【IBC 2011】まとめ(1)カメラ編 スーパー35mmセンサーカメラの台頭が新たな市場を刺激

2011.10.4 UP

ソニーのPVW-TD300
RED EPICカメラ

RED EPICカメラ

Leica Summilux-C Lensesを装着したF3

Leica Summilux-C Lensesを装着したF3

ARRI/FUJINONのAluraレンズ

ARRI/FUJINONのAluraレンズ

■大判撮像素子を搭載したカメラが台頭
 今年のIBC2011での傾向としてまず目についたのは、今年に入って活況となっている大判撮像素子を搭載したカメラの台頭が、デジタルシネマを始めとする新たな高画質要求の市場を各所で刺激しているということだ。
今年の始めに発売開始されたソニーのPMW-F3は、大判センサー搭載カメラの代表格として、映画からCM、ドラマ、ミュージックビデオ、そして多くの業務用にまで活用可能なオールマイティな汎用カメラとして認知されており、フィルムカメラのような表現力の豊かさをファイルベースに落とし込んだ可能性が、新たな魅力として多くの分野に受け入れられている。ハイエンドのシネマカメラ分野でもソニーF65に代表されるように、プライムレンズ対応の基本性能と、RAWデータなどの画質構築用ファイルフォーマットへの対応など、今後スーパー35mmサイズのファイルベースカメラの益々の台頭が期待される。

■特殊撮影カメラも注目
 IBC2011で展開されたカメラ機材のもう一つの傾向として、特殊撮影カメラのクローズアップがある。特に来年のロンドン五輪では史上初の3Dライブ放送など新たな試みが施策され、オフィシャルパートナーとして名を連ねるパナソニックを始めとして、様々な最新映像テクノロジーが披露されたが、特にハイスピードカメラなどの特殊撮影カメラがかなりの台数導入されることがIOCから発表されていることなどからも、その分野でのカメラ機材のプロモーションが目立った。

■レンズ市場にも活気
 これらのカメラ市場の動きは、即レンズの市場へとつながって来ている。先のF65、PMW-F3、そして前出のRED ONE、RED EPIC、またARRI ALEXAなどに代表される大判CMOSセンサー搭載のカメラの台頭によって、特にPLマウントのプライムレンズ市場が大きく動き出したことだ。その先導役であるカール・ツァイスグループでは、スーパープライム、ウルトラプライム、そしていま一番もてはやされている人気の低価格レンズ“コンパクトプライム”まで、映画/CM撮影向けのPLレンズのバックオーダーが、全世界でなんと1500本以上抱えているという状況。納品まですでに3ヶ月から半年、モノによっては1年待ちといった製品もあるようだ。
 また、ライカも昨年より新たなPLプライムレンズシリーズ“Leica Summilux-C Lenses”を発表。ようやくこのIBC2011で発売出荷が発表されているが、本製品を発売している米系シネマ機材販売会社Bandpro FILM&DIGITAL社によれば、すでに220本のオーダーを抱えているという。こうしたプライムレンズは、一つ一つが職人の手による研磨技術が必要となり、最高級のプライムレンズとなれば量産は不可能に近い。その他、angeneux、Cooke、Schneiderなどの高級シネレンズを製造しているレンズメーカーはどこも活況のようだ。

■好評だったARRI/FUJINONのAluraレンズ
 日本メーカーでもキヤノンはNABで発表したPLマウントのシネズームレンズ2本を今回も展示。富士フイルム(FUJINON)は昨年4月のNABでARRIとPLプライムズームレンズ制作に関する提携を発表しており、その共同開発から生まれたARRI/FUJINON Aluraレンズも非常に好評で、今回は新たに2本の新レンズ、Alura LEZ(Light Weight Zoom)の15.5-45mmと、30-80mmの2本を新発表している。重さわずか2kgと超軽量のPLズームレンズだ。
 さらにコンパクトで4K撮影にも最適なマスタープライムレンズの新ラインナップ135は€19000(約200万円)で、これらのレンズシリーズもかなりのオーダーが入っているという。Aluraズームレンズシリーズは、特にARRI のALEXAカメラとの組み合わせにより、多くの映画、ドラマ、CMの現場で使用されているようだ。

■DSLRムービーカメラも依然人気
 なお昨年まで活況だったDSLR(デジタル一眼)ムービーカメラも依然として好評で、すでに一ジャンルを作り上げた。ショルダーリグやミニクレーンなど、撮影サポートツールなどの機器メーカーも出揃い、それなりの一大市場を形成したと言える。しかしキヤノン、パナソニック、ソニーともに新機種は発表しているものの、市場全体が一通りの定着を見せているせいか、機能的に大きく目立った動きもない。またREDもすでに完成しているといわれる廉価版シリーズ“SCARLET”の新たな動向もないため、昨年よりおとなしい雰囲気だ。

■キヤノンEOSの後継機の展開に期待 3Dカメラ市場は実売開始へ
 今後は35mmフルサイズセンサーを搭載した、このジャンルを開拓した火付け役である、キヤノンの名器“EOS 5DmarkⅡ”の後継機となる新モデルがどのように展開されるか?まさに市場の目はその1点に注がれているようである。

 3Dカメラ市場は、ソニー、パナソニックの業務用2眼式一体型カメラが今回実機展示さ、NAB時点よりもさらにブラッシュアップされていたが、各機種とも今年度末から実売開始されるが、これらの実際の動向は、販売以降にまた様々な市場全体の動きが現れてくると想定される。

RED EPICカメラ

RED EPICカメラ

Leica Summilux-C Lensesを装着したF3

Leica Summilux-C Lensesを装着したF3

ARRI/FUJINONのAluraレンズ

ARRI/FUJINONのAluraレンズ

#interbee2019

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