【InterBEE 2010 プレ・インタビュー】キヤノンマーケティングジャパン 昨年よりブースを拡大しキヤノン初の3Dデモも実施 出展テーマは“FULL HD IMAGING EYE-LAND ”

2010.11.16 UP

キヤノン 九間氏

キヤノン 九間氏

XF105

XF105

<InterBEE2010 プレインタビュー>

出展社:
キヤノンマーケティングジャパン株式会社

<インタビュー>
キヤノンマーケティングジャパン株式会社
産業機器販売事業部
放送機器営業本部
放送機器営業部
部長 中野 芳充 氏

キヤノン株式会社
イメージコミュニケーション事業本部
カメラ開発センター
主席研究員 久間 賢治 氏

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■製品展示の3つの柱「放送業務用ズームレンズ」「ファイルベース業務用ハイビジョンカメラ」「EOSデジタル一眼レフ」 

 キヤノン/キヤノンマーケティングジャパンでは、InterBEE本来の出展分野である放送用/業務用レンズに加えて、ファイルベースカメラの新製品群を投入した業務用ビデオカメラ製品、そして世界中で新たな映像制作市場を作りつつある、デジタル一眼レフカメラEOSによるムービー撮影と、幅広い層へ向けての展示を行う。(以下、回答は中野氏)

 「今年の当社ブースでは、出展テーマを“FULL HD IMAGING EYE-LAND ”と題し、昨年よりも少し大きなブース面積で、ハイビジョン機器のコーナーとセミナーコーナーの大きく2つの島をつくって展開します」
 「機材の展示内容としましては、50年の歴史を誇る放送用業務用ズームレンズとファイルベースの業務用ハイビジョンビデオカメラ、そしてEOSのデジタル一眼レフのコーナーという3つの大きな柱とで具体的な機器展示を行います」


■防振機能内蔵の放送用HDレンズ『HJ15×8.5B KRS-V』を国内初出展

 50年の歴史を誇るキヤノン放送用レンズは、2つの新製品を主軸に展示を行う。
 「放送用HDレンズでは、昨年のInterBEE2009では参考展示していたキヤノン独自のブレ補正技術である“バリアングルプリズム”を放送用HDレンズとして初めて内蔵型の防振機能を組み込んだ『HJ15×8.5B KRS-V』の実機を国内初出展します」
 「こうした防振レンズは、通常スポーツ中継で主にマラソン、駅伝などのロードレース中継用としての用途認識が高いのですが、それ以外の報道用での利用でも有効ではないかと考えています」


■テレビの大型化によるモーション・シックネスを緩和

 「現在、課題になっている家庭用テレビが大型化したことによるモーション・シックネスの問題、これは大型ハイビジョン画面の揺れなどによる不快感などですが、これを軽減するためにももう少しテレビ画面が止まった方がいいという意見があります。このレンズで撮影することで、ご家庭でのテレビ画面をもう少し落ち着かせたいと考えています」
 「もう一つは、ワイヤレスレンズコントロールボックス『WB-10T/WB-10R』。これはゴルフや野球のスポーツ中継などでの三脚撮影から担ぎの撮影に移る際に、ケーブルなしでレンズのコントロールができるものです。Bluetoothを使用した技術ですので混信もなく、スタジオ収録でのクレーン等での使用でも安心してお使い頂けるものです」


■3D撮影デモでは、ローコストタイプと放送レベルの2方式を紹介 レンズの同期システムも参考出展

 業務用ビデオカメラでは、ハンディサイズの高性能な新製品が登場する。

「業務用ビデオカメラでは、新製品のXF105/100と、XF305/300、そして3Dの展示を行います。すでに欧米では今夏に発表した最新機種のXF105/100を、国内でも11月4日に正式に発表しました」
 「InterBEE2010で国内初出展となり、既に発売しているXF305/300に比べて、体積比約41%、重量比で約44%という小型筐体であるにも関わらず、MPEG 2 4:2:2 50Mbps搭載した高性能カメラです」

 「特徴として、ワイド端30.4mm F1.8 10倍ズームという、広角にこだわった新開発レンズを搭載していることと、撮影アシスト機能として、ズームの光軸中心のズレを補正するなどの“オプティカル・イメージ・スタビライザー”機能を搭載しています。この機能は、3D撮影時の2台のカメラの光軸や画角の調整などが簡単にできるサポート機能としても有効です」
 「今回、当社でも3D関連の展示をします。ローコストな小型版3D撮影システムとして、このXF105を2台使用したレッドローバー製の平行リグを採用したものと、放送向けの3Dシステムとして、世界的なサッカーイベントなどで使われた当社の3Dシステムがあり、キヤノンレンズと放送用HDカメラ、そして3Dビデオプロセッサーとハーフミラーリグを使用した放送レベルのモデルの2つを展示する予定です」

