IBC 2008現地取材レポート 第3弾

2008.10.23 UP

IBC 2008 topics, Vol.2


■ラジオ局のオンエア用小型デジタルミキサー発表
独LAWO社

 オタリテックが国内代理店を行っているドイツのプロ用オーディオシステムメーカ=LAWO社は、先のIBC 2008でラジオ局のオンエア用のデジタルコンソールの新製品としてコストパフォーマンスに優れた小型コンソール『crystal(クリスタル)』を発表した。
 クリスタルは新世代のデジタルオーディオコンソールで、ラジオ局のオンエアおよび編集スイートのアプリケーションに特化してデザインされており、リーズナブルな価格と人間工学に基づいた操作性を重視したコントロール卓を採用している。
それは、操作しやすい操作面に特徴付けられており、必要最小限のコントロール要素とディスプレイにより、短期間のトレーニングで操作が可能となり番組ごとにミキサーが交替しても、操作ミスを防ぎ操作上の安全を保証している。また、コンソールの立ち上がり時間の短縮化、標準のアプリケーションのためのすぐ使えるコンフィギュレーションの選択、ユーザのワークフローに対応するカスタム設定機能等、デジタルコンソールならではの特徴も備えている。
 コントロール卓は、様々な機能の色コード化を可能にするRGB LEDにより照明されたボタンによって構成され、各チャンネル列に装備された高解像度OLEDディスプレイはすべての角度で最適な読みやすさに保証している。そして1つのチャンネルあたり上下に2つ設置されたディスプレイのうちの1つが選ばれたソースを表示するため、ユーザは容易にチャンネルソース等の確認が可能。ボタンやディスプレイの明るさは、センサーにより部屋の照明条件に適応し、疲労なしの仕事を可能にする。コントロール卓は、幅26.5cmのコンパクトな4フェーダモデルから、幅90cmの16フェーダモデルまで、ユーザの用途に応じて、5モデルをラインナップ。システムの本体は、1RUでルーティングユニットを追加することにより最大288入力・292出力まで拡張可能。信号処理は、最大16chの入力ゲイン、バランス、パンの調整。最大128のソースとバスの定義。最大16chの3バンドのイコライザーと2つのフィルタ処理。8chのダイナミックス、エキスパンダ、コンプレッサ、リミッタ。最大240msのエコー等の機能を備えている。
また、操作性を向上させる各種オプションが用意されている。


■IBCで自社のテクノロジやイノベーション訴求
テクトロニクス

 テクトロニクスは、IBC 2008で、ファイルベースのビデオ、MPEG、SD、HD、次世代圧縮技術に関するソリューションを展示した。新製品としては、『TG700型』の3GpbsSDIによる1080p SDI信号生成機能。これは、まだ3Gpbsの素材が世の中にないため、シングルのHD-SDIから3Gpbsの素材を生成する機能。また、同GPSロック機能とタイムコード生成機能も発表した。
 『WFM7120/6120型』のANC Data Inspector。『WFM5000型/WVR5000型』の波形/ベクタ表示または波形/ライトニング表示のオーバーレイ機能等が発表された。また、面白かったのは、中国からの大量発注による、アナログの波形モニタが展示されていた。
 今回のIBCの取り組みについて、同社ビデオ事業部バイスプレジデントのアリフ・カリーム氏は『IBCは、当社にとって重要なショーと位置づけている。理由は、IBCの関係する国々には非常に多くのお客様がおり、このショーで当社がどう新技術やお客様のソリューションに取り組んでいるかを示して、当社の業界でのポジションをきちんと訴求していく必要がある。きちんと、プレゼンスを出して、テクノロジとかイノベーションをお客様に伝えていくために非常に重要な機会と捕らえている。』と説明した。また、北京オリンピックの成果については『北京オリンピックは大成功したイベントで、当社はチャイナネット、CCTV、NBCを始めとして非常に多くの製品を供給して良い仕事ができたと考えている。CCTV、NBC共に、非常にクォリティの高いHDTVを北京オリンピックで提供できた。それを支援することができたのは、たいへん喜んでいると同時に、誇りに思う。ベースバンドのシステムばかりでなく、MPEG関連機器も多数入った。』と、また日本市場については『日本には放送機器メーカに限らず、電子機器のリーディングマニファクチャラーが数多くある。さらに、大きな放送局、通信キャリアがあり、これらは業界をリードする仕事をしている。日本は、ある意味、米国や欧州より先に行っている国だと考えており、11月のInter BEEでも、具体的には言えないが、新製品を出す予定をしている。』と語った。


