Inter BEE 2023 幕張メッセ:11月15日(水)~17日(金) オンライン:12月15日(金)まで

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Special 2026.09.11 UP

【Hollywood Report】「芸術の秋 ジョン・ウィリアムズ 映画音楽コンサート@ハリウッド・ボウル」

鍋 潤太郎 / Inter BEEニュースセンター

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画像:この光景はハリウッド・ボウルならではの風物詩

○はじめに

ロサンゼルスに住んでいると、他の地域ではなかなか体験出来ない、「ハリウッドならでは」の、映画に関連した貴重なイベントに参加出来る機会が多い。これが、筆者がVFXのTAXクレジットが盛んな他の地域へ移り住まず、LAという地に留まるという事にこだわり続けている大きな理由の1つでもある。今回は、ハリウッド・ボウルで開催された、ジョン・ウィリアムズ作曲の映画音楽のコンサートの模様をレポートしてみたいと思う。

『ジョーズ』、『E.T.』、『スーパーマン』、『スター・ウォーズ』、『ジュラシック・パーク』などの数々の映画音楽で知られるジョン・ウィリアムズ。彼が音楽を手掛けた映画は、映画史、そしてVFX史に名を残す作品も多く、その映画音楽の数々を地元ロサンゼルス・フィルハーモニックが演奏するという、豪華なコンサートである。

このコンサートは、9月4~6日の3日間に渡って開催され、筆者は5日(土)に鑑賞した。
それでは、その模様をご紹介する事にしよう。

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画像:シーズン開催が近くなると、ハリウッド・ボウルからフライヤーが郵送されてくる。

○作曲家ジョン・ウィリアムズとは

まず、ジョン・ウィリアムズをご存知ない方の為に簡単にご説明させて頂くと、「『スター・ウォーズ』の映画音楽を作曲した人」と言うのが一番わかり易いだろう。

スピルバーグ作品の数々や、『スター・ウォーズ』シリーズ、『ハリー・ポッター』シリーズなどのサントラを作曲した、ハリウッドを代表する映画音楽の作曲家であり、今年で御年94歳を迎えるそう。

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画像:ハリウッド・ボウルの入り口には、大きなサインが。「ジョン・ウィリアムズ」の文字が読める。

○ハリウッド・ボウルとは

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画像:開演前のハリウッド・ボウル。これだけ大勢の観客を目の前にすると、その熱気に圧倒される。

ハリウッド・ボウルは、ハリウッド・サインに近い山の中腹の、広大な地形を利用して作られた巨大な野外音楽堂で、夏にロサンゼルスを訪問された際は是非訪れて頂きたい名所の1つである。

座席数は17,376席という規模を誇り、毎年6月から9月のシーズン中は、クラシック、ジャズ、ロック、映画上映&生オーケストラによるサントラ演奏まで幅広いジャンルのコンサートが、連日連夜開催される。
特に今年は、7月に作曲家の久石譲のコンサートが21~23日の3日連続で開催され好評を博した他、8月16日にはYOASOBI がJ-POPアーティストとしては初となるハリウッド・ボウルでの単独公演を行い、この地で北米ツアーの最終公演を実施した。

○Maestro of the Movies: A Tribute to John Williams

ハリウッド・ボウルにおけるジョン・ウィリアムズのコンサートは1981年から、ほぼ毎年開催されているという。例外だったのは2015年で、同年末に公開された『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の作曲作業に専念する為、お休みであった。また2020年シーズンは、コロナのパンデミックの影響によって休止された。
このコンサートは、前半と後半の、休憩を挟んでの2部構成である。元々はジョン・ウィリアムズが全曲の指揮を振っていたが、さすがにご高齢という事もあり、2016年以降、前半は映画音楽の作曲家デイビッド・ニューマン がタクトを取り、後半をジョン・ウィリアムズが指揮、という構成で行われていた。

そして2年前の2024年のコンサートから、デイビッド・ニューマンがコンサートを完全に引き継く形で、そのまま継続される運びとなった。ジョン・ウィリアムズはもちろんご健在であるが、94歳で3日間連続のコンサートで指揮を振るのは、体力的にもご負担であろう事は容易に推察出来る。

さて、なぜデイビッド・ニューマンが引き継いだのだろうか?実は、これには長い歴史がある。

デイビッド・ニューマンは、代々「作曲家ファミリー」で、父親のアルフレッド・ニューマンも著名な作曲家であり、一族にも作曲家が多い。ジョン・ウィリアムズがアルフレッド・ニューマンと仕事をしていた頃、ちょくちょく仕事場に遊びに来ていた少年がデイビッド・ニューマンで、その頃からのおつきあいなのだそう。そんなご縁から、このコンサートでの指揮を務めるようになったのは自然な流れだった、というエピソードが過去のコンサートで紹介されていた。

〇ライトセーバーは必需品

このコンサートでは、「スターウォーズ」関連の曲が演奏されると、観客席で1万本以上のライトセーバーが一斉に乱舞する、圧巻の光景を楽しむ事が出来る。

過去のコンサートでジョン・ウィリアムズが語ったコメントによれば、この光景は、「ここハリウッド・ボウルで”自然発生”した、ここでしか見られない風物詩」なのだそう。

当初、ライトセーバー持参者はごく少数だったのが、毎年どんどん増え続け、とうとう大半の観客が持参するようになってしまった(笑)

遂には、コンサート当日に売店でもライトセーバーが販売されるようになり、おそらく「1年間で最もライトセーバーが売れる日」に違いない。

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画像:ライトセーバーを持参していない方は、売店でどうぞ(ハリウッド・ボウルのギフトショップにて)
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画像:売店で販売されているライトセーバー。ハリウッドボウルのロゴ入りである。昨年まで10ドルだったが、12ドルに値上げされている。

〇今年のコンサートの模様

筆者は毎年、このコンサートを訪れているが、今年の演出は良かった!

