【INTER BEE CONNECTED 2018 セッションレポート】「ここまで来た テレビ番組の海外展開」~拡張期にあるグローバルビジネス~

2018.12.17 UP

総務省発表「海外市場における放送コンテンツ関連売上グラフ」

総務省発表「海外市場における放送コンテンツ関連売上グラフ」

ベトナム版『新婚さんいらっしゃい』も現地で人気番組として続いている

ベトナム版『新婚さんいらっしゃい』も現地で人気番組として続いている

テレビ番組の海外展開は今、質的にも量的にも拡大期にある。そんな広がりをみせる海外ビジネスをフォーカスしたセッションがINTER BEE CONNECTED で企画された。TBS、日本テレビ、フジテレビ、朝日放送の4社が登壇し、「ここまで来た テレビ番組の海外展開」をテーマに現状を語った。
(テレビ業界ジャーナリスト/長谷川朋子)

パネリストには海外ビジネスに携わる4社を代表し、TBSテレビ メディアビジネス局海外事業部チーフの杉山真喜人氏、日本テレビ 海外ビジネス推進室海外事業部次長西山美樹子氏、フジテレビ コンテンツ事業室早川敬之氏、朝日放送グループのABCインターナショナル代表取締役社長井上修作氏の4氏が並んだ。

進行役は海外番組販売について長年にわたり研究を続ける佛教大学社会学部教授大場吾郎氏が務め、はじめに海外市場における放送コンテンツの売上状況を説明した。総務省の発表によると、調査に協力した放送局147社の番組関連輸出額は2016年度に393.5億円を計上した。「年々輸出額は拡大している。ポイントは番組を海外の放送局に販売するだけでなく、ネット配信や商品化、フォーマット販売などビジネス展開が広がっていることにある。既存の権利ビジネスが拡張していることがこのグラフから読み取ることができる」と大場氏は解説した。

続いて、各社から現状が報告された。TBSは直近5年の海外売上は連続2桁増で好調に推移している。なかでも、海外でトップセールスを誇るスポーツエンターテイメント番組『SASUKE』の現地版制作数は21か国を数え、商品化や出版、トラクション施設にまで様々な展開をみせているという。「番組販売から始まったこれら全てのビジネスを日本側に有利な契約で進めることができた。コンテンツ制作能力と社内理解、自助努力だけでない海外エージェントや取引先との信頼関係が強みにある」と杉山氏はまとめた。

日本テレビは海外での代表ヒット作にリアリティ番組『マネーの虎』を挙げ、現地版が制作、放送されているイギリスやアメリカでは今もなおプライムタイムで高視聴率を獲得している。またトルコでリメイクされたドラマ『Mother』は現地で大ヒットを記録し、世界31か国・地域に売れた。同じ坂元裕二作品である『Woman』もトルコでリメイクされ、現在シーズン2が放送中。全トルコのドラマの中で視聴率ナンバーワンの人気ぶりという。西山氏は「トルコは世界第2位のドラマ輸出国。広げ方が上手な国に売って、世界展開を拡大させるやり方もある。実際に『Mother』はあっという間に世界に広がっていった」と説明した。

フジテレビの海外展開戦略は「2次利用から0次利用」にシフトさせている。放送と共にNetflixでも日本先行配信されているアニメ『イングレス』は、フジテレビが2016年に米ナイアンティック社に出資したことをきっかけに広がっていったものだった。早川氏は「ナイアンティック社が持つゲームアプリ『ポケモンGo』の大ヒットを受けて、当時、フジテレビの株価も上昇。商機を拡張しようとアニメ化が決まったものだった」と明かした。

朝日放送は『新婚さんいらっしゃい』のベトナム版が現地でヒットしていることを報告した。ベトナム版でもお決まりの桂文枝さんが椅子から転げ落ちるシーンまで再現されている。「コケルところは見様見真似でもできるかもしれない。けれども、見た目だけではわからない裏側に番組作りのアイデアが詰まっている。人選など番組のノウハウをフォーマットとして売り、現地版が制作されているから、高視聴率に繋がっていると思う」と井上氏は分析する。

各社の好調な様子などが報告される一方、韓国や中国などアジア各国の制作力は高まり、NetflixやAmazonなど新興勢によって世界の番組市場の勢力構図は変わりつつある。こうした状況のなか、各社ともに危機感も持ち、競争力のあるうちに攻めるべき海外展開についての意見交換が続いた。

総務省発表「海外市場における放送コンテンツ関連売上グラフ」

総務省発表「海外市場における放送コンテンツ関連売上グラフ」

ベトナム版『新婚さんいらっしゃい』も現地で人気番組として続いている

ベトナム版『新婚さんいらっしゃい』も現地で人気番組として続いている

#interbee2019

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