私が見た"Inter BEE 2014"(その1)全体概要、イベント編

2014.12.2 UP

オープニングセレモニーでの国内外有識者8人によるテープカット
IBC会長による招待講演「欧州の放送および放送技術の過去、現在、未来」

IBC会長による招待講演「欧州の放送および放送技術の過去、現在、未来」

映像シンポジウム「超高精細映像コンテンツ制作の現状と課題」

映像シンポジウム「超高精細映像コンテンツ制作の現状と課題」

連日盛況の「アジアコンテンツフォーラム」

連日盛況の「アジアコンテンツフォーラム」

初の試みの”50th Anniversary Live Party”での映像と音響と光の競演

初の試みの”50th Anniversary Live Party”での映像と音響と光の競演

 東京オリンピックが開催された1964年の翌年、民放技術報告会の併催行事として始まった放送機器展は今年50周年を迎え、今や米国のNAB、欧州のIBCに並ぶ3大放送機器展として成長した”Inter BEE 2014”が11月19日から21日まで幕張メッセで盛況に開催された。この間、テレビカメラやVTRなど放送を支える多種多彩な機器開発を推進し、さらに衛星放送やHDTV、デジタル化といった世界的な放送メディアの進展に大きく貢献してきた。そして今また、放送メディアは4K/8Kに象徴される超高精細度化、通信との連携によるハイブリッドキャストやマルチスクリーンサービスというように、さらに大きく変貌し羽ばたこうとしている。
 今回50回と言う節目を迎え、出展者数は昨年より約60社増え過去最多となる977社・団体となり、昨年より1ホール拡張し6ホールフルに使い、最先端技術、メディア展開に向けたソリューションが展開されていた。例年にも増して多彩な新企画、多様なイベントが国際会議場やイベントホールも使い催されていた。2020年東京オリンピック開催により大きな期待が寄せられ、進展する放送・通信・映像・音響メディア状況に対する社会的関心が高まり、来場者数は昨年より約6000人増え史上最多となる37,959人に達した。
 大会開会を告げるオープニングセレモニーは、初日朝、メインエントランスロビーで催され、JEITAの主催者挨拶に続き、総務省と経済産業省の揃い踏みに加え、NAB、IBC、ブラジルテレビ技術協会など海外からの来賓者によるテープカットが行われ50回記念大会開会の幕が切って落とされた。

 引き続き最初の催しである基調講演が国際会議場で開かれ、午前中にNAB(全米放送事業者協会)副会長のサム・マセイニー氏は「米国の放送事業者に対する帯域割り当てのチャレンジ」と言う標題で、次世代DTVの行方と米国特有のテレビ放送用周波数再編問題などについて語っていた。午後には、NHKの浜田技師長が「新たな放送・メディアサービス展開に向けて」と題して、既に放送サービスが始まっているハイブリッドキャストの状況とまもなく試験放送が始まる8Kスーパーハイビジョンについて、現状と今後の展開について力強く語っていた。
 中日および3日目には、海外からの有識者による招待講演が6件催されていた。IABM(国際放送機器工業会)のピーター・ホワイト氏とピーター・ブルース氏は「放送技術の将来とは何か」の標題で講演し、引き続きIBCのピーター・オーエン会長が「欧州の放送および放送技術の過去、現在、未来」について語った。オーエン氏は、50年におよぶ米国や日本とは異なる欧州の放送の歴史、発展の経緯を述べ、その中で欧州放送界がHDやデジタル化にどのように取り組んできたのか自身の体験も含めて熱く語り、そして高度化、多様化するこれからの放送メディアの展開に向けてどう対処していくのかを語ってくれた。

 長い実績があり例年好評の映像・音響シンポジウムは、2日目、3日目に国際会議場で催され、両者とも第一線の専門家による講演と来場者も交えたパネル討論がなされ、いずれも長時間にわたったがホットなテーマだけに熱心な聴講者で一杯だった。映像シンポジウムは「超高精細映像コンテンツ制作の現状と課題」と言う標題で、女子美術大学の為ヶ谷氏とNHKアートの国重両氏のコーディネートにより、今大会で最大のトピックスになっている4K関連テーマを取り上げていた。この6月から始まっている4K放送に関して、NexTVフォーラムの元橋事務局長は「4K放送始動・2020年に向けた期待と課題」と題して、”Channel 4K”による4K試験放送の状況や4Kコンテンツ制作状況、今後の8Kも含めた超高精細放送のロードマップと課題について語り、続いてイマジカの清野氏から「4Kコンテンツ制作におけるマスタリング作業の留意点について」、日テレの今井氏から「4Kドラマ制作現場からの報告」、さらにNTTぷららの永田氏から「4Kネット配信 時代の到来~ひかりTV 4Kの取り組みと課題」について講演があった。その後、講演者、聴講者も交えてパネルディスカッションが行われ、講師陣の議論に加え聴講者からもHDRに関する意見が出るなど、きわめてホットなテーマだっただけに例年にも増して大勢の参加者を集め盛況だった。
 音響シンポジウムについては、沢口音楽工房の沢口氏と東京芸大の亀川教授によるコーディネートにより、昨今のIP時代に沿った「Audio Over IPの最新動向と応用」と題し、パイオニアの由雄氏、マージングテクノロジー社のプルルハート氏らにより、講演とパネル討論が行われていた。

