【NAB SHOW 2010】コムキャスト チーフサイエンティスト ダン・ホールデン氏講演 「3Dテレビは確実に家庭に普及」

2010.4.18 UP

講演をするダン・ホールデン氏

エンジニアリングセッション「Impacts of 3D Television
on Video and Broadcasting」
3Dテレビ放送収益化へ山積する課題
コムキャスト チーフサイエンティスト ダン・ホールデン氏
「3Dテレビは確実に家庭に普及」

■2D、3Dの切り替えなど制作手法の未確定部分
 4月10日、ブロードキャストエンジニアリングのセッションで、「Impacts of 3D Television on Video and Broadcasting (ビデオ、放送業界における3Dテレビの衝撃)」と題した講演が行われた。
 登壇したのは、ケーブルテレビ会社大手のコムキャストのフェローであり、コムキャスト・メディア・センター(CMC)のチーフ・サイエンティストを務めるダン・ホールデン氏。
 講演でホールデン氏は、立体3D番組に関する、制作から放映までの課題と技術的な用件などについて話した。また、立体3D映像に対応するコーデック技術のMVCについても紹介した。
 ホールデン氏は、立体3D番組制作についての運用上、作業方法が定着していないため、一定の標準仕様を策定することが望ましいとして、現在の課題について次のような点を紹介した。スポーツ番組などにおいて、通常の番組を行いながら立体番組を制作する場合、2Dと3Dのカメラをどのように併存させるか、あるいはMSOへのエンコーディングの手順、メタデータの標準化、放映中、あるいはチャンネルやメディアを替えたときに2Dと3Dの切り替えをどのようにして告知するかといった点を上げた。
 さらに、立体3Dの番組を行うために解決すべき課題として、制作から配信までの間における各種の信号や手順などの標準化、対応するディスプレーのさらなる普及、より豊富なコンテンツ、制作費の低減、技術者の教育環境などを挙げた。
 こうした課題解決のための関連団体の活動として、SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)が進める「3D to the Home」プロジェクト、「3D Home Master」や、SCTE(Society of Cable Telecommunications Engineers)による「3D Over Cable Project」や、STBの仕様策定、欧州におけるDVBの活動などを紹介した。
 最後に、「さまざまな課題はあるが、3Dは確実に家庭に普及すると期待している。コムキャストとしては、立体映像がブームに終わらず、収益を挙げる事業となる方向を追求していきたい」と話した。

 コムキャストは、昨年12月に大手メディア企業のNBCユニバーサルの経営権をゼネラル・エレクトリック(GE)から取得している。NBCユニバーサルは、4大ネットワーク放送局の一つNBCや、ハリウッドのメジャースタジオであるユニバーサルスタジオを傘下に持つメディア・コングロマリット。また、同社の拠点であるフィラデルフィアにある、NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)のフィラデルフィア・セブンティシクサーズ、ならびにNHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)のフィラデルフィア・フライヤーズを所有する。
 ホールデン氏は、CMCの技術面、および、戦略面の両面における責任者として2002年から同職に就いている。放送局で17年間の経歴を持ち、その後、AT&Tのブロードバンドシステムの構築などを担当したのち、CMCでVODやブロードバンドテレビ、UGC(ユーザー・ジェネレーテッド・コンテント)などの開発を手掛ける。
 CMCは、コムキャスト・ケーブル社の事業部門として、デンバーに本拠を置く。

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