1曲目からジョン・ウィリアムズの曲を前面に出し、しかも大スクリーンで映画本編の映像を流しながらの演奏という、粋な演出が取り入れられていた。



第1部/前半:
1. アメリカ国歌 (The Star-Spangled Banner)
2. 映画『E.T.』より フライング・テーマ  (Flying Theme from E.T. the Extra-Terrestrial)
3. 映画『未知との遭遇』より(Excerpts from Close Encounters of the Third Kind
)
4.映画『ジョーズ』より 「樽のチェイス」 (The Barrel Chase from Jaws)
5. 映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』より 「洞窟シークエンス」(The Cave from Raiders of the Lost Ark)
6. 映画『ハリー・ポッター』より 「ヘドウィグのテーマ」(Hedwig's Theme)
7. 映画『ハリー・ポッター』より 「ハリーの不思議な世界」 (Harry's Wondrous World)
8. 映画『スター・ウォーズ』より 「玉座の間」と「エンド・タイトル」(Throne Room and End Title from Star Wars)

前半では、スピルバーグ監督作品を中心に、多彩なサントラが披露された。

また、今回はスペシャルゲストとして、女優ブライス・ダラス・ハワードが登壇し、司会進行役を務めた。

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画像:曲紹介や制作秘話など披露する、女優ブライス・ダラス・ハワード

演奏前には、ブライス・ダラス・ハワードによる曲紹介および解説が入り、その中で披露された、映画『E.T.』のフライング・テーマのレコーディング時のエピソードは、大変興味深いものがあった。

レコーディング時、ジョン・ウィリアムズは編集された映像のタイミングに、演奏をピッタリ合わせるのに苦労していたという。それを見たスピルバーグ監督は、「映像のタイミングの事は一度忘れてください。自由なタイミングで、貴方が思う最高の音楽を演奏してください」と指示し、映像は後からサントラに合わせて再編集する形で、タイミングを微調整したのだそう。

また、映画『ジョーズ』の作曲の際は、ジョン・ウィリアムズが「サメが迫ってくる迫力を出すため、”ミ”と”ファ”の2つの音だけを使って、曲を構築していこうと思う」というアイデアを提案。最初、スピルバーグ監督は、それを冗談だと思っていたエピソードなど、こう言った制作舞台裏のエピソードが聞けるのも、ハリウッドならではであろう。

また、映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』は、映画本編のクリップと一緒に演奏され、かなりの臨場感があった。


第2部/後半:
9. 映画『スーパーマン』(1978)より マーチ (Superman March)
10.『オリンピック・ファンファーレとテーマ』 (Olympic Fanfare and Theme)
11. 映画『リンカーン』より(With Malice Toward None / from Lincoln)
12.映画『ジュラシック・パーク』のテーマ (Theme From Jurassic Park)
13.映画『シンドラーのリスト』より (Theme From Schindler's List)
14. 映画『E.T.』より フィナーレ (Finale from E.T. The Extra-Terrestrial)

後半は、まず冒頭で「映画『スーパーマン』(1978)より マーチ」が演奏された。昨年、新作が公開された事もあって、若い世代にも比較的おなじみのフレーズだったのではないだろうか。

また、オリンピック関連の番組で必ず流れる『オリンピック・ファンファーレとテーマ』や、『ジュラシック・パーク』のテーマを、オーケストラの生演奏で聴けたのは嬉しい。

『シンドラーのリスト』では、ロサンゼルス・フィルハーモニックのコンサートマスター、ビング・ワン(Bing Wang)による、悲哀に満ちた見事なヴァイオリン ソロが、観客の心を惹きつけていた。

さて、コンサート終盤、ステージ上のスクリーンには、過去のサントラ収録やコンサートでジョン・ウィリアムズが自ら指揮を振る映像などが映し出され、感慨深いものがあった。

が!

そこに、なんと、突然、ジョン・ウィリアムズが、車椅子に座って、ステージ上にサプライズ登場した。

これは事前告知されておらず、予想外の出来事に、観客は全員発狂した(笑)

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画像:ステージ上から、観客に手を振る、ジョン・ウィリアムズ

しかも、車椅子に座ったまま、アンコールで「帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)」を指揮。
満員の観客席からは一斉にライトセーバーが乱舞したのは言うまでもない。

お元気そうな姿を公の場に見せたのは、2023年ぶりではないだろうか。
これは、ファンにとっては最高のプレゼントであった。

○おわりに

という訳で、今回はサプライズ登場があった事もあり、最高のコンサートであった。

ハリウッド・ボウルはハリウッドのチャイニーズ・シアター付近から徒歩でも10分程で、シーズンは6月〜9月である。このシーズン中にロサンゼルスを訪れる際には、是非とも訪問して頂きたい場所の1つである。

きっと素晴らしい思い出として、一生心に残るコンサートになる事だろう。

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