【INTER BEE CONNECTED 2016 ブース報告(1)】日本テレビ、フジテレビ、テレビ朝日 各社が動画視聴の新たな試みを紹介

2017.3.16 UP

日本テレビはテレビによる分散コンピューティングの実験を披露

日本テレビはテレビによる分散コンピューティングの実験を披露

複数台のテレビを用いて手書き文字を学習させる試み(日本テレビ)

複数台のテレビを用いて手書き文字を学習させる試み(日本テレビ)

フジテレビは番組視聴でもらえるポイントサービス「たまる!」を出展した

フジテレビは番組視聴でもらえるポイントサービス「たまる!」を出展した

テレビ朝日は放送と同じ操作で生配信中にCMを挿入できる技術、Qテイクを紹介した

テレビ朝日は放送と同じ操作で生配信中にCMを挿入できる技術、Qテイクを紹介した

 昨年11月の18日から20日まで開催されたInter BEE 2016のINTER BEE CONNECTEDでは、セッション会場と隣接する形でINTER BEE CONNECTEDに関連した企業の出展ブースが集まったエリアが設けられた。動画配信やネットとの連携を模索する放送局によるさまざまな試みや、動画配信などの技術や製品を提供する企業などが一堂に集結した。動画配信に関する最新の情報が集まる貴重なエリアとなっている。(上写真はフジテレビブース)

■日本テレビ、テレビを使った分散コンピューティングの実験を展示。テレビを見るだけで社会貢献ができる?
 日本テレビはINTER BEE CONNECTEDのブースで、ちょっと変わった試みを紹介した。テレビを見るだけで社会貢献に参加できる、かもしれないという、一見突拍子もない考え方だ。
 今のテレビは技術的に非常に進化してきた。ハイブリッドキャスト対応のモデルの場合だと、それに対応したブラウザを動かす部分を当然内蔵している。だがハイブリッドキャスト対応番組を観ていない時は、その部分は稼働していない。
 そこで、ネット経由でテレビのブラウザ部分の演算能力をつないで、分散コンピューティングのように何らかの演算処理に活用できるはずだ、というのが今回の展示だ。
 ブースに設置されている2台のテレビを繋いで、そのブラウザ部分を連携させている。その処理能力を使うことで、「手書き数字」の識別作業を学習させているのだ。理論的な展示に過ぎないが、2台のテレビをつなぐことで実際に処理ができていた。ということは、世の中にあるテレビをつなぐことで、もっと高度な演算処理を行うことも可能だということだ。
 ユーザーにとっては、自分自身が何もしてなくてもテレビをこのプロジェクトに参加させることができる。テーマ次第だが、人びとの役に立つ作業をテレビがやってくれれば、テレビを見るだけで社会貢献に関わることができるのだ。
 これも一種の、テレビとネットの融合の事例と言えるだろう。そこにあるのは、視聴体験やコンテンツだけではないのだ。テレビの新しい可能性を感じさせてくれる展示だった。

■フジテレビ、ポイントサービス「たまる!」を展示。番組視聴でもらえるポイントを実際に買い物に使える!
 フジテレビは今年もINTER BEE CONNECTEDに出展。番組視聴でもらえるポイントサービス「たまる!」を出展した。
 同局の午後帯のドラマ再放送枠「メディアミックスα」で番組を視聴することでコインを視聴者にプレゼント。ためいていくことで様々なサービスを実際に使うことができるという。
 フジテレビの動画配信サービスFODでは、コインを使って動画が視聴できる。また、提携している外部サービス、iTunes、AmazonやLINEなどでも利用できるので、実際に何かを買うことも可能だ。InterBEEの開催期間中は新規に入会するだけで50コインがもらえるなど、おトクなキャンペーンも展開している。
 テレビと視聴者はこれまで直接関わる機会が少なかったが、スマートフォンを介在させることでこうした店舗とお客さんのような関係づくりも可能になってきた。それとFODのような放送外事業を組合せる工夫は、これからどの局も必要になってくるだろう。
 ネットの世界でも新しいことに果敢に取り組むフジテレビの姿勢が伝わってくる展示だった。こうした領域を切り開くことで、新しいメディア企業としての姿をどんどん模索してもらいたい。

■テレビ朝日、AbemaNewsでの広告配信の技術を展示。生放送中でも、テレビ放送と同じようにタイムリーに挿入できる。
 テレビ朝日は昨年に続いてINTER BEE CONNECTEDに出展し、話題のAbemaTVにおける広告挿入の技術について展示した。
 AbemaTVの看板チャンネルAbemaNewsは、主にテレビ朝日のスタッフが番組を制作し送り出している。ニュースチャンネルなので基本的にニュースを生で配信する番組が中心だ。AbemaTVはCMを番組の合間に挿入するのが収益モデル。まだ数は少ないがCMもすでに放送されている。
 CMはアドサーバー内に格納されており、番組を配信している中でCMのタイミングが来たらサーバーから送り出される。その操作が複雑だったり放送と違うやり方だとトラブルが起きかねない。そこで、Qテイクという仕組みを開発。放送と同じ操作で生配信中にCMを挿入できるようになった。
 こうしたリニア型の映像配信の中で広告を配信することは、これまではまだあまりやっていなかったため、新しい技術が必要だ。テレビとネットが融合し、ビジネスモデルが近づいていく中で、きちんと間違いなく広告を挿入することは今後重要になりそうだ。
 このテレビ朝日のQテイクを参考に、これから多様な試みが出てくるだろう。テレビとネットの融合の進展のために、各社注目すべきといえそうだ。

【INTER BEE CONNECTED】放送と通信の融合の最新動向について、さまざまなテーマに沿って業界の最前線で活躍するキーパーソンを招いたセッションや、放送局などの最新の取り組みや各種の最新サービスを紹介する展示エリアからなる催し。2014年から毎年、Inter BEEの会期中、3日間にわたり開催し、大きな注目を浴びている。今年、2017年のInter BEE(11月15日〜17日、幕張メッセで開催)でも開催する。

日本テレビはテレビによる分散コンピューティングの実験を披露

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複数台のテレビを用いて手書き文字を学習させる試み(日本テレビ)

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フジテレビは番組視聴でもらえるポイントサービス「たまる!」を出展した

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テレビ朝日は放送と同じ操作で生配信中にCMを挿入できる技術、Qテイクを紹介した

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#interbee2019

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