発信されるニュースで最新情報をキャッチアップしたり、実務上デジタルマーケティングに関わることも多いかと思います。
このコーナーでは、皆さんがニュースや業務で触れるデジタルマーケティングに関する多くのサービスで頻繁に目にする・・・けれども、"基本"であるがゆえ、詳しく説明されることが少ない「単語」や「仕組み」について、初心者にもわかりやすく説明していきます。

【この記事はこんな方にオススメ!】
✅メディア・広告絡みでデジタルマーケティングに接している もしくは これから接していく立場にある
✅デジタルマーケティングのことは、「なんとなく」は分かるけど「詳しく」は分からないかも・・・

記事に関するサービスはこちら
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広告ID(広告識別子)=アプリ広告の配信に使われる"一意のID"

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広告ID(広告識別子)とは、ある特定のOSがインストールされた端末(デバイス)に付与される固有のIDです。

このIDは、ある特定の端末1台につき、1つしか存在しないユニークなIDです。
端末の設定画面から「リセット」をかけることもできますが、「広告ID無し」の状態になることはありません。

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このIDは、大きく分けると2種類あります。

■iOSの端末に振られる「IDFA(Identifier For Advertising)」
■AndroidOSの端末に振られる「AAID(Google Advertising ID)」
※「GAID」「ADID」と呼ぶこともあります

どちらのIDも、役割はまったく同じですので両者の違いは単純に「発行している会社がAppleなのか、Googleなのか」という点のみです。

iOSはiPhoneやiPad、iPodなど、Apple社の主要製品の多くに使用されています。
※Apple社の製品としては他にMac(パソコン)がありますが、こちらはMacOSと別のOSが使用されています。
AndroidOSはiPhone以外の大半のスマートフォン、iPad以外の大半のタブレット端末で使用されているほか、 Fire PhoneやKindle Fire、Fire TVやタブレット版Kindle電子書籍リーダーをはじめとするAmazon.comのFireOSについても、AndroidOSをベースとしているため同様にAAIDが振られます。

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なお、IDFAとAAIDの両者をまとめる際の呼び方は人によって様々です。よく使われるのは以下の3つあたりでしょうか。

・「IDFA/AAID」と 並列で表記
・「広告ID」「モバイルID」と日本語交じりで表記
・ 広告=Advertisingを略すと「Ad」になるため、「ADID」と略称で表記 
 ※AndroidOSの端末に振られるIDも「ADID」のため、意味が混同されがちです

呼び方が人によって異なるため、主要なものは一通りおさえておいたほうがよいでしょう。

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広告IDは、何に利用されるのか?

広告IDは、前述のとおりスマホやタブレット端末、スマートTVなどiOS/AndroidOS搭載の端末に付与されるものですが、その用途としては、消費者側から見ると、アプリ内で広告を配信するため"だけ"に使われます。
ある特定のスマホ(タブレット)1台につき1つしかないユニークなIDとしては、他に端末識別子もありますが、こちらは端末=デバイス機器が製造されるときにナンバリングされる「個体番号」のようなものです。個人が自由にリセットをかけることはできません。

消費者側から見ると広告IDの利用は上記の通り、アプリ内での広告配信にしか使用されていませんが、デジタルマーケティングに従事する企業側では、1台につき1つしかないユニークなIDである広告IDは、ある1つの端末を特定し、データ連携時の"のりしろ"として使用することが多いです。

【データ連携とは】
異なる2つ以上のデータベースを、広告IDやCookieID、IPアドレスなどを"のりしろ"にして紐づけることをさします。複数のデータベースを紐づけ、1つのIDに紐づく情報量を増やすことで、自社顧客の分析幅が広がったり、きめ細やかな広告配信セグメントを作ることができるようになります。
データ連携について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

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Cookie(CookieID)との違いは?