 「そこに12月以降にリリース予定の、新たなレンズの同期システムなどの参考展示も行います。3D撮影に関しての展示は今回当社としては初展示となります。」

 XF105/XF100はともに2011年1月中旬ごろの発売を予定しており、ともにオープン価格であるが、XF105(HD-SDI等入出力端子が付属)で市場想定価格40万円前後、XF100で30万円前後を見込んでいる。


■EOS初のバリアングルビュー液晶搭載「EOS 60D」を中心に展示 セミナーステージで具体的なユーザー事例も紹介

 またこのところ席巻しているEOSでの動画撮影についても“EOS MOVIE”コーナーとして展示スペースとセミナーを設ける。(以下、回答は九間氏)

「EOS に関しては、動画撮影時でも非常に有効なEOS初のバリアングルビュー液晶を搭載した新製品『EOS 60D』を中心に展示を致します」
 「またこの度、アップル社のファイナルカットプロ用プラグイン「EOS MOVIE Plug-in–E1 for Final Cut Pro」がver.1.1にバージョンアップし、日本では10月13日からダウンロード可能になっています」

 「今回は多くのユーザー様よりご要望を頂いていた、各種撮影情報の表示に対応しました。またマルチコアにも対応し、MacPro8コアを使用した際で、従来の約半分の時間でトランスコードできるなど非常に処理スピードが向上しています」
 「またブース内にセミナーステージを設けて、より具体的なユーザー事例をご紹介します。EOSに関しましてはテレビ番組等でのEOS MOVIEの使用実例をご紹介する場が少なかったので、このInterBEEという場では、実際制作された方にご登壇頂き、EOSでどのようなことができるのかを詳しくご紹介したいと考えています」


■変貌する放送業界に向けての、今後のキヤノンの指針

 レンズを中心に放送業界への製品供給を行っている同社として、地デジ化、市場の縮小が叫ばれている今後の放送業界に向けたビジネス展望とはどのようなものだろうか? (以下、回答は中野氏)

 「キヤノンが従来からビジネスとしている入力の分野で考えますと、放送だけを見てみると市場規模的に縮小傾向にあることは否めませんが、HD化という点においては、地上波以外の局、CATVなどでは、これからHD化への投資を考えられているところもあり、またキー局などでも第一世代のHD製作機器の更新時期が来ている事から、まだまだこのビジネスでの市場はあると考えています」

 「しかし、放送局もコンテンツの配信方法が多様化していることなどに比例して、今後はこれまでのように良いものを作っていれば買って頂ける時代ではありません。いかに効率的で良い製品をご提供出来るかという面が、これまで以上に強く求められてくるでしょう。そこでXF305のようなファイルベースカメラであったり、EOSといった利便性の高い製品が受け入れられているのだと考えています」

 「こうした放送業界の変化にも、我々は今後もそれに応えられるだけのポテンシャルを持っていると自負しています。また放送以外のコンテンツ制作に関しても、いまのSD画像には満足出来ないHD化への要望が増えてくることが想定され、我々の製品やソリューションが展開できる市場が広がる可能性はあると思います」


■映像文化の裾野を拡げた”EOS MOVIE” ピクチャースタイルのムービー撮影へ新たな提唱

 市場で益々注目され、支持され続けている“EOS MOVIE”については…
 (以下、回答は九間氏)

 「2年前のInterBEEで初めてEOS 5D markⅡを出展しましたが、その時は直前まで出展するかどうか決まっていませんでした。その後、まさかここまでの高いニーズを頂くとは考えていませんでしたが、お陰さまでロングセラーになりました」
 「“EOS MOVIE”に関しては本当に世界中の多くのお客様からのフィードバックを頂いています。多くの関連サイトも立ち上がっていて、我々も良く開発の参考にさせて頂いています」

 「CM、PVに関してはいち早く使って頂きましたが、海外では特にインディーズ系映画での需要が多く、新たな映像市場を拡げただけでなく、映像文化としてもその裾野を拡げたのではないかと思います」

 「このInterBEE2010での技術トピックとしては、ピクチャースタイルのムービー撮影への利用に関する提唱です。これは銀塩カメラの時代に用途別にフィルムを変えるというのがありましたが、それに該当する機能といえます」
 「製品に無償で同梱されているピクチャースタイルエディターというソフトがあり、これを活用すれば、ムービー用途としてももっと面白い画を撮影できるというところを今回のセミナーでご紹介したいと思います。これにより撮影の幅がさらに拡げられることをぜひご理解頂ければと思います」

キヤノン 九間氏

キヤノン 九間氏

XF105

XF105

#interbee2019

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