 国内、アジアからのコンテンツを紹介し例年好評の「アジアコンテンツフォーラム」も今年は新たな企画を設け、第6ホールの一郭に開設されたオープン会場は大勢の参加者で盛り上がっていた。JPPA(日本ポストプロダクション協会)DAYでは、会員社の東京現像所の「4K時代だからこそフィルム」、マックレイから「4Kハイフレームレートを検証したショートフィルム」、オムニバスジャパンの「実写版パトレイバーの撮影からCG合成まで」など、実践的テーマ10件のプレゼンテーションが行われていた。またMPTE(日本映画テレビ技術協会)セッションでは、クオンテルの「4K制作を効率化する”Pablo Rio 8K”モデル」、シネマックスの「多角度撮影装置Spiral Slider Dolly ”KATANA”」など4K/8Kやファイルベース関連14件の講演やデモが行われていた。さらにこれらとは別の企画として、特別ゲストのジェフ・クレイサー氏による「VFXの未来」と題した講演とメイキング作品紹介や山本英夫撮影監督による「4K時代の映画撮影とフィルムルック」と題したパネル討論も行われていた。

 Inter BEEは人材育成にも取り組んでいる。次世代の放送や映画界を担う若手エンジニアやクリエイター、学生などを対象に、「4K制作映像制作入門」などをテーマに、現在第一線で活躍する講師陣によるチュートリアルセッションも開催されていた。またNABで実績ある研修イベント”Post Production Conference”も開かれ、ハリウッドなどの第一線で活躍する一流講師陣により「Apple Final Cut Pro Xの仕上げのテクニック」などのトレーニングも行われていた。
 Inter BEE発祥のもととなり、今年51回目を迎えた民放技術報告会は国際会議場で3日連続で開催され、全国の民放局の若手中堅による報告・発表がなされていた。恒例の特別企画として今年は「ファイルベース化により放送局からテープは消えたのか」と言ういささかセンセイショナルなテーマが設定され、キー局の専門家の報告とパネル討論が行われていた。

 第50回開催を記念する特別イベントとして、中日の夕刻18時から展示会場とは別の円形のイベントホールで”50th Anniversary Live Party”が開かれた。映像、音響、照明、パフォーマンスを融合した試みで、コンテンツクリエイター集団「ライゾマティクス」との共同で行われた。開演前、エントランス付近は入場者が長蛇の列を作り、広い場内は大勢の見学者で溢れ、舞台上で演じられるパフォーマンスと大画面に映されるアーティスティックな映像と周囲から発せられる大音響、あちらこちらから照射される光の渦は驚くばかりだった。筆者にとっては体験したことがない非日常的異次元空間にやや戸惑いつつもライブと映像・音響と光の競演を満喫した。

 デジタル化移行を経て、今、放送を巡る状況は大きく変わり、新たな展開が始まっている。放送は通信との連携が進み、スマートフォンやタブレット端末の普及により、放送へのニーズ、視聴・利用環境は様変わりし多様化している。今回のInter BEEではそのような状況に応える広範で多岐にわたる膨大な出展が見られた。それらについては次号以降で紹介してみたい。


映像技術ジャーナリスト(Ph.D.) 石田武久

IBC会長による招待講演「欧州の放送および放送技術の過去、現在、未来」

IBC会長による招待講演「欧州の放送および放送技術の過去、現在、未来」

映像シンポジウム「超高精細映像コンテンツ制作の現状と課題」

映像シンポジウム「超高精細映像コンテンツ制作の現状と課題」

連日盛況の「アジアコンテンツフォーラム」

連日盛況の「アジアコンテンツフォーラム」

初の試みの”50th Anniversary Live Party”での映像と音響と光の競演

初の試みの”50th Anniversary Live Party”での映像と音響と光の競演

#interbee2019

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