【NEWS】地上デジタル放送開始10周年記念式典が開催 2020年の東京五輪を「日本の技術力を世界にアピールする場」に

2013.12.3 UP

新たな難視対策

新たな難視対策

衛星セイフティーネット告知スーパー概要

衛星セイフティーネット告知スーパー概要

 デジタル放送推進協会(Dpa)は、12月1日「デジタル放送の日」に都内において、2020年の東京五輪を見据え「未来を見よう 進化するテレビ」をテーマに、あと1年4カ月と迫ってきた、難視対策衛星放送サービス(衛星セイフティーネット)の終了、ケーブルテレビによるデジアナ変換サービスの終了など最終段階を迎えつつある「完全デジタル化」への決意を改めて確認する地上デジタル放送開始10周年記念式典を開催した。
 2000年12月1日BSデジタル放送が開始され、2003年12月1日東名阪にて地上デジタル放送がスタートした。そして2006年12月1日都道府県の所在地において地上デジタル放送が視聴可能となり、Dpaでは12月1日を「デジタル放送の日」と宣言した。地上アナログ放送からの完全デジタル化は、2011年7月24日に東日本大震災で被災した東北3県以外で地上アナログ放送が完全停波して地上デジタル放送へ移行し、2012年3月31日に被災した東北3県も地上アナログ放送が停波し、地上波放送のデジタル放送へ移行した。
(IT・放送技術コンサルタント 隅倉正隆)

(上写真:左から、Dpaの福田理事長、IPTVフォーラムの伊藤事務局長、CATV連盟の松本専務理事、JEITAの佐々木会長、NHKの松本会長、総務省の福岡局長、民放連の井上会長、NexTV-Fの須藤理事長、衛星放送協会の和崎会長、東京大学の稲田特任教授)


■ 2013年10月末時点で難視聴対策が新たに必要な世帯が3万9千世帯
 デジサポ(総務省テレビ受信者支援センター)は、新たな難視聴やデジタル混信が原因で地上デジタル放送が良好に受信できない世帯等への対策を推進するため、全国8箇所に拠点を配置し、高性能アンテナ対策や強調施設の整備など難視聴地域の受信者等への恒久対策を実施している。
 2012年3月末に東北3県のデジタル放送への移行により、全国の地デジ化は完了した。しかし、2012年度末時点での難視聴対策が必要な世帯数が約7万3千世帯から東京スカイツリーへの移行により2013年10月末までに約3万9千世帯まで減少したが、地デジ難視対策衛星放送による暫定衛星対策が2015年3月に終了するまでに恒久対策を実施する。

■ EMMを使った終了告知スーパーを12月4日から関東地区にて開始
 この終了対策促進のために、12月4日から関東地区において、デジタル放送の特性を利用して特定の受信器に対してEMMを使い告知スーパーを開始する。これは利用者ごとにメッセージを表示することができる方式で、こうした告知により、対象世帯に対して難視対策衛星放送センターへの連絡など誘導し、対策の加速化を図る。さらに、ケーブルテレビのデジアナ変換終了対策として、現在コミュニティチャンネルにおいて、デジアナ変換サービス終了のスポットCMを流している。

■ 全国で2千530万世帯のデジアナ変換利用者へ買い替えを促進するキャンペーンを実施
 現在デジアナ変換を視聴できる世帯は、全国で2千530万世帯ある。この内6.4%にあたる163万世帯が1台目からアナログテレビでデジアナ変換の放送を視聴していると推定されている。そのほかの世帯では、リビングルームのテレビはデジタル化したが、2台目、3台目はアナログ放送をデジアナ変換で視聴していると思われる。そこで、デジタルテレビへの買い替えを促進する対策として、9月からは告知テロップの強化(1時間に1回から4回に増やす)や、コミュニティチャンネルでのスポットCMの開始、12月からは該当エリア/世帯へのチラシ配布、重点地区・重点施設での説明会などを実施する。また、BS放送キャンペーンとしてDpaサイトにおいて、抽選で500名にBSアンテナを無料取り付けするキャンペーンをBS21社共同で2013年11月25日から2014年2月21日まで実施している。

■ 完全デジタル化まで最終コーナーをほぼ回り切っている
 最初に登壇したデジタル放送推進協会理事長の福田俊男氏は、「デジタル放送が始まりアナログ放送が去年の3月末に完全停波したが、全国の全世帯においてデジタルテレビにてデジタル放送を受信しているところまでには至っていない。再来年2015年3月までには新たな難視聴を解消すべく、ケーブルテレビにおけるデジタル変換もあわせて一緒に取り組んでいく」と完全デジタル化に向けた決意を語った。また、「再来年の3月末に完全に地デジ化をするという決意とDpaの使命として、総務省、メーカー、NHK、民放、ケーブルテレビと一緒になって、頑張っているところである。最終コーナーをほぼ回り切っていると思っている」と語った。