■プロビデオ分野はEDIUS Pro5中心に
トムソン

 トムソンは、IBC 2008にホール1とホール7に2つのブースを出展、ホール1では先の北京オリンピックで多数使用されたスローモーションにも対応するLDK8300、さらにビデオスイッチャやサーバーシステム、ニュースオートメーションシステム等を出展。一方、ホール7では、先にトムソンカノープスが発表した『EDIUS Pro5』や各種ボード関係、さらにデジタルサイネージ関係のシステムを出展した。また、プレスコンファレンスでは、同社の誇る高解像度テレシネ/スキャナーシステムであるスピリットの事業部門の売却が明らかにされた。
 IBCがデビュー戦となった『EDIUS Pro5』は、ハイアマチュアからプロフェッショナルまでの幅広いユーザに、効率的なテープレス・ワークフローと画期的な新機能の数々を提供。EDIUS本体の機能アップに加え、豊富なサードパーティ製プラグインとソフトウェアによる表現力の向上、トムソンのデジタルメディアカムコーダ『Infinity』が採用するJPEG 2000のネイティブ編集対応などを実現している。また、ソニーのXDCAM EX、パナソニックのP2 DVCPRO HD、AVCHD入出力の標準対応、マルチコアCPUをフルに活かしたMPEG2処理能力の向上、CPUとGPU間のデータ転送をスムーズに行うことで高画質かつ高速な処理を実現した3Dトランジション『GPUfx』の搭載など機能アップを図っている。
 一方、ボード関係ではHDMIケーブルひとつで簡単に入力信号を取り込み、また編集内容をリアルタイムにHDMI対応テレビに出力することができる『HDSTORM』を発表。オンボードに搭載するハードウェアHQコーデックにより、カノープスHQファイルに変換、EDIUS Pro5での高度な編集を実現する。また、アナログ入出力拡張ベイをセットにした『HDSTORM PLUS』も同時に発売した。
 さらに、オンボードにAVC-Intraエンコードチップを2基搭載することで、CPUへの負荷を軽減しながら、EDIUS Pro5上で実時間以下のエンコードを可能にする『FIRECODER Intra』、AVCHDからMPEG2へのファイル変換(逆も可)を実時間の1/4 から1/5 の時間で行うことができる『FIRECIDER Blu』も商品化した。


■シームレス・インテグレーションを展開
池上通信機

 池上通信機は、【シームレス・インテグレーション(テープレス/ワイアレス/シームレス】をコンセプトに、番組制作におけるワークフローの効率性と番組の品質向上に貢献する各種システム機器を提案した。
【GFステージ】では、GFシリーズ『テープレスカメラGF CAM』『フラッシュメモリレコーダGFSTATION』『メディアアセット管理ソフトウェアGF Media Manager』を紹介。GFシリーズは、業界標準のMPEG-2圧縮、MXFファイルフォーマットを採用し高い汎用性を実現。周辺のノンリニアメーカとの親和性も確保し、主要メーカとのパートナーシップも確立していく。製品ラインアップも拡充し、持ち運び可能な『GFSTATION PORTABLE』や再生専用機『GFPLAYER』も参考展示。機器単体の紹介から将来的なファイルベースオペレーションまで、さまざまなシステム機器との互換性を持つGFシリーズの次世代テープレスソリューションを提案した。
 また、【カメラステージ】では、同社の映像テクノロジとデジタル技術を融合したSDTVカメラから各種HDTVフォーマットに対応するHDTVカメララインアップを一堂に介して展示。注目システムとしては、HDワイヤレスカメラシステムを参考出品した。これは、ドイツBMS社との協力開発によるもので、欧州に対応する電波方式となっている。

【放送ジャーナル社 染矢清和】


◎写真1枚目
LAWO小型ミキサ

◎写真2枚目
テクトロニクス新製品

◎写真3枚目
トムソンカノープスEDIUS

◎写真4枚目
池上通信機GFCAM

#interbee2019

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