【NEWS】NHKメディアテクノロジー 東日本大震災映像を東北大学のアーカイブプロジェクトに提供

2011.12.1 UP

9月上旬に撮影した第二作目の陸前高田の風景
復興が進む状況も見られる(陸前高田)

復興が進む状況も見られる(陸前高田)

活気を取り戻しつつある気仙沼の漁港

活気を取り戻しつつある気仙沼の漁港

 NHKメディアテクノロジー(NHK−MT)は12月1日、同社が3Dカメラで取材記録した東日本大震災の映像を、東北大学(井上明久総長)による東日本大震災アーカイブプロジェクト「みちのく震録伝」に提供すると発表し東北大学での研究を通して今後の復興と防災・減災に貢献することを期待し、提供することにしたという。


■東北大学が進める東日本大震災の記録をアーカイブプロジェクトに提供

 「みちのく震録伝」とは、東北大学が進めている東日本大震災アーカイブプロジェクト及びアーカイブシステムの名称。東日本大震災を中心とした記憶、記録、事例、知見を収集・保管し、これらを地域や世代の異なる人々に伝承する取り組み。みちのく震録伝を活用することにより、災害の防災・減災の研究の進展、地域や社会の防災・減災の対策を推進するねらい。


■「3Dとして後世に残すことこそ、会社の使命」

 今回のプレスリリースで、同映像の制作のねらいについて、次のようにコメントしている。「このたびの未曾有の大地震と大津波災害に際して、最新の3D映像技術と蓄積してきたノウハウを使って被災地の惨状を映像記録し後世に残すことこそ、会社の使命であると考えました」。

 震災後間もない4月上旬、取材班を被災地に派遣、7地域を選んで重点的に取材し「3D東日本大震災~津波の傷跡~」(16分 日本語版・英語版)を制作。また、半年後の9月上旬、ふたたび被災地を訪れて、動き始めた復興への歩みを3D映像で記録し「3D東日本大震災~復興への歩み~」(13分)を制作している。


■パナソニック AG-3DA1を使用し2時間30分の3D映像を収録

 4月上旬の取材地域は、宮古市田老畜、陸前高田市(以上岩手県)、気仙沼市、南三陸町、東松島市、仙台市若林区(以上、宮城県)の7ヵ所。取材班は、現地取材統括者、ステレオグラファー、カメラマンの3名。機材は、パナソニックAG-3DA1を使用し、映像素材は2時間30分に及んだ。
 P2カードに収められた映像は、同社のBLAZE編集室で編集され、作品へと仕上げられた。BLAZE編集室は、3D・4K制作に対応した最新鋭の編集室で震災から1ヶ月後の4月11日から稼働している。


■「枠のあるメディアでは伝えられない『臨場感』」

 制作統括を務めたNHK−MT取締役の智片通博氏は、次のようにコメントしている。

 「今回のような映像は、枠のあるメディアでは伝えられないと思っている。それを伝えるには3Dしかないと思った。あえて、一言にまとめてしまえば3Dの持つ「臨場感」ということだろう。この作品を見て「臭いを感じる」との感想も受け取った」
 「種々の制約で現地入りは3名となったが、機動性のある取材班だった。この作品で、バーチャルではないリアリティに浸って欲しいと思っている。作品は、教育機関などでの上映を希望している。今後継続して取材に赴き、復興の様子を記録していきたい。この先1年で2回現地を訪れる計画がある。定期的に地域の変化を記していきたい。被災地の復興への道のりを含め、継続的に3D取材を続けていきたい」


■20年以上にわたる立体映像実用化の取り組み

 NHK−MTはこれまで20年以上にわたり、立体映像実用化に取り組み数多くの3D作品を制作し、世界的にもハイビジョン3D映像制作に長い経験を持つプロダクションとして知られている。UNIHI(ユニハイ、可搬型MUSE方式VTR)の時代からHD制作がなされていた。「脳神経外科手術の顕微鏡撮影」(1989年)を皮切りに「水中撮影、空撮」(1991年)、「阪神淡路大震災」(1995年)などの3D撮影や、1998年の長野オリンピックを含むこれ以降の夏季、冬季のオリンピックの3D撮影などを行って来た。また、機材の自主開発も行っており、リグや補正メカニズムの開発で知られている。

復興が進む状況も見られる(陸前高田)

復興が進む状況も見られる(陸前高田)

活気を取り戻しつつある気仙沼の漁港

活気を取り戻しつつある気仙沼の漁港

#interbee2019

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