■ 2020年の東京オリンピック/パラリンピックは、日本の技術力を世界にアピールする場
 総務省情報流通行政局局長の福岡徹氏は、「2000年のBSデジタル放送開始、2003年の東名阪での地上デジタル放送の開始の際、当時担当課長として開始に立ちあった。当時、デジタル放送がスタートする瞬間の緊張感と熱気を思い出している」と当時を振り返った。また、昨年の3月に地上アナログ放送の完全停波を行い、地上デジタル放送へ移行したが、「やむを得ず衛星セイフティネットである地デジ難視対策衛星放送を利用している国民もまだ約5万人ほどいると聞いている。また、ケーブルテレビのデジアナ変換の利用者も多数残っている。2015年3月末の終了に向けて、総務省として地上デジタル放送を視聴できないまま、取り残されるような方が生じないように、今後も関係者と一丸となって取り組んで行く」と説明した。
 今後のデジタル放送の進化について福岡徹氏は、「4K/8Kによるさらなる高画質化、スマートテレビやハイブリッドキャストなどの放送と通信が連携するサービスにより、技術面のみならず利用面においても、イノベーションを迎えることになる。日本は高い技術力を活かしながら、最先端のサービスや製品を提供し続けなければ成長は期待できない。その日本の技術力を世界に向けた格好のショウルームとなるのは、2020年の東京オリンピック/パラリンピックだと思っている。4K/8K/スマートテレビについては、総務省としてもロードマップを出しており、来年には4Kを、2016年には8Kの試験放送を開始することになるが、2020年を大きなターゲットとして、具体的な取組みを進めていきたいと思っている」と語った。

■ 2020年に東京オリンピック/パラリンピックに向けて、次の新たな放送技術の進歩につながると考えて努力をしていきたい
 NHK会長の松本正之氏は、完全デジタル化に向けた取り組みについて、「衛星放送を利用した難聴対策として、衛星セイフティネットである地デジ難視対策衛星放送の終了に向けた総仕上げとして努力をしていきたいと思っている」と述べた。また、BSデジタル放送については、「BSデジタル放送が始まって13年目。現在Dpa中心にBS普及促進キャンペーンをBS21局で推進している。BSの視聴世帯拡大に向けて、質の高い番組を提供することが重要と考えており、努力をしていきたいと思っている」と説明した。
 さらに、松本正之氏は、「放送技術の発展と期待に答えていくという進歩は、オリンピックと同時進行してきたという経緯もある」と述べ、「NHKでは昨年のロンドンオリンピックで、4K/8Kのパブリックビューイングを行った。2020年にはスーパーハイビジョンの本格放送の開始を目指している。これが次の新たな放送技術の進歩につながると考えて努力をしていきたいと思っている」と2020年に東京オリンピック/パラリンピックに向けてた取り組みの強い意志を表明した。

■ 2020年には、4K/8K/スマートテレビなどが普及し、テレビがより親しみやすいものになることを期待
 日本民間放送連盟会長の井上弘氏は、地上デジタル放送が普及している理由について、「地上デジタル放送に対応した薄型のデジタルテレビを購入頂いたことが地上デジタル放送が普及していった最大の理由だと思っている」と語った。また、1964年の東京オリンピックを振り返り、「思い起こすと、1964年のオリンピックの時はテレビのカラー化だった。2020年の東京五輪では、4K/8Kといった高精細テレビの新しい技術、スマートテレビやスマートテレビなどの新たな放送技術がさらに普及し、テレビという媒体がより親しみやすいものになっているものと期待している」と期待感を示した。さらに、BSデジタル放送については、「最初にデジタル放送を開始したBSデジタル放送は、大変苦労が多かったと思う。当時民放では収益が上がらず苦労したが、このところ視聴者に受け入れられ、十分評価をいただいて存在感を増やしてきている。今後は地上波テレビとあわせて協力し、テレビの強さを図っていくために頑張っていきたいと思っている」と説明した。

■ 素晴らしいコンテンツ・サービス開発に向けた制作システムから受信機まで使いやすい機器の開発にまい進
 JEITA会長の佐々木則夫氏も同様に、「東京オリンピックを契機に、4K/8K/スーパーハイビジョンのロードマップをベースに次世代テレビや新しいサービスの普及に向けて大きな弾みになると期待している」と語った。さらに、4K/8Kや放送連携サービスなど次世代テレビへの流れを一過性に終わらせないために、「テレビの機能を活かした魅力的なコンテンツが重要と考えている。放送事業者に対して、今後とも素晴らしいコンテンツの制作、サービス提供をお願いしたいと思っており、我々JEITAのメーカーも、視聴者に対してすばらしいコンテンツやすばらしいサービスを楽しんで頂けるように制作システムから受信機まで使いやすい機器の開発にまい進する所存である。これら最先端の次世代テレビをアジアをはじめとする世界の方々にも楽しんで頂きたい」と語った。

■ 2020年の東京オリンピックまでに世界最高水準の4K/8K/スマートテレビの環境を作る
 最後に登壇した次世代放送推進フォーラム(NexTVフォーラム)理事長の須藤修氏は、「10年で日本の地上波テレビや衛星放送のデジタル化がされたことは、日本社会・日本文化のきめ細やかな配慮というのがあったと思う。まさにおもてなし精神によるものと思っている」と述べた。
 また、「これまでのデジタル放送の基礎の上にさらに発展し、4K/8K/スマートテレビを早期に普及させたい」と述べ、「2025年にはラジオ放送開始から100周年を迎え、2020年の東京オリンピックまでに完璧な圧縮技術を完成させ、世界最高水準の4K/8K/スマートテレビの環境を作る万全の体制で臨みたい。日本が誇る科学技術や放送文化をさらに発展させて、教育分野や医療環境へ4K技術を使った新たな教育環境、医療環境、後高齢者のために4Kテレビを使った自宅からの行政サービスなど、あらゆる産業にも普及させていきたいと考えている」と須藤修氏は説明した。

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