【ニュース】NHK技研公開 家庭に近づき始めたスーパーハイビジョン

2011.5.31 UP

シャープと共同開発の85”直視型ディスプレイ(22ch対応)
走査線8000本級システムを用いた立体テレビ

走査線8000本級システムを用いた立体テレビ

■ついに登場 直視型スーパーハイビジョンディスプレイ
 NHK放送技術研究所の一般公開が5月26日から29日まで開催された。今年は、36項目の研究発表が行われた(昨年は44項目)。
 今年も、最も力が入っていたのは技研が1995年から開発を進めているスーパーハイビジョン(UHDTV)であった。今年は、ついに直視型のディスプレイが公開された。このディスプレイはLCDで、シャープと共同開発したものである。
 85 型のディスプレイは、7680x4320画素で各色に10bitが割り振られている。輝度は300cd/㎡で、すぐに家庭環境に持ち込める明るさを得ていた。

■90個の小型スピーカーをディスプレイ周辺に配置 フレーム周波数120Hz目標も
 家庭の設置環境で問題となる音響は、ディスプレイ前面周囲に組み込まれた90個の小型スピーカーで立体音響を実現していた。22.2chのうち22chがスピーカーアレイで再現された。前方と側方の11ch分は波面合成で作られ、側方と後方の11ch分は頭部伝達関数を勘案する信号処理で再現している。
 この開発はフォスター電機と共になされた。今回は、他にトールボーイ型のスピーカーシステム、小型化された広ダイナミックレンジ(110万:1)プロジェクタなども出展されており、従来とは異なる小空間での利用へ準備が進み始めたことを実感させた。一方、伝送でも進歩が見られた。6MHzの帯域で超多値OFDMと偏波MIMOを組み合わせた結果、78.9Mbpsが実現された。技研構内で実際に電波を出して速度を確認している。

 技研は、スーパーハイビジョンの目標仕様を公開したが、ここではフレーム周波数120Hzを目指すと明記されている。従来の60Hzから大きく踏み出したものであり、動画像のぼけやフリッカーに対して有効な対策になると期待される。

■立体テレビ 20年後の実現へ向け大幅な画質改善
 20年後の実現を狙った立体テレビは、今年は大幅な画質改善を成し遂げていた。インテグラル立体テレビとして発表された展示では、レンズアレーは従来と同じ400x250であるが、撮影、投射に走査線8000本級システムを用いたことでこれまでとは異なる次元の画質となった。走査線8000本級とは、スーパーハイビジョンを上回るものである。立体テレビは、実現まで長い時間を要するものであるが、今回の画質達成は明るい話題となった。

■放送とネットの連携を目指すハイブリッドキャストも展示
 直近の実現を目指した研究開発は、放送とネットの連携を目指すハイブリッドキャストだ。ツイッター等のソーシャルメディアとの連携が示されたが、こちらは「相乗り」(または、ある種の「ただ乗り」)である。放送側が主体的に動いた例としては、マルチ視点放送を、主放送と別にネット経由で行うものがあった。新規開発したSTBで同期を取り、電波、ネットいずれの経路によるコンテンツも時間的矛盾無く視聴できる方式が提案されていた。帯域に制約がある放送の限界を拡げるものであり、実現が大いに期待される。(映像新聞社 論説委員 杉沼浩司)

走査線8000本級システムを用いた立体テレビ

走査線8000本級システムを用いた立体テレビ

#interbee2019

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