株式会社キューベルズシンクのデジタルキューシートシステム

2007.11.21 UP

制作現場も新たな技術、新たな製品が出てくるたびにどんどん便利になっている。
編集作業などは自分のパソコンでもできるので、どこにいても作業ができる。便利になった反面、オンとオフの区切りがなくなった気もする。局内で作業し、自宅に帰って編集作業の続きをして、翌日にそれを持ってスタジオ入りする。自分でしっかり区切りをつけないと一日中働いているような気分だ。とはいえ時間を有効に使えるというのは、やはり便利なことだと思う。

そこで今回は、業界初のデジタルキューシートシステムを開発したキューベルズシンク(ブース番号:5306)を覗いてみた。このデジタルキューシートシステムは、番組進行を表すキューシートを電子化したもので、それまで手書きだったものをパソコンの画面上で作業できるので効率がいい。字がへたな人にとっては、キーボードでキューシートが書けるというのも嬉しい。
このシステムは、すでに多くのFM局などで使われている。キューシート作成だけでなく、デジタルキューシートシステムで作られたキューシート上の時間進行に合わせて、ウェブサイトに現在オンエア中の楽曲情報を表示するなどいろいろ利用されている。

オンエア素材をデジタルデータで管理・運行できるデジタル音源ライブラリシステムと組み合わせると、さらに便利だ。キューシートを作りながら、その音素材を呼び出しその場で試聴したり、楽曲をそのまま登録してポン出しシステムから再生したりすることもできる。選曲していちいちCDルームにCDを取りに行かなくてすむので、これもまた便利だ。様々なシステムの組み合わせで効率よく作業ができる。
これらの機能に加えて、今回新しく加わった機能がある。自動選曲・自動放送システムだ。楽曲ごとに用意された細かいパラメーターを設定することにより、テーマに沿った選曲を自動でやってくれるというもの。タイトルやアーチスト名だけでなく、楽器名、曲の雰囲気などの情報を登録しておけば、「ピアノの落ち着いたJAZZがいいなぁ」と思えば「ピアノ」、「落ち着いた」などのキーワードでそれに見合った楽曲を検索してくれる。

ただし、この機能を使うには楽曲ごとの細かいキーワードを事前に登録せねばならないので、データーベースに情報を登録する際、基本情報に加えて様々なキーワードや付加価値情報を登録しなければならい。膨大な楽曲すべての情報を登録するのは少々手間のかかる作業ではある。しかし、一度登録しておけばその後の作業はとても楽になるのは間違いない。
また自動放送システムでは、あらかじめデジタルキューシートを作りこめば、その内容どおりに楽曲やナレーションがオンエアされる。そうなると少人数もしくは無人での番組送出・運行が可能となるので、我々のような制作現場の人間は必要なくなってくるのかもしれない。
効率的で便利にはなるが、現場にスタッフが必要なくなると思うとなんとも複雑な思いだ。近い将来、自動放送システムが進み、完全無人放送局というのも出てくるのだろうか。

【ラジオディレクター・野村 満】

#interbee2019

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