【ニュース】NECケーブルネットフォーラム2010 SD映像をHD映像に変換する超解像トランスコーダ「SR-1100」やAndroidを採用したクラウドコミュニケーター「LifeTouch」などを展示

2010.12.3 UP

「SR-1100」
「ED-BLC2/8」

「ED-BLC2/8」

「Armadia」

「Armadia」

「LifeTouch」の簡単リモコン

「LifeTouch」の簡単リモコン

 日本電気株式会社(以下:NEC、本社:東京都港区、執行役員社長 遠藤 信博)は、2010年12月1日、ケーブルテレビ事業者やケーブルネットワーク事業者向け内覧会「ケーブルネットフォーラム2010」を開催。超解像トランスコーダの新機種「SR-1100」や音声レベルを適正化する「Audioaxyz ED-BLC2/」、ビデオサーバーシステム「Armadia」、Androidを採用したクラウドコミュニケーター「LifeTouch」などを展示した。


■SD映像をフルHD映像、フルHD映像をSD映像へ変換する超解像トランスコーダを紹介

 「SR-1100」は、NEC中央研究所が開発した「1枚超解像技術」を利用し、SD映像からフルHD映像へ、またフルHD映像をSD映像へリアルタイムに変換することができる。

 一般的なSD映像からフルHD映像へのアップスケーリングにより元映像を2倍に拡大すると、画素数は4倍に増え、ギザギザ感が目立ったり、追加画素は周囲の影響を受け中間色で補正されるため、輪郭がぼやけた状態となる課題がある。しかし、本装置では、映像のぼやけを改善し、人物や物の輪郭部分の画素表現を調整することで、画質の補正や色再現性を高め、画像を鮮明に処理することができる。

 同社では、2009年12月に同技術を使ったSD映像をフルHD映像へ変換する超解像トランスコーダ「SRVC-1000」を発売しているが、価格を従来製品とほぼ同じ300万円(税別)に抑えながら、輪郭のぼやけ具合に応じて解像度の強弱を調整できる「画質調整機能」や超解像処理領域を指定可能な「矩形(くけい)領域機能」など鮮明で自然なフルハイビジョン映像を実現する機能、フルHD映像からSD映像へダウンコンバートする機能などを搭載している。

 HD映像からSD映像へのダウンコンバート機能について、国内第3ネットワークソリューション事業部エキスパートの尾山幸洋氏は「ケーブルテレビ事業者は、地上アナログ放送停波の2011年7月から2015年3月末までの暫定的措置として、地上デジタル放送をアナログ方式に変換(デジアナ変換)した信号も併せて各家庭に配信する「デジアナ変換」が義務付けられており、需要がある」と説明した。

 また、本装置の特長である画面の一部だけに超解像処理を行う矩形領域指定機能により、「超解像処理領域を最大4箇所指定することが可能で、デジタルサイネージに使う4Kや8Kサイズのマルチディスプレイへ表示する場合にも、文字部分は極端な強調をせずにそのまま残し、強調したい映像部分のみに超解像を掛けられる様にメリハリが効いた映像を作ることができる」と説明した。


■音声レベルを適正化するオーディオ・リミッタ・コンプレッサを展示

 オーディオ・リミッタ・コンプレッサ「ED-BLC2/8」は、放送送出、製作及び回線系入力等において、音声レベルの適正化を行うと共に、番組間、番組CM間の音声レベル差を少なくし、音声レベルを適正化する装置。

 「ED-BLC2」は、2chのアナログI/FとデジタルI/Fを、「ED-BLC2(FM)」は、FM放送用にRFコンポジットとして、LMSK入力、コンポジット×3出力とPILOT×1出力、「ED-BLC8」は、HD-SDI/SD-SDI I/Fに対応している。

 放送映像事業部第二技術部マネージャーの山本哲也氏は、現在放送業界で話題となっているラウドネス値について、「ラウドネス値に関する国際標準規格であるITU-T BS.1770やEBU-R128/TECH3341には、現在対応していないが、来年3月頃に策定される予定のARIBの標準規格や運用規定が出来上がり次第に、ファームウェアのバージョンアップとして対応する予定」と説明した。


