【ニュース】IBC2010 DVB Project事務局長インタビュー

2010.9.16 UP

■「今回のIBCですべてが揃った」

 DVB方式の開発を推進するDVB Project(スイス)の事務局長であるPeter Siebert博士は映像新聞との単独インタビューに応じ、プロジェクトの進行状況を説明した。
 DVBは地上、衛星、ケーブル用の第2世代方式を整備してきたが、今回のIBCですべてが揃った。
 地上については「第2世代の地上ディジタル放送用規格であるDVB-T2は、2009年12月より英国で送信が始まり、2010年4月より正式に放送開始となった。正式開始とは人口カバー率で50%を越えていることを意味する」(Siebert事務局長)という。


■タイ、シンガポール、インドもDVB-T2を検討

 英国では地上ディジタル放送は“Freeview”の愛称で呼ばれているが、T2はHD放送を行っているため”Freeview HD”の愛称が与えられたという。欧州では、フィンランドとスウェーデンがDVB-T2を採用し、2011年からの放送開始が決まっている。また、ドイツも放送に向けて諮問がなされ、間もなく開始時期に関する答申がなされるとのことであった。

 Siebert事務局長によると、イタリア、オーストラリア、タイ、シンガポール、インドがDVB-T2の採用を検討しているという。なかでもタイは、アナログ放送から直接DVB-T2への移行を目指している。


■IPTV、移動機器向けの規格策定中

 ケーブル放送用の新世代規格DVB-C2は、昨年発行されたため、今年のIBCが規格発行後の初の展示となる。「欧州では、帯域800MHzの同軸サービスが中心である上、光ファイバーの埋設はコスト的に非常に難しいため、多くの事業者がDVB-C2採用に向かっている」(Siebert事務局長)という。

 DVB-C2で伝送容量は50%増加する上、AVC/H.264の使用で各チャンネルあたりの容量も最大50%低減されるため、現行方式に比べて2倍以上の総合効率となる。

 DVB Projectでは、現在IPTVと移動機器向けの規格を進めている。進行状況について、Siebert博士は「移動機器向けはNGH(Next Generation Handheld)と仮称されており、DVB-Hの反省に基づいた規格化作業がなされている」とした。事業者にとって、装置コストを下げることが大切であり、そのためにエラー耐性を方式面で高めることとしたという。また、使用可能な速度も「歩行速度から時速350kmまで」(Siebert博士)と幅が広く、ほとんどの移動手段に対応する。規格化は、技術の公募が始まったところであり、あと1年ほどで完了するという。

(写真説明)DVBは、各方式を示すサブロゴの形状を一新した。現在、規格化がなされているすべての方式のロゴを示すDVB Project事務局長のPeter Siebert博士。

#interbee2019

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