【SIGGRAPH2009】SIGGRAPHの見所を紹介 SIGGAPH ASIAについても予告

2009.8.5 UP

 日本からの参加者を対象に、各プログラムの委員長がSIGGRAPH 2009コンファレンスの見どころを紹介する通訳付きのオーバービューセッションが、8月3日(月)13:00-15:00に展示会場内のインターナショナルセンターで開催された。主催はSIGGRAPH、CG ARTS協会、DCAJ。冒頭では、ACM SIGGRAPH会長スコット・オーウェン氏が、ACM SIGGRAPHの概要紹介や、日本の横浜で12月に開催されるSIGGRAPH ASIAの予告などをまじえて挨拶した。

<<テクニカルペーパープログラム 応募総数のうち2割が採択>>
 テクニカルペーパープログラム(論文発表)の審査委員長であるトム・ファンクハウダー氏によると、今回発表される論文は、応募されたすべての論文のうち2割程だという。コンピューターグラフィックスのさまざまな分野を研究対象としてカバーしており、イメージのレンダリング、イメージプロセシング、アニメーションなど多岐にわたって発表される。
 ファンクハウダー氏は、「発表される論文だけでも数が多い。コンファレンスを見に来れば、世界最先端の論文に触れることができる」と話した。
 また、論文全体のオーバービューを見たいと希望する人向けに、同日18:00より会場内ホール1と2で開催されたペーパーファーストフォワードにて、今年の論文の傾向や概要の報告が行われた。このファーストフォワードでは、それぞれの論文の発表者が1分以内の短時間で論文内容のプレゼンをする。
 基本的に、SIGGRAPHで発表される論文は英語で書かれるため、英語圏以外の論文応募者は審査の際に不利となることがある。SIGGRAPHでは、そのような応募者を対象に、英語の校正サービスを行い、より多くの応募を呼びかけている。

<<学生によるコンテンツ制作マラソン企画 「FJORG!」「ゲーム・ジャム」>>
 SIGGRAPH 2007より始まったプログラム「FJORG!」には、今年は世界各国から30人の学生が参加した。「FJORG!」は、SIGGRAPH開催期間内のうち32時間で45秒間のアニメーションを制作するという、CG制作を学ぶ学生によるアニメーション制作マラソン企画。開始後に発表された今年度の制作テーマは「グレート・エクスペクテーション」。このテーマから、それぞれの学生が各自の解釈で自由に発想し、夜を徹して作品を制作する。締切は4日(火)の17:00。制作は2階の257にて行われ、見学は自由。今年はLIVEでブログもUPされる。
 また、今年度から始まる新プログラム「ゲーム・ジャム」は、24時間でゲームを制作するという企画。ゲームジャムでは2つのコンペティションが行われており、ひとつは3DCGゲームを制作し、もうひとつは2Dゲームをフラッシュで制作する。「ゲーム・ジャム」は、「FJORG!」終了後の4日(水)18:00より制作を開始するという。

<<アートギャラリー テーマは「バイオロジックアート」>>
 会場3階に設けられるアートギャラリーについては、招待作品部門の委員長マーカイ・スミス氏と、応募作品の委員長イローナ・ビンゲント氏を招いてセッションを行った。
 「今年の招待作品展示には、アート分野の他に建築やデザインも参加している。テーマは“ジェネラルティーズ・ファブリケーション(生成的な制作)”。これは生成的なアートと、デジタルの制作を組み合わせた言葉である。生成的というのは、アルゴリズムを使ったり初めに決めたゴールに向けて制作したりする方法で、デジタルの制作とはコンピュータを使った制作のことを指す。今回のおすすめは、“モニュメンタルネット(モニュメントとしての網)”という作品の雛型。これは、エンジニアとアーティストとのコラボレーションで生まれた作品で、エンジニアの計算によって設計された。大きさは非常に大きく、今回展示される雛型でも外周10メートル以上、直径4メートル以上もある。他にも、生物学者と建築家、デザイナーと現場制作者など、さまざまなコラボレーションが行われている」(マーカイ・スミス氏)。
 「今年の応募作品は“バイオロジックアート:デジタルアートの自然の歴史”がテーマ。10カ国からの応募総数400のうち11の作品が選ばれ、展示される。文化の違うさまざまな国の異なった解釈をみることができる。中でもおすすめなものとして、地球温暖化をテーマとし、暗い部屋で赤外線ゴーグルを通して見るブルガリアの作家の作品や、人毛を使った震動音を鳴らし、一人ひとりで違う音色を聴き比べることができるドイツの作家の作品、プラスチックのメッシュでできた部屋の中に人が入ると、その動きに反応して部屋自体が生きているかのように動き出すというトロントの作家の作品などがある」(イローナ・ビンゲント氏)。