前述のデータ連携によく使われているのはCookieIDです。CookieID は、ウェブサイトに訪問した際に発行されるCookie とあわせて振られるIDです。CookieIDと広告IDの違いは何でしょうか?違いを以下にまとめてみました。

※そもそもCookieって何だっけ?という方はこちらをご覧ください。

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CookieIDと広告IDの"使い勝手"という点で最も大きく影響するのが、表一番下の「ID削除」に関する部分です。
ここ数年、Apple社のITP(Intelligent Tracking Prevention)を筆頭にCookieIDの使われ方については「消費者(ユーザー)に配慮した使い方」を求めるプライバシー保護の動きが加速しており、配信事業者が発行したCookieをブラウザ側で削除する機能がデフォルトで設定されるなど、頻繁にアップデートが行われています。

データ連携においては、異なる2つ以上のデータベースを"つなぐ"ためには同じID同士で紐づけを行うことが必須となるため、消費者(ユーザー)側で自主的に削除しない限り(※)ずっと同じIDが使われ続ける広告IDへのニーズが高まりつつあります。

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広告配信における違いは?

広告IDは、その名の通り"広告"の配信時にも使われるIDですので広告配信における両者の違いが影響するポイントに触れておきましょう。

CookieIDと広告IDの"使い勝手"という点で最も大きく影響するのは、データ連携時同様表一番下の「ID削除」に関する部分です。
前述のITPをはじめとしたCookie削除等の動きにより、配信事業者側ではCookieIDを活用した広告配信が行いづらくなるシーンも出てきました。

特に、広告配信においては直接的な売り上げ貢献が高く効率が良いと言われるリターゲティング広告への影響が大きいです。なぜなら、リターゲティング広告は、「過去にそのウェブサイトに来た人に対して、そのウェブサイト(もしくはサイト上で宣伝していた商品)を思い出してもらうために配信する広告」だからです。
「過去にそのウェブサイトに来たヒト」を判別するためには、ウェブサイト上に設置したタグからCookieIDを取得し、ブラウザに記録させる必要があります。CookieIDを記録させておくことで、次にどこかのウェブサイトにそのブラウザがアクセスしに行ったときに、「このCookieIのヒトは前に◎◎のウェブサイトに来たことがあるからリターゲティング広告を配信しよう」と判断できるようにするはずが、CookieIDがブラウザ側で削除されてしまうと、それができなくなってしまうのですね。
このCookieIDの「削除」は、Apple社のITP(Intelligent Tracking Prevention)をはじめとし世界的な流れとして今後も加速していく可能性が高いです。
リターゲティング広告を売りにしていた広告配信事業者は、このような世の中の動きへの早急な対処を迫られていると言えるでしょう。

【23年12月追記】他方、広告IDは消費者(ユーザー)が自ら設定画面から削除しに行かない限り(※)ずっと同じIDを使用した広告配信が可能なため、業界ニーズが高くなっていました。

この状況を受け、プライバシー保護を重視するApple社は、21年春よりiOSの広告IDであるIDFAを「オプトイン化」しました。

オプトイン=ユーザーが「広告IDを利用してよい」と許可しないと、企業は広告IDをビジネスに活用できない、ということです。

IDFAのオプトイン化に関する詳細は、以下の記事をご参照ください。
「iOS14アップデートによるIDFAオプトイン化~アナタの業務に与える影響は?~」今さら聞けない!基本の『キ』

※なお、広告IDはデバイス単位で振られるため、消費者(ユーザー)がスマホの機種を新しく買い替えるなど変更した場合は広告IDも変わります。

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いかがでしたか?
広告IDの特徴をつかんでいただけましたか?スマートフォンを使ったビジネスの広がりは当面止まる気配はなく、今後も競うように新しく画期的なサービスが生まれることが予見されますが、新しいサービス誕生の裏には、複数の企業やデータベースを"つなぐ"ことによるデータのリッチ化が必ずと言っていいほど行われています。広告IDは、単体ではただのIDでしかありませんが、"つなぎ"として大切な働きを担っているものです。理解を深め、今後の皆さまのビジネスに活かしていただけることを祈っております。

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