■APS(自動番組制御装置)に対応したビデオサーバシステム


 ビデオサーバ「Armadia」は、ビデオサーバ専用ディスクアレイ「SS-1000」とHD専用ビデオサーバ「RS-1000」とによって構成するビデオサーバーシステム。

 「SS-1000」は、フラッシュメモリタイプと、ハードデイスクから選択可能。また、「RS-1000」は、5RU筐体にエンコーダまたはデコーダを最大8本のHD/SD-SDIの映像入出力、SDIエンベデットオーディオとAES3id準拠のシリアルデジタル信号のベースバンドインタフェースに加え、MXF(MXF OP1a、MXF OP-Atom)ファイルによる入力に対応。コーデックはGFやXDCAMなどのMPEG-2に対応。「今後、H.264(AVC-Intra等)にも対応する予定」という。

 本製品は、国内放送局のマスター、報道サブシステムなどのAPS(自動番組制御装置)との連携が可能で、標準的なVDCP(Video Device Control Protocol)での収録再生制御、番組バンクでは、字幕差し替え機能 (VANCデータ毎差し替え)をサポートしている。現在接続確認できているAPSは、同社のAPSとパナソニック、ビデオテックとのこと。

 本製品の特徴は、字幕や音声を差替え可能な点で、「MXFファイルをビデオとオーディオに内部フォーマットで分割して保存しており、ANCデータやオーディオデータを差替えて、再度MXFファイルにすることができる」放送映像事業部新事業推進部マネージャーの上野克哉氏は説明した。また、FinalCut ProやAvid Media Composer、EDIUSの編集機とのインタフェースも用意しているという。


■ 使いやすさに配慮したAndroid搭載クラウドコミュニケーター「LifeTouch」の簡単リモコンを提案

 NECが11月10日に発表したAndroid 2.1ベースの企業向けタブレット型クラウドコミュニケーター”Life Touch”を使った「かんたんリモコン」や「見守り」、「かんたんメール」といったケーブルテレビでの利用を提案した。

 かんたんリモコンは、Life Touchに赤外線リモコン機能と、7インチのディスプレイにテレビのチャンネルや番組表ボタンなどの機能を持ったリモコンアプリケーションを搭載する。リモコンアプリケーションから、チャンネル切替えができることはもちろん、インターネットアクセス機能を利用して、電子番組表サイトにアクセスして番組表を表示し、そこから視聴したい番組を選局する事もできる。

 「見守り」は、LifeTouchをリモコンとして利用すると自動的に遠地の家族へ安否確認メールを送信するサービス。また、同様にメール機能を利用して登録済みの定型メールや音声メールを送ることができるサービスが「かんたメール」だ。

 パーソナルソリューション事業開発本部の大塚洋平氏は、「デジタル放送により難しくなっているリモコンをお年寄りでも簡単に利用してもらえるリモコンとして、提案している。また、見守りサービスや簡単メールなども難しい操作が不要」とアピールした。また、「インターネット契約に結び付けるためのサービスとして利用してもらいたい」と語った。

 この他、地域のスーパーなどと提携した「ネットショッピングサービス」なども提案していきたいという。ネットショッピングのメリットについて、大塚洋平氏は「例えば、ネットショップでは、ユーザの購入に応じて売り上げの何割かをもらえるアフリエイトサービスがあり、ケーブル事業者側もこのアフリエイトを享受できる」と説明した。今後、ネットショッピングサービスについても提案していきたいという。

(写真解説)
写真1:超解像トランスコーダ「SR-1100」
写真2:オーディオ・リミッタ・コンプレッサ「ED-BLC2/8」
写真3:ビデオサーバシステム「Armadia」
写真4:Android搭載クラウドコミュニケーター「LifeTouch」の簡単リモコン

「ED-BLC2/8」

「ED-BLC2/8」

「Armadia」

「Armadia」

「LifeTouch」の簡単リモコン

「LifeTouch」の簡単リモコン

#interbee2019

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