<<コンファレンス 音楽・オーディオに焦点>>
 SIGGRAPH 2009、コンファレンスの総委員長ローニン・バゼオ氏は今年のSIGGRAPHの新しい見どころについて「今年は特に、音楽とオーディオに新しい焦点を当てており、クラスやパネルなどを含め、それらについて発表する。新しいインタラクティブな技術や、視覚的な表現を用いた音楽のパフォーマンスも行っている。また、もうひとつの焦点として、SIGGRAPHにゲームメディアを呼び戻す動きがある。今年からゲームジャムが開催されるほか、ゲームに関するトークやコースも行われる。後はもちろん、毎年おなじみのエマージングテクノロジーなどのイベントも見ていただきたい」と語った。

<<海外参加者のコミュニケーションの場 インターナショナルセンター>>
 インターナショナル・リソーシズでは、外国の人々同士がコミュニケーションをするための橋渡しをするという目的でSIGGRAPHに参加している。委員長のサンドラ・アルベルティ氏は、その活動内容紹介と、インターナショナルセンターで予定されている催しの数々を紹介をした。「インターナショナル・リソーシズの受付は会場入り口付近にある。日本語を話せるボランティアがおり、休憩所もあるので、気軽に立ち寄って利用してほしい」と話した。
 インターナショナルセンターで行われる日本人向け行事については以下の2件が紹介された。
 CG ARTS協会は、4日(火)の14:00より、映像新聞社と共同で、MITの教授ラメシュ・ラスカー氏を講師に迎えて、「カメラカルチャー」をテーマとしたフォーラムを日本語通訳つきで開催する。
 DCAJでは、5日(水)の13:30より、インターナショナルセンターにて、昨年のデジタルクリエイターズコンペティション入選作発表と、日本における産業でのCGの事例紹介を行う。本年はNTT、KDDI、大日本印刷、NICTの代表者がプレゼン予定。

<<エマージングテクノロジー 33のプロジェクトが8カテゴリーで展示>>
 エマージングテクノロジーについては、委員長である桜井学氏がプレゼンをした。「会場3階で開催される、今年のエマージングテクノロジー発表には、33のプロジェクトが参加する。8つの部屋に8つのカテゴリ(入力インターフェース、ビジュアリゼーション、アルタナティブディスプレイ、Experimental Sensory Experiences――“思いもつかなかったもの”の意――、ロボティクス、オーディオ、Haptic、VR)で展示を行う。
 今回はオーストラリア、カナダ、韓国、シンガポール、スペイン、フランス、米国、日本(以上50音順)の8カ国の作品が審査を通過し出展しており、今年は全33プロジェクトのうち17が日本の出展となった。
 出展内容も「さわれるホログラム」、「トランポリン」「シャツたたみロボット」、「赤ちゃん」、「口臭を使ったゲーム」、「デジタルリビングルーム」、「リアルタイムで3Dレンダリングをするテレビ電話」、「キューブ型3Dディスプレイ」、「描いたスケッチがそのまま3Dデジタル画像になる装置」など、多彩かつ個性的。「触って体験して楽しめる内容となっている」と桜井氏は話した。

#interbee2019

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