【NEWS】JEITA新年会開催 水嶋会長「CPS/IoT社会実現へ向け基盤構築へ」、林経産大臣「エネルギー革新戦略を今春作成」、東原筆頭副会長「新技術が産業界の構造変革もたらす」

2016.1.6 UP

JEITA 水嶋会長

JEITA 水嶋会長

林 経産大臣

林 経産大臣

JEITA 東原 筆頭副会長

JEITA 東原 筆頭副会長

 電子情報技術産業協会(JEITA)は1月6日、東京プリンスホテルで新年賀詞交歓会を開催した。開催に先立ち、JEITA会長の水嶋繁光氏(シャープ 取締役 会長)があいさつに登壇し、CPS/IoTの重要性とJEITAの取り組みを紹介。さらに、CPS(Cyber Physical System)/IoT社会実現のための基盤整備へ向けた官民連携強化の必要性を説いた。
 続いて林幹雄経済産業大臣が来賓あいさつに立ち、国際社会での競争力強化へ向けた政府・省庁の活動を紹介するとともに、経済のさらなる好循環へ向けた投資への転化を呼びかけた。また、経済成長と環境対策の両立の重要性に触れ、「エネルギー革新戦略」の作成を今春実施すると述べた。
 JEITA代表理事 筆頭副会長の東原敏昭氏(日立製作所 代表執行役 執行役社長兼COO)は、乾杯のあいさつで登壇し「新たな技術トレンドが電子情報分野における産業界の構造変革にもつながる」と指摘しCPS/IoT社会の実現へ向けた基盤整備への事業活動に意欲を示した。

■JEITA水嶋会長「国際競争力向上への環境整備に期待」
 冒頭、JEITA会長の水嶋繁光氏(シャープ 取締役 会長)が新年のあいさつに登壇し、アベノミクス第2ステージにおける新「3本の矢」について、次のように述べた。
 「2015年は、アベノミクス第2ステージにおける新『3本の矢』が掲げられた。第1の矢は『希望を生み出す強い経済』の実現であり、2020年ごろに名目GDPを600兆円にすることを目標にしている。その中で、第四次産業革命へ向けた投資として、当協会の関心分野である『IoT』、『AI』、『ビッグデータ』も取り上げられた。安倍総理のリーダーシップのもと、具体的な計画の仕込みもなされるなど、着実に前に踏み出すことができた1年だった」
 また、国際的な競争が激化する中での政府・官庁との連携について下記のように言及した。
 「強い経済の実現へ向けて、競争環境に国際的な視点でのイコールフッティングはきわめて重要。今回、税制では成長指向の法人税改革として、政府・与党により、法人実効税率20%台への引き下げが前倒しで取り込まれた。また、通商においても、TPP協定の大筋合意、WTO情報技術協定(ITA)における品目拡大交渉の最終妥結という大きな進展があった。政府や関係者の皆様に深く感謝申し上げたい。今後も、戦略投資を後押しする税制や、経済連携のさらなる進化、日本企業の国際競争力向上へ向けた環境整備を進めていただくようお願いする」

■CPS/IoT社会実現のための事業活動に注力
 水嶋会長はまた、CPS/IoTに対する同協会の取り組み強化について次のように触れた。
 「昨年はIoT、ビッグデータ、AI、ロボティクスの動きが具体化した1年だった。協会においても、昨年はCPS/IoTの社会実装を見据えた事業活動に大きく舵を切った。具体的には1月に、CPS社会実装検討TF(タスクフォース)を設置し、会員企業のビジネススタンス拡大へ向け、環境整備を積極的に進めている。また、10月に立ち上がったIoT推進コンソーシアムにも参画し、政府が進めるIoT政策にも積極的に協力していく」
 水嶋会長は、「2016年の世界経済は、中国を始め新興国経済の懸念材料はあるが、全体的には回復傾向とみられる」とし、同協会が12月に発表した電子情報産業の世界生産を例にあげ「今年は327兆円、前年比3%増で、5年連続プラス成長をしている」と世界経済が成長基調であるとし、その中での競争力強化・成長エンジンとして「CPS/IoT」の重要性を次のように説いた。
 「今年はIoT、AI、ビッグデータ、ロボティックス技術を活用した新しい製品、技術やサービスがより具体的な形となって現れてくる。グローバルでの競争が激しさを増す中で、我々協会もCPS/IoTを成長エンジンとして、日本経済の確実な再生へ向けて、力を尽くしていきたい」
 「CPS/IoT社会を実現するためには、データ流通が促進される環境を整えることが肝要だ。それによって、新しいビジネスを構築する可能性も大きく広がる。来るべきCPS/IoT社会に対応したルールの整備や制度の見直しなど、協会としても引き続き、政府の取り組みに協力して参りたい」
 最後に、東京オリンピック・パラリンピックへ向けた意気込みを語り、あいさつを締めくくった。
 「2020年の東京オリンピック・パラリンピックも目前に迫っている。日本にとっての大きな機会を、その後にどのように生かすかが非常に重要。我々IT、エレクトロニクス業界もしっかりとプラットフォームをつくり、日本の稼ぐ力に貢献できるよう、しっかりと取り組んでいきたい」(水嶋会長)

