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Special 2026.09.08 UP

第4回|韓国と台湾が「シリーズマニア」で打ち出す、アジア発ドラマ戦略

テレビ業界ジャーナリスト 長谷川 朋子

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シリーズ・マニア2026のカントリー・オブ・オーナーを務めた韓国KOCCAの大型出展ブース。(筆者撮影)

ドラマの国際共同制作を探る欧州最大級のマーケット「シリーズマニア2026」では、アジア勢の存在感も目立った。なかでも韓国と台湾の動きから見えてきたのは、ヒット作を海外に「売る」だけではない、新たな海外戦略だ。それぞれ異なる強みを武器に、企画段階から世界との接点を広げようとしている。現地取材からアジア発ドラマの現在地を探る。

韓国が次に打ち出す「ウェブトゥーンIP」

2026年3月にフランス・リールで開催されたシリーズマニアで、韓国は初めてカントリー・オブ・オナーに選ばれた。韓国コンテンツ振興院(KOCCA)が主導し、Channel A、CJ ENM、KBS Media、MBC、SLL Joongang、Studio S、WHYNOT MEDIAなど、韓国を代表する企業が参加し、大型ブースを出展した。

韓国ドラマはNetflixをはじめとするグローバル配信サービスを通じて、すでに世界的な存在感を確立している。それでもシリーズマニアの会場で強く感じたのは、完成したドラマを海外に販売するだけではない、次の展開を見据えた動きだった。その一つがウェブトゥーンIPである。

韓国の最新シリーズを紹介する「Coming Next from Korea」では、放送中や開発中のオリジナルシリーズと並んで、ウェブトゥーンIPも欧州の業界関係者に向けて紹介された。WEBTOON Entertainment傘下のStudio N CEO、ミキョン・クォン氏は、シリーズマニアのセッションで「ウェブトゥーンは韓国から世界へ向けた次の輸出品として、エンターテインメント市場に大きな影響を与えるだろう」と期待を示した。

WEBTOON Entertainmentが展開するプラットフォームには、世界で月間約1億6000万人のアクティブユーザーがいる。つまり、そこには膨大な数の作品だけでなく、すでに読者から支持され、ファンダムを形成しているIPが蓄積されている。映像化する側から見れば、どの作品がどの地域や世代に支持されているのかというデータを持つIPでもある。完成した韓国ドラマを世界に届けるだけではなく、世界で展開できる「原作」を継続的に生み出す。韓国コンテンツの強さを支える仕組みそのものを、国際市場に提示しようとしているように見えた。

台湾は5年連続で公式パートナー参加

一方、異なるアプローチを見せているのが台湾だ。台湾クリエイティブ・コンテンツ・エージェンシー(TAICCA)は、シリーズマニアに5年連続で公式パートナーとして参加している。その象徴が「Asia Co-Pro Pitch」だ。台湾のみならずアジア全体のプロジェクトを対象とし、今年は台湾とタイ、台湾とイギリス、シンガポールなど、複数の国・地域をまたぐ4つのプロジェクトが発表された。

さらに、TAICCAのSerial Bridges Asiaワークショップ参加プロジェクトを対象とする「Serial Bridges Asia Award」も今年から新設された。受賞企画には最大6万ドルの開発資金が提供される。初回は、台湾の孤立した村を舞台にした犯罪スリラー企画『The Fundamentals』が選ばれ、欧州の審査員からローカルな文化的背景と国際的な訴求力を両立させた点が評価された。

なぜ台湾は、これほど国際共同制作に力を入れるのか。TAICCAのCEO、エリカ・ワン氏はシリーズマニアのパネルで、台湾コンテンツが世界で流通するために最も不足しているものとして、「資金力」と「国際流通チャンネル」を挙げていた。

台湾はこうした課題に向き合い、企画開発の段階から海外の制作者と組むことで、資金調達や国際流通へとつなげようとしている。つまり国際共同制作を個々の取り組みにとどめず、台湾発のドラマを世界へ届けるための仕組みとして、国の戦略に組み込んでいるのだ。

日本が取り組む海外ピッチ支援事業

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シリーズ・マニアで今年も台湾のTAICCAが企画するピッチングプログラム「Asia Co-Pro Pitch」が開催された。(筆者撮影)

シリーズマニアでこうしたアジア勢の動きを取材した数カ月後、日本でも国際共同制作を前提とした新しい取り組みが進み始めている。

総務省による海外ピッチング支援プログラム「Japan Drama First Look: Co-Pro Pitch」である。日本の放送局や制作会社などが持つドラマ企画を募集し、海外マーケットでのピッチングを見据えてブラッシュアップしていく事業だ。筆者もアドバイザーとして参加し、8月に行われた韓国コンテンツマーケットBCWW向けの模擬ピッチに立ち会った。

そこで改めて感じたのは、国際共同制作では、物語そのものの面白さに加えて、「なぜこの企画を日本から発信するのか」「なぜ海外のパートナーと組むのか」を伝えることの重要性だ。

韓国はウェブトゥーンIPという資産を世界市場へ提示する。台湾は国境を越えて企画を育てるネットワークを構築する。それぞれ方法は異なるが、自分たちが持つ強みと海外と組む意味を明確にしながら、世界との接点を作ろうとしているなか、海外市場を見据えた日本のドラマ企画は、何が武器になるのか。日本もようやく、その答えを実践の中から探る段階に入り始めたのかもしれない。

次回はシリーズマニアで注目された企画やピッチングを改めて振り返りながら、日本発の企画を国際共同制作として成立させるために何が必要なのかを考える。

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