【INTER BEE CONNECTED 2017報告】(5)「スポーツライブ配信」ローカルでのライブ配信がメジャースポーツも変えていく

2018.1.9 UP

リコネクトテレビジョン。コアなファンを開拓するため、ライブ配信は“質より量”の方向性を取る

リコネクトテレビジョン。コアなファンを開拓するため、ライブ配信は“質より量”の方向性を取る

日本テレビはHuluを用いたマルチアングル配信をしたり、Twitterで試合の冒頭のみライブ配信などの事例を紹介

日本テレビはHuluを用いたマルチアングル配信をしたり、Twitterで試合の冒頭のみライブ配信などの事例を紹介

 会期2日目のINTER BEE CONNECTEDステージは「スポーツライブ配信のポジションセッティング ~ニッチコンテンツからピョンチャンまで~」からスタート。テレビ放送にとって、スポーツの生放送は長くキラーコンテンツであった。しかし最近はDAZNやスポナビLIVEなど、ネットでのスポーツコンテンツ配信サービスの伸張が目覚ましい。東京五輪を3年後に控えた今、スポーツコンテンツの“ライブ配信”はスポーツというジャンルにおいてどのようなポジションなのか。先端的な実例を示すことでこの問いに迫っていったのが本セッションだ。(取材・文:関根禎嘉)


■リコネクトテレビジョン社のミッション
 リコネクトテレビジョン(以下、rtv社)は、登壇した代表理事・須澤聡太氏が学生ベンチャーとして立ち上げた企業だ。ローカルスポーツの振興を事業ドメインとして掲げ、スポーツライブ配信や動画メディアプロデュースを中心に事業を行っている。

 特に力を入れている競技がアメリカンフットボールだ。国内競技団体のオフィシャルライブ配信プラットフォーム「アメフトライブ」を運営することで、競技振興に貢献している。こうした競技団体との協業がrtv社のミッションとして一番大きいと須澤氏は言う。

 コアなファンを開拓するため、ライブ配信は“質より量”の方向性を取る。これを実現するために最低限2カメで配信が可能な態勢を整えている。また映像の著作権が競技団体に帰属するだけでなく、競技団体がセールスできる広告枠の運用も担うなど、リーグと一体となった運営をしているのが特色だ。
 テレビ局との関係構築も大きなミッションだという。読売テレビやMBSと協業し、地上波オンエアのない試合のライブ配信の制作を担っている。


■多様なデジタル展開を行う日テレのスポーツ中継
 一方日本テレビのスポーツへの取組みについて。スポーツ事業推進部の佐野徹氏が語った。
 同局は巨人戦、プロレス、箱根駅伝と、伝統的に規模感にこだわったスポーツ中継を続けてきた。

 そんな中、新しい取り組みが進んでいる。4年に一度開催されるグラチャンバレーの中継では、今年多様なデジタル展開を行った。
 Huluを用いたマルチアングル配信をしたり、Twitterで試合の冒頭のみライブ配信したりするといった事例を紹介。Twitterでの配信を打ち切った後はテレビ視聴に相当数が戻ってきたとのことだ。


■「枠」の呪縛を乗り越えるネット配信
 2020年東京五輪を控え、「スポーツには資金が入ってくることは間違いない」と佐野氏は断言する。その上で、テレビには枠の限界があることを指摘。
 この枠の呪縛を解き放ち、ビジネスとして成立させるためにrtv社の存在はよいことと佐野氏は評価する。「日の当たらないスポーツを配信すれば盛り上がってテレビ視聴に戻る」(佐野氏)。

 2018年にはピョンチャン五輪が控えている。その状況下であってもrtv社は「とにかく露出重視」(須澤氏)し、ローカルスポーツの配信を進めていく。須澤氏が希望を述べたとおりDAZNがコンテンツを買い上げればその競技の普及にとって非常に力強い。ビッグイベントを目前にしても、ローカル/マイナースポーツ振興の土壌づくりをしていくというスタンスは変わらない。


■「両極端」のアプローチが不可欠
 モデレーターを務めたテレビ朝日・経営戦略局の岩田淳氏は「両極端の方に出ていただいたが、両方必要だと思っている」とセッションを結んだ。

 国際大会・プロを頂点とし、アマチュアへ広がるピラミッド構造になっているのがスポーツだ。どちらが欠けてもスポーツの振興は成立しない。同様に、rtv社のような“下から”、日テレのような“上から”の両方のアプローチが、スポーツ自体のみならず映像メディアの成長のために必要に違いない。

リコネクトテレビジョン。コアなファンを開拓するため、ライブ配信は“質より量”の方向性を取る

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#interbee2019

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