【NEWS】民放連 ラウドネス運用規準 全TV番組・CMの音量感を統一 12年10月1日-13年3月31日までの6カ月間をCM搬入における調整期間に

2011.12.10 UP

Inter BEE 2011の会場内で開催されたセミナー

 日本民間放送連盟(民放連)は11月14日、テレビ番組やCMの新たな音量評価指標である「ラウドネス」の運用規準を、2012年10月1日から適用することを決定した。CM搬入については、13年3月31日までの6カ月間の実施調整期間を設けている。これらの決定事項は18日に民放連加盟全社およびNHK、日本ポストプロダクション協会(JPPA)、電波産業会(ARIB)に通知された。ポストプロダクションや放送局では今後、ラウドネス値を測定するラウドネスメーターを準備する必要がある。

■ITU-R 国際勧告に基づき、放送素材の音量感を統一へ
 ラウドネスは人が感じる音の大きさを数値化したもの。ARIBが国際勧告「ITU-R BS.1770-2」「同-864」に基づいて今年3月に「ARIB TR-B32 デジタルテレビ放送番組におけるラウドネス運用規定」を策定。それを受けて民放連は5月に「NAB技術規準T032 テレビ放送における音声レベルの運用規準」(以下、T032)を制定した。すべての放送素材の音量感を統一し、視聴者に優しい放送をすることが同規準制定の目的だ。
 T032では、目標とする平均ラウドネス値(番組の総尺を測定して算出されたラウドネス値)をマイナス24LKFS、運用上の許容範囲は±1デシベルと規定。同規準はARIB規定に準拠する形で策定したが、下限値は民放連の独自ルールとしてマイナス28LKFSとしている。
 5.1chサラウンド番組に関しては、ダウンミックスステレオで測定するのではなく、LFE(Low Frequency Effect=低域効果音)チャンネルを除くすべてのチャンネルを測定し、目標ラウドネス値プラス2デシベルを最大許容値とする。
 T032の適用範囲は、テレビ放送において制作・搬入・送出・交換されるすべての番組とCMの音声信号。民放連および日本広告業協会が発行する「テレビCM素材搬入基準」に反映する。

■番組・CMの納品で測定値を明記
 同基準適用後は、ファイル、テープを問わず、放送局に納品する番組やCMは、納品物の添付書類にラウドネスの測定値を明記するルールとなる。納品を受ける放送局側も規準に沿った放送を行うことが求められる。
 そのため、ポストプロではMA室や編集室、放送局は生放送スタジオやファイリングセッション、送出マスターなどにTR-B32に準拠したラウドネスメーターの導入が必要になる。同装置は、制作した番組やCM音声の平均ラウドネス値を算出する。
 MA室ではファイルベース、編集室では、HD-SDI入力が必要な場合やファイルベースへの対応、生放送スタジオではライブ対応と、放送局マスターではロガー機能など、現場に応じた製品が求められる。
 受け入れ側である放送局における納品検査で、番組やCMが運用上(±1デシベル)の上限を超えた場合は改稿(編集や加工のやり直し)が求められる。下限値(マイナス28LKFS)を下回った際には、「演出意図による」などの理由を明記すれば納品が可能だ。

■12年10月1日から13年3月31日までの6カ月をCM搬入の調整期間に
 民放連では、12年10月1日-13年3月31日までの6カ月間をCM搬入における調整期間にする。これは、改稿が間に合わない素材やラウドネスメーターなどの準備が整わないなど、さまざまな事情が想定されることから、円滑な運用開始のための猶予期間として設けた。同期間中は、広告主側から要請があったCMについて、放送局側でレベルコントロールを行うなどの例外的対応を行うとしている。
 民放連ウェブサイトのラウドネス関連ページでは、音声レベルの参考となる「T032リファレンス音源」のダウンロードも可能。また現在、最低限のラウドネス測定ができる適合判定ソフトを、日本ラウドネスメータ協議会の協力で制作中。近く同協議会のウェブサイトからリリースする。運用ガイドラインも作成中で、出来次第アップする予定だ。
 今回の適用開始時期は、Inter BEE 2011での告知・周知活動を見据え、11月14日に開催した民放連技術委員会ならびに営業委員会で決定した。
 営業委員会は9月、特にテレビCMへの適用について、加盟全局の営業部門に対する意見照会を実施。12年10月1日を適用開始日にした。
 Inter BEE 2011ではARIBと民放連の主催で「ラウドネスサミット東京」を開催。ARIB、民放連の規準を解説するシンポジウムと、ラウドネスメーターの基礎講座やポストプロ、放送局の運用で必要な対応、ワークフローについての解説など、実践を見据えたワークショップが開かれた。

■満席だったInter BEE 2011でのワークショップ
 展示会場内で行われたワークショップはほんとどが満席状態。回によっては立ち見が出るほどで、ラウドネスへの関心の高さがうかがえた。ポストプロや放送局の技術関係者はもとより、広告会社の関係者の姿も見受けられた。
 Inter BEE 2011の機器展では、アストロデザイン、エス・シー・アライアンス、コスミックエンジニアリング、TCグループ、東陽テクニカ、フォトロン、フォービット、ヤマキ電気など多くのメーカーから、ARIB TR-B32に準拠したラウドネスメーターが出展された。
 既に、ステレオに特化した低価格タイプや5.1chとステレオを同時に測定できるもの、番組素材を長時間記録するロガー機能を有するものなど、ポストプロや放送局の現場の声を反映した多様な装置が開発されている。

#interbee2019

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