【NEWS】小寺信良のNAB Show 2019報告(1)常に新しい扉を開け続けるNAB Show

2019.4.26 UP

一番上がBlackMagic Desgin ATEM Constellation 8K本体

一番上がBlackMagic Desgin ATEM Constellation 8K本体

Decimator Designの最新モデルはHDMI-SDIの4K対応クロスコンバータ

Decimator Designの最新モデルはHDMI-SDIの4K対応クロスコンバータ

ローランド初の4Kスイッチャーは、HDRにも対応

ローランド初の4Kスイッチャーは、HDRにも対応

サウスホール2階奥は巨大ディスプレイ見本市と化している

サウスホール2階奥は巨大ディスプレイ見本市と化している

 4月8日から11日の4日間、米国ラスベガスにてNAB Show 2019が開催された。昨今のNABは、以前よりもパワーが落ちているのではないかとも言われている。確かに以前なら、会期前の土日は各メーカーのプレスカンファレンスで市内のホテルは一杯だったし、あちこちでレセプションが開催されていたものだった。しかし今、前週からラスベガス入りしても、プレスカンファレンスは数えるほどしかない。
 しかしそれはショーのパワーが落ちたというより、映像機器のカバレッジが広くなり、NABだけに集中しなくなったという背景もあるように思える。いい具合に力が抜けてきた、そういうショーになりつつあるようだ。そんな今年のNABでは、継続的イノベーションと、破壊的イノベーションの両方が見られたことポイントだった。2回に分けて、NAB Show 2019報告をお送りする。(小寺信良)
(写真上=今年のNABのキャッチフレーズは、「Every story starts here」)

 
■進化が止まらない世界
 継続的イノベーションを印象づけたのは、BlackMagic Designだ。例年会期前日に、会場のあちこちに広告が張り出されて、会期前にネタバレしてしまうのだが、今年のBlackMagic Designは最初から8K押しの広告を惜しげもなく披露。実際の製品もすごいものだった。

 特にATEM Constellation 8Kは、12G SDIクワッドにより8Kソースを10系統スイッチングでき、PinPなどのエフェクターや複数キーヤーも使えて¥1,138,000(税抜価格)と、破格の値段だ。4Kモードで運用すれば、40IN・28OUT、4M/E、4DVE、16Key、4DSKという巨大システムとなる。

 コントロールパネルは別売だとしても、本体が100万円チョイで買えてしまうというのは、競合他社殺し以外の何ものでもない。実際に製品が出てみれば、いろんな難が指摘されるかもしれないが、それでも競合他社を「やべえ」と困らせるには十分なインパクトだ。

 個人的に今後名前を覚えておきたいのは、Decimator Design。ここ数年NABに足を運んでいる方なら、至る所で広告を打っているので「ああ、あれか」とご記憶のことだろう。コンバータやマルチビューといった製品を低価格で提供する、オーストラリアのメーカーである。最新モデルのHDMI-SDIの4K対応クロスコンバータは、スケーラーフレームレートコンバータを内蔵して495ドルだ。

 このプロフィールを聞いて「どこかで聞いたような…」と思った方は、業界長い。かつてBlackMagic Designも、同様のポジションだったのだ。以前はAtomos、AJA、Mirandaなど、この分野には多数のメーカーがひしめき合っていたが、それぞれ大きくなったり買収されたりして、このジャンルに空洞化が起こっている。そこに上手く滑り込んだ格好だ。

 コンバータが作れるということは、各種信号規格の細かいところまでわかっているという事である。そこをベースに、次なる展開を狙ってくる可能性もある。

 マルチコンバータから現在の地位を築いたメーカーに、ローランドがある。かつてVC-300HDというコンバータの名機を世に送り出したが、この知識がベースとなって、マルチフォーマット対応スイッチャーを数々と繰り出している。

 今年米国で初披露となったのが、4K/HDR対応のV-600UHDだ。コントロールパネルと本体が一体、かつテーブルトップで使える4Kスイッチャーは、まだまだ珍しい。加えてHDから4Kのアップコンバータを内蔵するだけでなく、HDRからSDRへのコンバート機能も内蔵する。

 この背景には、中国から大量にやってくる大型LEDディスプレイの影響が大きい。ブース内展示やイベントのステージなどに、高輝度の巨大LEDが設置されるケースは多くなって来ているが、これら高輝度ディスプレイは、SDRのカメラでは手前の人物も含めてディスプレイまで、輝度が上手く収まらない。

 したがってHDRのカメラで撮影することになるが、実際に撮影映像がネット配信や放送で使われる際には、SDRにせざるを得ないわけだ。そこまでスイッチャー内でリアルタイムにやっていこうというのが、このスイッチャーの隠れた意図である。
(2に続く)

一番上がBlackMagic Desgin ATEM Constellation 8K本体

一番上がBlackMagic Desgin ATEM Constellation 8K本体

Decimator Designの最新モデルはHDMI-SDIの4K対応クロスコンバータ

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ローランド初の4Kスイッチャーは、HDRにも対応

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サウスホール2階奥は巨大ディスプレイ見本市と化している

サウスホール2階奥は巨大ディスプレイ見本市と化している