【ニュース】「Next Advertising & Marketing 2009」でデジタルサイネージに関する講演

2009.7.28 UP

「見えてきた次世代デジタルサイネージの可能性〜効果測定から携帯・放送連携まで〜」
デジタルサイネージ・コンサルタント 町田聡氏が講演

 次世代の広告技術やマーケティングサービス関連の展示会である「Next Advertising & Marketing 2009」(主催:NCMアワード実行委員会)が7月16日−17日の2日間、東京国際フォーラムHall B7で開催された。16日、「見えてきた次世代デジタルサイネージの可能性〜効果測定から携帯・放送連携まで〜」と題した講演が行われた。登壇したのは、デジタルサイネージコンソーシアムのシステム部会コンテンツグループリーダで、デジタルサイネージ・コンサルタントの町田聡氏だ。
 町田氏は、「デジタルサイネージは現状ではまだ、ハード中心の市場になっていr。今後は、コンテンツが中心の市場になることが2015年に1兆円産業に成長するための課題」であると述べた。以下は、講演の概要。
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■ 2015年の目標は1兆円産業
 ネットワーク、デジタル技術を駆使した新たな屋外マス広告媒体への成長が期待されているデジタルサイネージ。2008年の市場規模は約600億円規模となっており、2015年には1兆円規模になると期待されている。町田氏は冒頭で、「現状はハード中心の売り上げであり、1兆円規模の市場へ拡大するには今後、コンテンツの売り上げが増加していかなければならない」と述べた。
 デジタルサイネージを、「屋外・店頭・公共空間・交通機関など、あらゆる場所で、ネットワークに接続したディスプレーなどの電子的な表示機器を使って情報を発信するメディア」とし、「時間と場所を特定できる唯一のメディア」であることを強調した。

■コンソーシアムの活動
 町田氏は続いて、2007年6月に設立されたデジタルサイネージコンソーシアム(以降、DSC)の規模や活動内容について紹介した。
 町田氏はまず、DSCが行っている「デジタルサイネージの利用目的」が以下の6つに分類されていることを示し、「一般にデジタルサイネージは広告・販促メディアと捉えられることが多いが、それは一側面にすぎない」とし、デジタルサイネージの役割について、次の6項目を挙げた。
 1)ブランディング
 2)セールスプロモーション(販促)
 3)アドバタイジング(広告)
 4)インフォメーション
 5)空間演出
 6)災害・緊急情報提供
 町田聡氏は、「これらの利用目的は得たい成果により単独あるいは組合せで利用することで、その効果を最大限に発揮することができる」と説明した。

 DSCの参加企業数は、7月8日現在で153社。多種多様な異なる業界プレーヤーが参加している点が特徴だ。内訳はハードメーカーが36社、広告会社が18社、鉄道が2社、デジタルサイネージ媒体企業が11社、システム開発企業が23社、通信キャリアが3社、コンテンツ関連企業が26社、新聞社や映画会社、出版社、放送事業者などその他サービス系企業が31社となっている。
 デジタルサイネージのメディア化のために必要な標準化作業を行っており、「システム部会」、「指標部会」、「プロダクション部会」と「ロケーション部会」の4つの部会がある。

■ プレイヤーとの協業と目的に応じた複数ビジネスモデルの組合わせが重要
 デジタルサイネージは、広告主、広告代理店、システムメーカー、媒体社、ハードウェアメーカー、調査会社、制作会社、ロケーションオーナーと関係者が多い。そのため、「効率的に目的のソリューションを組立てることが重要であり、関係者間の中での自社の立ち位置を明確にし、すべてを自社で対応せずに積極的に協業することが成功の秘訣(同氏)」と述べた。
 また、デジタルサイネージのビジネスモデルとして、次の4つを挙げている。
 1)販売促進・ブランディングを目的とする「販売促進モデル」
 2)サービス提供・販売促進を目的とする「情報提供モデル」
 3)サービス提供・エンターテイメント提供を目的とする「集客モデル」
 4)ブランディング・販売促進・情報提供・コンテンツ提供を目的とする「媒体(広告)モデル」

 町田氏は、実際に利用する場合は、「得たい効果により、上記から複数のビジネスモデルを組み合わせて利用する」ことと、「得たい効果を最大限に発揮するためにはどのようなビジネスモデルが有効かという視点で検討する」ことをポイントとして指摘している。
 一つの事例として、例えば、米ウォルマートのスマートネットワークでは、「ウォルマートが媒体社兼ロケーションオーナーとなり、情報提供モデル+媒体(広告)モデルの組合わせて展開している」という事例も紹介している。

■ 効果測定によるコンテンツ切り替えなど最先端事例を紹介
 講演の後半、町田氏はデジタルサイネージの最先端事例として、効果測定によるコンテンツ切り替え、放送と通信連携などに言及した。
 効果測定によるコンテンツ切り替えの事例では、顔認識技術を使って視聴者の映像を分析し、視聴者数・視聴時間・性別・年齢といった データを測定する米TRUMEDIA社の視聴者測定システム「iCapture」を紹介。
 「最近のディスプレイには、STB(Set Top Box)機能が組み込まれており、画像認識技術を活用した効果測定までの機能を持ち、映像を見ている人に応じた映像を切り替えて表示するデジタルサイネージシステムが導入されており、効果も出ている」(町田氏)と説明。「その効果については、広告主に言われる前に効果が出ていることをアピールする事が重要(同氏)」と述べた。
 放送と通信連携の事例については、放送波を用いてデジタルサイネージ端末へコンテンツを配信し、その端末に搭載されているFeliCaリーダーライターを介して携帯電話へクーポンを配布するストリートメディア社の「Touch!ビジョン」を紹介した。

 講演の最後に、2009年4月から施行された「インターネットコンテンツ健全性認定」について紹介した。町田聡氏は、「この制度を知らないとWebマーケティングに影響する。全くの任意であるが、制作会社や広告代理店も早めの認知が必要」と指摘して講演を締めくくった。

#interbee2019

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