【Inter BEE 2017】業界横断の才能たちが新しいメディア表現に「点火」する瞬間に立ち会う――INTER BEE IGNITION企画セッション「メディアの固定概念を壊す!」

2017.11.8 UP

活発な議論が展開された打合せ

活発な議論が展開された打合せ

(左から)西村氏、佐宗氏、水口氏

(左から)西村氏、佐宗氏、水口氏

(左から)戸村氏、押尾氏

(左から)戸村氏、押尾氏

 メディアの変革とエンタテインメント表現の進化の可能性を示すイベント「INTER BEE IGNITION」が、今年のInter BEE 2017でも開催される。2017年は「Show Biz」「Music」「Sports」を中心に、クリエイターとコンテンツ、テクノロジーがコラボレーションして生み出す新しい映像表現への挑戦の姿を紹介する。
 基調講演、企画セッション、展示で多面的に構成される今年のINTER BEE IGNITIONのコンテンツの中で、注目のセッションが「メディアの固定概念を壊す!」だ。セッションのタイトルからして刺激的なオーラを発しているが、登壇者の顔ぶれとそのメディア表現への思いはタイトルを超える熱を持っている。モデレーターは、SENSORS.jp編集長でHEART CATCH代表取締役の西村 真里子氏。西村氏の声掛けに反応したテレビ局、メーカー、メディアデザイナー、イノベーションプロデューサーと業界を横断する4人の才能が、新しいメディアの概念を生み出すその場に、立ち会ってみてはいかがだろう。

 ※上写真=左から水口哲也氏(エンハンス CEO)、西村真里子氏(SENSORS.jp編集長/株式会社HEART CATCH 代表取締役)、押尾由起子氏(日本放送協会 制作局 第一制作センター 生活・食料番組部 チーフ・プロデューサー/ 編成局 デジタル編成デジタルラボ チーフ・プロデューサー)、戸村朝子氏(ソニー株式会社 UX・事業開発部門 UX企画部 コンテンツ開発課 統括課長)、佐宗邦威氏(株式会社 biotope 代表取締役)
 
 (INTER BEE IGNITIONのセッションはInter BEE 2017の展示ホール6のINTER BEE IGNITION内オープンステージで開催。オープンステージでのセッション聴講は予約不要。Inter BEEへ入場(無料)の事前登録が必要。
 (INTER BEE IGNITION 基調講演のみ国際会議場2階 「コンベンションホールA」で開催)

■8K、VRの時代に、映像のプロが繰り出す新世界への誘い
 既存メディアの代表とも言えるテレビ局、NHKからの登壇となるのが押尾 由起子氏。肩書を見ても、制作局番組チーフ・プロデューサーでありながら、編成局デジタルラボにも所属、メディア表現に多面的に関わっていることがわかる。
 押尾氏の行っている実験的取り組みが、米国マサチューセッツ工科大学メディアラボとの共同研究で開発した「8K TIME MACHINE」(NHKスタジオパーク内に試験機を展示)。8Kディスプレイの高い解像度を生かし、画面を64分割(SD画質を保持)して、NHKの豊富な過去の番組映像をマルチ表示、さらにタッチ操作で簡単にアクセスできる。8Kをテレビ放送の受像機だけではなく、細部までクリアな画質で、たくさんの情報を一覧化できる、使い勝手の良いディスプレイとして考えれば、表示コンテンツは8Kに縛られず無限にある…という発想だ。
 8Kも超えうる新しい映像表現にハードウエアとユーザー体験の両面からアプローチしているのが、ソニー UX・事業開発部門 UX企画部 コンテンツ開発課 統括課長の戸村 朝子氏だ。2017年初頭に行われた国際的な展示会のCESで、高画質ディスプレイ技術「Crystal LED ディスプレイシステム」を使った横9.7×縦2.7メートルの大画面に向けたコンテンツを作成して会場を驚かせた。
 それは、超高精細で継ぎ目が視認できないレベルまで追い込まれ、再現力を徹底的に追求したディスプレイだ。「REALの置換」を狙い、舞台上の画面に映し出された映像に登場する架空のCGダンサーたちと一緒に、本物のダンサーが踊り出すというもの。超高精細で等身大の映像のCGダンサーと、その前で踊るリアルのダンサーが、コンテンツを見る人にとってどちらがリアルかの区別がつかなくなるような「超臨場」体験を提供した。ほかにも最新技術を活用して音楽ファンに新しい体験を届けるブランド活動「Lost in Music」での VR(仮想現実)と音楽のコラボレーションなど、ハードウエアとコンテンツの掛け算から生み出される新しい世界への挑戦を最前線で続ける。

