【NEWS】TBSテレビ IPを生かした視聴・制作支援アプリを開発 IMCで多数出展 「ネットユーザーをテレビに引き戻す」

2013.7.11 UP

通信衛星やFPUアンテナの位置を検知しAR表示で位置を確認できる
スマホをテレビにかざすと、埋め込んだタイムコードをもとに映像が再生される

スマホをテレビにかざすと、埋め込んだタイムコードをもとに映像が再生される

iPhone5に高音質マイクインタフェースを組み合わせた「スマートテレキャスター」

iPhone5に高音質マイクインタフェースを組み合わせた「スマートテレキャスター」

 6月12-14日に開催した「IMC Tokyo 2013」(幕張メッセ)の「ブロードキャスターズイノベーション」のコーナーでは、在京キー局を中心に、IPを生かしたユニークな技術が多数披露された。「スマホ・タブレット端末の放送への応用」をテーマにしたTBSテレビ(東京都港区)は、AR(拡張現実)技術を応用した目的地確認ツール「オメガファインダー」をはじめ、「モバイル動画透かし」「スマートテレキャスター/iPhone版」「電子フリップ」「エリアワンセグ放送選局アプリ」の5つの現場技術について展示。実用レベルの技術が注目されていた。(映像新聞 信井文寿)

■スマホで衛星方向を確認 TBSが共同開発
 「オメガファインダー」は、通信衛星、FPU受信アンテナが設置されたビルなどを簡単に探すことができるスマートフォン(スマホ)アプリ。コンピューターシステムとTBSが共同開発した。
 GPSやAR技術を応用。スマホを中空にかざすと、衛星の方向やFPU受信アンテナ設置ビルの方角がカメラ撮影画像上に重ねて表示される。中継の下見の際、中継車の場所などを的確に決めることが可能だ。

■番組映像にタイムコード埋め込み、アプリで追加映像を視聴
 「モバイル動画透かし」は番組映像の中に各種情報(テキストやURL)を埋め込む暗号化技術。NTTメディアインテリジェンス研究所が開発した。地上波、BS、またはBDなどのパッケージ、オンデマンド動画などのメディアごと、あるいはBD1枚ごと、放送局単位で異なるIDを埋め込むことが可能になる。
 IDを埋め込んだ映像をスマホアプリで撮影すると、その情報を取り出すことができる。今回は、番組にタイムコードを埋め込み、スマホアプリをかざすと、その映像が同期するデモを実施した。
 TBSでは、MPEG2の地デジ、H.264のCSでこの「透かし」が機能するのか、実際の送出設備を使って折り返した検証を実施。フリッカーチェッカーにより、民放連のガイドラインに沿っていることも検証しており、その結果を展示した。ここでは三重テレビが実際に動画透かしを入れて放送したショッピング番組を流し、スマホと同期する様子を実演している。

■番組中継システムのiPhone版が完成  3.11生中継でのLTE活用事例を報告
 「スマートテレキャスター」は、ソリトンシステムズが開発しているもので、TBSが番組制作で活用しているIP中継システム。このほどiPhone版が完成した。
 モバイル回線(4G・LTE)を利用するスマートフォンに、専用アプリをダウンロードすると、撮影した映像をそのまま生中継でき、マイナスワンやインカムとして使用できる戻り回線も備える。ブースでは同システムを実演するとともに、3月11日に東日本大震災特別番組において4カ所からの生中継で実際に利用した際の様子を紹介した。
 当日は、レポーターとディレクター2人1組の取材クルーで一つの現場を担当。4クルー計8人で、岩手県宮古市、陸前高田市、宮城県名取市、福島県郡山市の4カ所から、スマホ版スマートテレキャスターを使って生中継を実施した。取材機材はスマホと電池のみという圧倒的な高効率中継システムである。放送関係者からは「中継のワークフローを破壊する」との声が聞かれた。
 今回は、iPhone5と、同スマホでの高音質録画を可能にするマイクインタフェース「iXZ」(TASCAM)、インタビューマイク「SM63」(SHURE)を組み合わせたシステム、さらにはマイクインタフェース「AR101」(Fostex)を組み合わせたコンパクトなシステムで、3Gでの高音質中継を実演した。
 同システムは、イヤホンマイクが付いたAR101メインユニットとiPhone5をアクセサリーで一体化。グリップを持って撮影する。照明も付いており、暗くなった際には、その場で簡単に明るくできる。

■今夏リリース予定のHD版 低ビットレートでの品質を改善
 HDカメラの「スマートテレキャスター」も展示していたが、これはTBSが選挙をはじめ幅広く活用しているシステム。
 情報システム局IT戦略部の高橋健一氏は、「今回は夏にリリース予定のバージョンを展示しているが、300kbps以下の低ビットレートでの映像音声の品質が増した上に、2Mbps以上では映像の滑らかさが向上した」と話す。
 通常の紙フリップをタッチ可能な電子パネルに置き換えるものが「電子フリップ」。書き直しが簡単にできるので、中継先への携帯にも便利。紙フリップのような「めくり」の機能もある。プリントの必要がなく、発注時間が短縮できることも利点だ。画面全体をチェンジしたり、画面の一部分を拡大させることも容易。系列局間の共用もできる。ブースでは26型ディスプレーを使った使用例を紹介した。既に『朝ズバ!』『ひるおび!』で使用されている。

■エリアワンセグ放送の選局可能なアプリ 「ネットユーザーをテレビに引き戻す」
 「エリアワンセグ放送一発選局アプリ」はTBSが開発したアイコンをタップするだけでチューニング選局ができるアプリ。通常のテレビはもちろんエリアワンセグ放送などの受信においても周波数スキャンの課題を解消できる。ツイッターやウェブサイトからのテレビ選局、動画コンテンツが再生できる仕組みを備え、ネットユーザーをテレビに引き戻す役割を視野に開発を進めている。

スマホをテレビにかざすと、埋め込んだタイムコードをもとに映像が再生される

スマホをテレビにかざすと、埋め込んだタイムコードをもとに映像が再生される

iPhone5に高音質マイクインタフェースを組み合わせた「スマートテレキャスター」

iPhone5に高音質マイクインタフェースを組み合わせた「スマートテレキャスター」

#interbee2019

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