特別企画 DTV WORKSHOP 2007 –Towards Full-fledged DTV-の話題から

2007.11.22 UP

11月20日(火)、展示ホールとは別の国際会議場コンベンションホールAで興味深い講演「DTV WORKSHOP 2007 –Towards Full-fledged DTV-」(主催・運営 社団法人電子情報技術産業協会)を聴くことができた。内容は、

①地上放送のデジタル化について
②ISDB-Tの海外普及活動
③地上携帯型受信の現状と将来

この③の地上携帯型受信の現状と将来というテーマの講演の中で「デジタルラジオの現状と今後の展開」という話があったのだ。
デジタルラジオとはどんなものか? と聞かれてすぐ正確に答えられる人はどれくらいいるだろうか? そう言っている自分も答えられないうちの一人だ。ならばこの機会に勉強しようと思ったのだ。

デジタルラジオ、その名のとおりデジタル変調によるラジオ放送のことである。従来の、AM、FM ラジオに比べ受信状況の変化によるノイズが少なく、高音質であること、データ放送などの付加サービスが充実していることなどが特徴である。
このデジタルラジオは、2003年10月 東京と大阪で実用化試験放送がスタートした。現在では16社が参加し、20chで放送されている。端末受信機も100万台まで普及したそうだ。技術的には、最近携帯電話などに搭載され増えている携帯端末向けデジタルテレビ放送のワンセグと同じ技術を使っており、話を聴いていると技術畑の人間じゃない自分のようなものにとっては、ワンセグとデジタルラジオの違いがよく分からなくなってくる。決定的な違いは、ワンセグはUHF波を使用しており、デジタルラジオはVHF波を使っている点だ。

まぁ技術的なことはよく分からなくても、デジタルラジオの今後の展開は大いに気になるところである。デジタルラジオには、イギリスがいち早く取り組んでおり1990年にBBCによる試験放送が始まり、1995年の9月からロンドンで本放送開始している。日本とは方式が違い、Digital Audio Broadcasting (DAB方式)による放送だ。

ならばその大先輩のイギリスではどう普及しているのか? 今回のInter BEEのために来日しているiabmのイギリス人スタッフに聞くと、ロンドンでデジタルラジオを聴取しているのは、まだまだ限られた人たちだとの話もあった。そして今でもアナログ放送とデジタル放送の両方が存在しているそうだ。それなりの成功は収めているものの大成功とまではいっていないのかもしれない。イギリスでは安価な受信端末も発売されおり、何年か前のクリスマスにはプレゼントの品としてかなり売れたという話も聞いたが、やはりデジタルラジオ成功の鍵は、受信端末の普及にかかっているのだろう。

今、日本のデジタルラジオは、2011年以降、本放送、全国展開を目指している。
ところでその時のラジオの制作現場はどう変わっているのだろう。こっちも大いに気なるところである。

【ラジオディレクター・野村 満)】

#interbee2019

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