■メディアが伝えるものは、「情報」から「体験」へ
 VRやAR(拡張現実)により、メディアによる新しい体験を創り出しているのが、エンハンス CEOを務める水口 哲也氏だ。VRで楽しめる共感覚アドベンチャー「Rez Infinite(Rez∞)」は、2016年に最新の技術を駆使し、VRに最適な体験としてデザインされた。ゲームという体験を、スクリーンの「向こう」の世界で起こる事象を楽しむものから、VRで「世界の中に入って」楽しむものへと変化させている。
 映像におけるVRに限らず、音に合わせて身体の各部位をそれぞれ振動させられる「シナスタジア(共感覚)スーツ」を使った新たな体験も提供する。期待されるVRですら入り口に過ぎず、ARやMR(混合現実)とIoTが連携することで、「体験を送受信できる」メディアの未来を予見する。
 イノベーションプロデューサーでbiotope 代表取締役を務める佐宗 邦威氏は、多様なコンテンツやハードウエアを組み合わせて、メディアに新しい価値を吹き込もうとしている。NHK教育テレビと組んで、コンテンツ資産を生かしたメディアの新しい形を考える取り組みを実施している。MooC, VR, 4K8Kなどの技術テーマによるメディアの再定義を異業種の企業と共に考える取り組みの中で、VRを使った食育プログラムでは、子どもたちが農産物を作ってから流通して食べるところまでのプロセス全体を「体験」できるコンテンツを作成。360度の情報を切り取らずに提供することで、メディアが提供できる価値が変化していくことを実践で示している。

■壊す方法論を持っている人たちのメディアへの提案
 モデレーターの西村氏は企画セッションで、こうしたパネリストの才能をどのように生かした「場」を作ろうと考えているのだろうか。「刺激的なタイトルの下に、既存のメディアを壊す方法論を持っている方々が集まってくれました。映像、音のメディアの新しいフォーマットを考えていくヒントを、このセッションで受け取ってもらえたらと思います」と西村氏。プロフェッショナルな来場者が多いInter BEEだけに、実際に新しいメディア作りを実行するためのヒントや方法論を提供したい考えだ。
 西村氏の狙いは、もう1つある。「来場者個人が考え実行するというだけでなく、帰属するチームや組織の実行に生かしてもらいたいです。INTER BEE IGNITIONの議論が、来場者皆さんの仕事の現場で、組織単位のエグゼキューション(実行)を点火=IGNITIONできるようなセッションにしたいです」。セッションに参加して、業界を横断する才能に、新しいメディアの世界へ飛躍するためのイグニッションボタンを押してもらおうではないか。

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INTER BEE IGNITION 企画セッション「メディアの固定概念を壊す!」
11月16日(木)10:30-12:00
(展示ホール6のINTER BEE IGNITION内オープンステージで開催。聴講無料)
  ※Inter BEE会場への入場は無料。要事前登録。
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◆Inter BEE 2017 開催概要◆
■会期:2017年11月15日(水)~11月17日(金)〔3日間〕
■展示時間:11月15日(水)・16日(木)10:00-17:30/17日(金)10:00-17:00
■会場:幕張メッセ(展示ホール1~8、イベントホール、国際会議場)千葉市美浜区中瀬2-1
■入場:無料(登録制)
■主催:一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)
■後援:総務省、経済産業省(建制順)
NHK、一般社団法人日本民間放送連盟、一般社団法人電波産業会(順不同)
■運営:一般社団法人日本エレクトロニクスショー協会(JESA)

活発な議論が展開された打合せ

活発な議論が展開された打合せ

(左から)西村氏、佐宗氏、水口氏

(左から)西村氏、佐宗氏、水口氏

(左から)戸村氏、押尾氏

(左から)戸村氏、押尾氏

#interbee2019

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