【SIGGRAPH 2011】SIGGRAPHにおける注目論文(8)マイクロソフト・リサーチ・アジアが顔のアニメーションで新手法〜12月 香港開催のSIGGRAPH ASIAへ向け〜

2011.10.30 UP

画像(a)

■大きな変化のなかったモーションキャプチャー
 モーションキャプチャー、フェイシャル・アニメーション、キャラクターの歩行のコントロールなどといった、人間および人間によく似たキャラクターの表現に関する技術セッションは、SIGGRAPH2011にも数多く登場した。だが、おしなべて今年は、過去に発表されてきた技法と比較してあまり大きな変化は感じられなかった。CG表現をバーチャルなものと知りながらも、人間の目は現実の世界で自分自身が最も慣れ親しんできた対象物に最も鋭く反応する。そういった対象物の極みといえるのが”人間“にほかならず、それゆえに人間の表現に関する技術的なハードルのバーを高めてそれを超えてゆくことはいかばかりか難しいようだ。しかし、およそ今日CGが貢献する映像の中で人間を含まないものはないといえるほどにその需要は高いだけに、この分野の技術のさらなる進化に期待したい。

【画像(a)説明】
 毎年のようにアジアで最も多数のSIGGRAPH論文を発表するマイクロソフト・リサーチ・アジア(Microsoft Research Asia)のインターネット・グラフィックス・グループ(Internet Graphics Group)。もともと物体表面の細かいジオメトリーの変化まで考慮した表現技法の研究に秀でており、今年もキャプチャーやテクスチャーの概念を用いてそれを実装するSIGGRAPH論文を発表しているが(”Pocket Reflectometry”, “Discrete Element Textures”)、新たな研究テーマとして人間の顔のアニメーションにも挑んでいる。
 今回発表されたのは、かなり極端な顔のアニメーションを、顔の皺などのディテールまで含めて、モーションキャプチャー・データーから作成する手法。キャプチャー・データーから顔の特徴を掴みとることのできる最小データーを抽出し、このデーターを用いて、顔のメッシュの変形を低解像度・高解像度の2段階に分けておこなう。極端な顔の動きをキャプチャーしたデーターをそのまま用いて高解像度のメッシュの変形をおこなうことには、計算負荷の面でも計算の安定性の面でもかなり無理があるのだが、上記のようにうまくプロセスを分解することによってこれを可能にしているところが大きな特徴となっている。

(c)20011 ACM, Inc.
“Leveraging Motion Capture and 3D Scanning for High-fidelity Facial
Performance Acquisition“
(Haoda Huang, Jinxiang Chai, Xin Tong, Hsiang-Tao Wu,
Microsoft Research Asia & Texas A&M University)

#interbee2019

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