【Inter BEE 2009 見どころピックアップ!】フィックスターズ H.264リアルタイムソフトウェアエンコーダー「CodecSys」シリーズを出展

2009.11.16 UP

Codec Sys を搭載したHP Z800

<<H.264にリアルタイムに変換 IPTV、Blu-ray制作向けに提案>>

 フィックスターズは、H.264リアルタイムソフトウェアエンコーダー「CodecSys」シリーズを出展する。CodecSysは、米Broadcast International社とフィックスターズが共同で開発した、H.264フォーマット対応のエンコーディングソリューション。

 YUVやMPEG2のほか、非圧縮のAVI、QuickTime、DPXなどをH.264にリアルタイムに変換。Blu-ray向けのH.264 ES、IPTV向けのMPEG2 TS、MP4コンテナでの出力も可能。ソフトウェアエンコーダーでありながら、処理速度を大幅に改善することで、高画質と作業効率の向上を実現している。同シリーズのスタンダードモデル「CodecSys Pro」は、アクトビラでの検証も既にパスしているという。

 フィックスターズは、マルチコアプロセッサにおけるソフトウェア開発会社として、東京に本拠を置く。現在、Cell/B.E.およびGPUをターゲットとしたソリューションを提供している。


<<Cell/B.E.への最適化を行うことで、高速処理を実現>>

 フィックスターズのCodecSys開発、サポート責任者である近村啓史氏は、「CodecSys」の特徴について、次のように説明する「MPEG2と比べて演算負荷の高いH.264のエンコードでは、これまでソフト処理で実時間の5倍以上の処理時間がかかっていた。当社では、これまでのマルチコア向けソフトウェア開発のノウハウを生かし、Cell/B.E.への最適化を行うことで、高速処理を実現。フルHDの映像をリアルタイムでH.264に変換できる。ハードウェアエンコーダーと比べて、機能の追加やカスタマイズなど柔軟な対応が可能」

 CodecSys Proは、Blu-ray、アクトビラそれぞれに対応したプリセット機能を装備し、部分再エンコードや、大量のコンテンツをまとめて処理できるバッチ・エンコード機能など各種の機能を搭載している。

 システム構成は、HPのZ800をホストワークステーションとして、これに同社のアクセラレーターカード「GigaAccel 180」と、ビデオキャプチャーカードとしてBluefish technologies社のEPOCHを搭載している。GigaAccel 180はCell/B.E.の性能強化版であるPowerXCell 8iを搭載したPCIeタイプのボードで、H.264エンコーディング処理のアクセラレーターとして使用する。

 マルチコアプロセッサであるCell/B.E.の性能を最大限に引き出すため、画素単位で行う処理をすべて、SPEの並列演算命令向けに書き換えている。また、演算性能を最大に引き出すために、データ転送タイミングを最適化。さらに8個のSPEコアをすべて並列動作させるタスクスケジューリング技術を駆使している。


<<Blu-rayオーサリングなどでポストプロに導入実績>>

 CodecSys Proは、今年春に発売され、正式導入は7月から開始している。すでに現在国内10カ所のポストプロのBlu-rayオーサリングや、IPTV向けの映像素材作成におけるエンコーディングなどで利用されている。

 近村氏は、CodecSys Proの用途として、「Blu-rayディスクオーサリング、アクトビラ向けコンテンツの作成のほか、テープメディアで保存している映像をデジタル化したり、大規模な監視カメラネットワークのアーカイブ処理などに対応可能」と言う。
 「エンコード時間を大幅に短縮することで、処理できるコンテンツ数を増やすことができるほか、制作時間を効率化することで、編集などの作業により多くの時間を割くことで、品質の向上にもつながる」(近村氏)

 InterBEEでは、会場において、Blu-rayの制作ワークフローにおける同製品の活用事例を紹介するほか、アクトビラ対応コンテンツの製作工程も紹介する。

 フィックスターズでは、こうしたターンキーシステムの販売のほか、CodecSys Proのアルゴリズムをシステムに組み込むサービスも行っている。最近では、メモリーテックとの協業で、デジタルアセット管理システムのKaleiDATMに、機能を組み込んだ例があるという。システムインテグレーターなどのパートナーも広げていくという。

 今回はこのほか、上位モデルである「CodecSys Enterprise」を参考展示する。これは、アイ・ビー・エムのCell/B.E.搭載ブレードサーバーを用いてH.264のエンコードを行う。同サーバーには、Cell/B.E.が二つ搭載されており、より高速なエンコーディングが可能となっている。

 「ブレードサーバーのため、多チャンネルにも対応。放送局などのライブ放送のストリーミング配信やテープレスアーカイブ向けのエンコードシステムなどに適している」(近村氏)

 また、このほか、下位モデルの「CodecSys Personal」も展示する。これは6月に発売したモデル。PLAYSTATION3をアクセラレーターとして採用している。

#interbee2019

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