【INTER BEE CONNECTED 2018 セッションレポート】「盛り上がる放送局のオウンドメディア」~番組情報をニュース発信する価値~

2018.12.14 UP

放送局のオウンドメディアを定義し、議論が進められた

放送局のオウンドメディアを定義し、議論が進められた

外部ニュース配信やSNSなどからも流入を図るTBSラジオの番組記事

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メディアである放送局が自ら番組情報をインターネット上で発信する「オウンドメディア」機能を強化する動きがここのところみられる。この最新の取り組みを紹介するセッションがINTER BEE CONNECTED で企画された。テレビ東京と読売テレビ、TBSラジオの3社が登壇し、「盛り上がる放送局のオウンドメディア」をテーマに課題と可能性について語った。
(テレビ業界ジャーナリスト/長谷川朋子)

パネリストとして迎えた3社はそれぞれ独自のオウンドメディアを構築中である。「テレビ東京スポーツ」など自社番組のニュースサイトを立ち上げているテレビ東京コミュニケーションズ取締役 本田光範氏と、オリジナル記事を充実させている「読みテレ」を運営する讀賣テレビ放送東京宣伝部 西川章洋氏、全番組の記事化を進めているTBSラジオ インターネット事業推進部部長 萩原慶太郎氏が説明を行った。

進行はメディアコンサルタントの境治氏が務めた。はじめに境氏は今回の企画セッションの目的と共に一般企業のオウンドメディア事情を紹介し、「マーケティング活動のなかで自らメディアを立ち上げ、情報発信する事例が増えてきた。そのためのメディアがオウンドメディアである」と説明した。さらに放送局が取り組むオウンドメディアの目的について「番組が記事化されることは当たり前のことかもしれないが、自ら記事にすることで、コントロールしやすい情報が拡散される。さらにそれがバズることで、宣伝にも繋がっていく」と述べた。

続いて、登壇各社がそれぞれオウンドメディア活動を紹介した。テレビ東京のオウンドメディアは「ネットもテレ東」や「テレビ東京ビジネスオンデマンド」「テレビ東京スポーツ」などの自社の番組配信プラットフォームと、番組ホームページ、見逃し配信サービス「TVer」などの自社外配信プラットフォームの3つの活動から構成されている。オウンドメディアを推進する理由について本田氏は「従来の番組Webサイト自体の役割が変化し、Web改革を進めている」と説明した。また取り組むなかで「既存宣伝媒体との社内競合問題」や「ネット上の規制によるお色気記事封印」など、苦労も伴いながら変遷をたどっていることを明かした。

読売テレビは2017年8月から「読みテレ」を始動した。記事本数は現在のところ週5本程度、シンプルなインターフェースを構築し、記事内に見逃し動画リンクなども埋め込み、番組視聴を促している。編集方針については西川氏が「手前味噌感や番組宣伝臭がない記事の発信を心掛けている。さらにメディアとしての価値を上げるために自社番組関連の記事にとどまらずテレビ業界全体をテーマにしたコラムやインタビュー記事なども投入している」と説明した。これまでドラマ『ブラックリベンジ』や情報バラエティ『秘密のケンミンSHOW』を話題にしたオリジナル記事が数万PVを記録したこともあったという。

TBSラジオは「放送ビジネスのデジタルトランスフォーメーション」を推進するなか、オウンドメディア化を強化するため2016年3月に公式サイトを全面リニューアルした。目的も明確にし、「ラジオ非接触者へのリーチ」と「記事のマネタイズ」を図っている。その結果、現在月間約200万人のユーザー数、約600万PVを有する。1か月に投稿される記事数は約1200本に上り、記事から同時配信サービス「radiko」への平均クリック率は4~6%という。萩原氏は「ラジオ業界全体でオウンドメディア化が進んでいる。ラジオは音メディアであるため、プレゼンスがなかなか上がらない。だから自分たちで記事化している」と説明した。

またオウンドメディア化を進めていくなかで、社内理解の必要性や収益化の課題があることも議論された。最後に今後の展開について、本田氏は「番組をブランド化させるツールとして活用していく」、西川氏は「記事全体でリーチさせていきたい」、萩原氏は「広告との相互関係で成長させていきたい」と述べた。

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