【NEWS】米CATV大手 チャーター、タイム・ワーナーを9兆7000億円で買収へ。 ケーブル業界による再編が加速化

2015.6.3 UP

TWC買収後のチャーターのシェア

TWC買収後のチャーターのシェア

赤がチャーターのサービス・エリア、青がTWCのサービス・エリア

赤がチャーターのサービス・エリア、青がTWCのサービス・エリア

上がケーブル事業社、下が通信事業社の収益

上がケーブル事業社、下が通信事業社の収益

■買収金額は9兆7000億円
 米CATV市場4位のチャーター・コミュニケーションズはさる5月26日、2位のタイム・ワーナー・ケーブル(TWC)を買収することを発表した。買収合意は金額にして負債込で787億ドル(約9兆7000億円)。同社は3月末に業界6位のブライトハウス・ネットワークスを104億ドル(約1兆2500億円)で買収する計画であることも明らかにしている。これら3社合併が実現すれば、チャーターは米国の41州で事業展開できることで、加入者数は現行から4倍の2390万人となり、加入者数2700万人を持つ業界首位のコムキャストの座を覆すことになる。
 チャーターは現在、5月20日の市場終値に基づきTWCの1株あたり(現金と株を合わせて)195.71ドルでの買収を提案しており、買収額は負債を除いて約550億ドルになる見通しだ。

■コムキャストの断念を受け乗り出す
 コムキャストは昨年2月にTWCを450億ドルで買収する計画を発表。しかし、通信が絡む合併に関しては全て米連邦通信委員会(FCC)の審査と承認が必要で、FCCはコムキャストがTWCを吸収した場合、「ブロードバンド市場を支配する可能性が高く、公共の利益に障害をもたらす」と合併を阻止する姿勢を示したため、コムキャストは先月に買収案を断念した。これを受けてチャーターがTWCの買収に乗り出した。
 コムキャストとTWCの合併のケースであればブロードバンド市場のシェアは57%以上になるが、チャーターの場合、TWCとブライトハウスを融合してもシェアは30%程度と判断されている。またNBCUniversalを傘下に持つコムキャストと違い、番組コンテンツ市場を左右させるリスクも少ない。

■ネット事業へと傾斜するCATV事業者
 現在、米国ではネットフリックスやアマゾンといったインターネット動画配信サービスが人気を博し、放送事業者もライブでインターネット放送を始める傾向を見せている。テレビ視聴形態の変化に対応したオンラインサービスの増加は、有料TV視聴から視聴者をさらに遠のかせており、ケーブル業界が再編を迫られているのは明白だ。
 チャーターの2社買収は、ケーブル市場での競争力をつけるというより、むしろ、インターネット(ブロードバンド)事業を主要な成長分野として捉えた行動とみられる。
 米市場調査会社Leichtman研究所によれば、今年の第一四半期において米国内の17のケーブル会社がテレビ加入者数を減少させる中、ブロードバンド加入者数を120万人まで増加させていることを報告している。コムキャストも今月初めに、事業初めて高速インターネット加入者数がテレビサービス加入者数を超えたことを発表した。 
(ザッカメッカ 山下香欧)

TWC買収後のチャーターのシェア

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赤がチャーターのサービス・エリア、青がTWCのサービス・エリア

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上がケーブル事業社、下が通信事業社の収益

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#interbee2019

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