■林経産大臣「エネルギー革新戦略の作成へ」
 来賓を代表し、林幹雄経済産業大臣が登壇した。林経産大臣は、開口一番、アベノミクスによる経済の好循環について、次のように話した。
 「日本経済はいまだに実感がないという声があるのも事実だが、アベノミクスのもと、経済の好循環が確実に回り始めているのも、また事実だ。今年は官民いっしょになって、日本経済を力強く成長・発展させていく。政権復帰3年あまり、産業界をとりまく、いわゆる6重苦を解消するべく努力してきた。その結果、円高は解消され、法人税も20%台に引き下げることが決まった。TTPも、なるべく早く批准・発行へと進める」
 林経産大臣はTPP、EPA、さらにはCOP21のパリ協定締結を例に出し、経済成長・環境対策を両輪に据えた外交交渉について語り、さらに「エネルギー革新戦略」の作成を今春実施することに言及した。
 「TPPでは大企業のみならず、中堅・中小企業が成長・発展できるよう、スピード感を持って進める。産業界から要望の強い、日EU経済連携協定(EPA)などの早期妥結を目指す。日本経済を支えるためには、安くて安定したエネルギー供給の実現が重要。まずは、安全が確認された原発の再稼働に全力で取り組んでいる。昨年COP21でパリ協定が締結された。経済成長と環境を両立することが私の仕事でもある。そういった意味では、エネルギー革新戦略をこの春にも作成する」(林経産大臣)

■経済好循環への投資転化を
 こうした環境整備を実施する中で、JEITA会員企業へ向け、経済好循環のための「投資への転化」を強調し、以下のように述べた。
 「こういう環境の中で、経済の好循環を進める、その鍵は、投資への転化と3巡目の賃上げになる。昨年11月に開催された官民対話で、産業界から、2018年度までの3年間で、約10兆円の設備投資増加が見通せるとの試算が提出された。大変すばらしいことで、ぜひその実現をしていただきたい。そういった意味でも、ここは技術、人材、設備に投資する取り組みをお願いしたい」
 「ITエレクトロニクス産業は、100万人以上の雇用をささえている我が国を代表する大変重要な産業。IoT、AIなどを活用した急速な技術革新競争、厳しい国際競争の中で、生き残りをかけて構造改革に取り組まれていると認識している。また一方では、そうした環境の中で、新たなビジネス、分野を改革、挑戦する皆様に改めて敬意を表したい」
 林経産大臣は最後に、昨年10月に設立したIoT推進コンソーシアムに触れ、官民の連携による産業界の発展への期待を次のように表明し、あいさつを締めくくった。
 「昨年10月、産官学によるIoT推進コンソーシアムが立ち上がった。経産省としても、総務省と一体となり、縄張りを超えて、規制改革や新たなルール作り、立ち上がりの資金支援などに取り組んでいる。12月にはデジタル製品の関税撤廃のためのIT拡大交渉が妥結できた。これを活用してぜひ各社、業績向上していただき、同時に業界全体の発展につながることを期待する」
 「今年は申年、申は『魔が去る』といわれており、病気や悪いことが去って、縁起の良い年になると言われている。申ににんべんを加えると『伸』という字になる。デフレが去って、人の力を加えればさらに伸びる年と前向きに訳している。今年1年、飛躍の年になるよう、心から祈念する」

■JEITA 東原筆頭副会長「IoT社会の実装基盤作りの1年に」
 JEITA代表理事 筆頭副会長の東原敏昭氏(日立製作所 代表執行役 執行役社長兼COO)が乾杯のあいさつに登壇。新たな技術トレンドが電子情報分野における産業界の構造変革にもつながると話し、『IoT社会の実装基板作り』への強い意欲を示した。
 「2016年は大きく電子情報分野が変わる。ビッグデータ、AI、ロボティクス、ドローンなど。我々の仕事のしかたや産業界の構造が大きく変わろうとしている。一方で、サイバー攻撃などセキュリティに対する脅威にさらに対応していかねばならない。経産省、総務省がリーダーシップをとってIoT推進コンソーシアムが設立された。JEITAとしてもその方向に則って、社会の実装基盤づくりをきっちりとやる1年にしたい」


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