Inter BEE 2020

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ICT/クロスメディア 2019.11.08 UP

【Inter BEE 2019】アトラクター 放送波を使ってデータを配信する「ナローキャスト放送」のソリューションをデモ、災害時に携帯電話の電波が途切れたときもスマホに自治体から避難所の住民に情報を配信

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 アトラクターは、11月13日(水)から15日(金)までの3日間、Inter BEE 2019に出展し、“放送電波からスマホへ、災害情報伝達の新しい考え方”をテーマに、「ナローキャスト放送」のシステムを展示する(ICT/クロスメディア部門/ホール7/小間番号7119)。アトラクターがInter BEEに出展するのは、前回のInter BEE 2018に次いで2回目。今回は、一般社団法人IPDCフォーラム(Internet Protocol Data Cast Forum)と共同でブースを構え、多発する自然災害の発生時にナローキャスト放送が役立つことを、デモを通じてアピールする。

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地デジ放送にデータを多重するナローキャストを災害時対策に

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ナローキャスト放送の利用で、自治体は避難所の住民に確実な情報伝達が可能になる

 今回、アトラクターが訴求するのは自然災害によって情報伝達の手段が途絶えたときの最終手段として、ナローキャスト放送が地域住民の確実な情報収集の力になるということ。国内では毎年のように地震や水害、台風などの大規模災害による被害が出ており、確かな情報を伝達する手法が課題になっている。

アトラクター 代表取締役の濱田淳氏は「放送局と自治体が連携してナローキャスト放送を導入することで、広く電波が到達する放送波を使った情報伝達が有効なことを示す」とInter BEE出展の意義を語る。

 ナローキャスト放送とは、地上デジタル放送の12セグ放送にデータを多重する専用の帯域を設け、特定の利用者向けのデータ配信を行う方式のこと。アトラクターが技術開発を行い、現在までに長野県の日本テレビ系列局であるテレビ信州でナローキャスト放送が実現している。

 これまでに長野県飯綱町などで、「公共サイネージ」として、役場や公民館に設置するデジタルサイネージに地域情報や観光情報などを表示させる際のコンテンツ配信用途で利用されてきた。災害時の情報伝達手段というソリューション自体は従来から提案してきていたが、昨今の大規模災害の多発により、今回のInter BEEでは災害対策としてのナローキャスト放送の位置づけを一段と鮮明にして展示を行う。

携帯電話の電波もWi-Fiもなくなったときの情報伝達手段として有効

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ナローキャスト放送を受信したSTBがスマホにBluetoothで配信して情報を表示

 災害時のソリューションとして、目玉に掲げるのが、ナローキャスト放送を使ったスマートフォンへの情報伝達である。最近の災害では、スマートフォンそのものの電源は確保されていても、携帯電話網のサービス停止やWi-Fiが利用不可になるなどによって、自治体などからの正しい情報が被災者に伝わらない事態が起きている。

 濱田氏は「ナローキャスト放送はインフラが頑強な地上デジタル放送の放送波を利用するため、災害時にも途絶えるリスクが低い。ナローキャスト放送を受信したセットトップボックス(STB)からBluetoothを使ってスマートフォンに情報をプッシュ配信するBeaconCast技術を組み合わせて、携帯電話の電波がなくなってしまってからもスマホに情報を届けることができる」と語る。

 Inter BEEでは、ナローキャスト放送によってスマートフォンに災害時の情報をリアルタイムに配信するデモを行う。スマートフォンには専用アプリをインストールすることで、アプリがあれば自動的にナローキャスト放送で送られた情報がBluetoothを介してプッシュ配信されて表示される。Bluetooth機能の起動やペアリングなどの手続きは不要で誰でも利用できることを会場で体感できる。

災害時だからこそ確実な情報を配信できるセキュリティが重要

 ナローキャスト放送では、セットトップボックスにIDを与えることで、地域や設置場所の属性などによって配信する情報を個別制御することができる。そのため、自治体が各地域の避難所などに向けて、詳細な避難情報やライフライン情報などを提供することができる。

 ナローキャスト放送は放送波を使って情報を配信することから、第三者が情報を改ざんできないため、インターネットなどのオープンネットワークを利用する手段に比べてセキュリティが堅固なことも特徴として挙げられる。「災害時には、なりすましやデマなどによる情報の混乱が起きやすい。ナローキャスト放送を使ったスマホへの情報配信ならば、確実に自治体からの正しい情報を届けられる。被災時の安全安心に寄与できると考えている」(濱田氏)。

遠隔制御の機能も備え多様な用途に拡張可能

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避難所に設置した公共サイネージに情報を表示させるほか、STBに接続した機器の遠隔操作も可能

 アトラクターでは、放送局に向けてナローキャスト放送の送出システムを納入することで、ナローキャスト放送のソリューションによる地域課題の解決への貢献を目指す。今回のInter BEEでは、Bluetooth通信機能を内蔵した新しいSTBのプロトタイプを出展するほか、放送波による遠隔からの指示でSTBが備える接点制御機能を用いたパトライトの点灯・鳴動のデモも予定している。

 STBにはスピーカーが備えられていて、指定した音声や警報音などを放送波による遠隔からの指示で鳴らすことができるほか、接点端子を持つことで接続した多様な機器を制御することもできる。災害対応の観点からは、避難所のカギを格納したキーボックスとSTBをつなぐことで、遠隔から避難所の開放を制御するといった利用法が考えられる。

 避難所のカギを開ける自治体職員が現地に赴けずに避難所が使えない――といった事態を防ぎ、役所の職員や住民の安全確保に役立てられる。ダムの水門の制御、災害時の自動販売機の無料開放など、ナローキャスト放送を使った遠隔制御が災害時に貢献できるソリューションは少なくない。

 濱田氏は、「ナローキャスト放送は、既存の地上デジタル放送のインフラを使うため、インフラ構築が不要で現在のまま利用できる。公共性をもった情報を広く配信できるソリューションとして、放送局や自治体にナローキャスト放送の存在とメリットを知ってもらいたい」と語る。

◆Inter BEE 2019 開催概要◆

■会期:2019年11月13日(水)~11月15日(金)〔3日間〕
■展示時間:11月13日(水)・14日(木)10:00-17:30/15日(金)10:00-17:00
■会場:幕張メッセ(展示ホール1~8、イベントホール、国際会議場)千葉市美浜区中瀬2-1
■入場:無料(登録制)
■主催:一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)
■後援:総務省、経済産業省(建制順)
NHK、一般社団法人日本民間放送連盟、一般社団法人電波産業会(順不同)

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