【映像関連企業紹介】日韓翻訳の専門会社 西ヶ原字幕社 「生きた言葉に敏感に」

2009.8.4 UP

同社が翻訳に携わった作品群
代表の林原圭吾氏

代表の林原圭吾氏

社内の様子

社内の様子

韓国語ネイティブスタッフ 金 海美 氏

韓国語ネイティブスタッフ 金 海美 氏

日本人スタッフ 朴澤蓉子 氏

日本人スタッフ 朴澤蓉子 氏

有限会社 西ヶ原字幕社
韓国語・日本語翻訳のオーソリティ
「読み合わせ」まで行う丁寧な仕事が特長

 いわゆる“韓流”ブームは一時の熱狂的ブームが鎮静した後も、国内の多くのファンに支持されカテゴリとしてすっかり定着した感がある。BS、CS、専門チャンネル、さらにDVDメディアを含めると、膨大な、あらゆるジャンルの韓国制作作品がユーザーを楽しませている。配給会社が買い付けて日本人向けにストーリーやテーマを分かり易く、しかも文化や習慣の違いを歪めることなく伝えるのにはプロフェッショナルな「翻訳者」の存在が不可欠である。日本語版(字幕・吹替)制作者のクレジット表記までチェックする人はそれほどいないだろう。しかし、そこには大袈裟に言えば日韓文化交流の功労者たる縁の下の力持ちがいることを忘れてはなるまい。
 
●翻訳は地道な仕事
 東京・杉並にオフィスを構える(有)西ヶ原字幕社は、日韓双方の語学に通じた若いスタッフ(日本人、韓国人ネイティブ)たちがチーム編成を組み翻訳業務を行っている。やはり語学には柔軟な若々しい頭脳が必要なのだろうか。その翻訳の安定した品質には定評があり、これまで東北新社、ポニーキャニオン・エンタープライズなど次々と大手プロダクションから依頼を受けてきた。
 翻訳は地道な仕事である。韓国TVドラマは日本の作品と比べてもシリーズの回数が多く、1タイトルでも大河ドラマ並みの本数を抱えることは珍しくない。ダビング作業をにらんでの納期はかなりタイトである。人海戦術になりがちだが、西ヶ原字幕社ではあまり複数の人間によって翻訳がなされると均一の品質が維持できないとして、1作品につき3人のチームで作業する。翻訳内容に誤りがないかのネイティブチェックや、言葉の置き換えだけでは困難なニュアンスを抽出し再検討する為のクロスチェック、吹き替え翻訳の際には、喋りのスピードやタイミングを確認するために、演劇経験者を交えて「読み合せ」も行う。吹き替えの場合、人気俳優の台詞を扱うわけであるから責任も大きい。大前提として誤訳やミスは許されない厳しい世界でもある。原稿として事前にOKは出ていても、実際に声をかぶせる声優の気持ちも様々だから録音に立ち会う時には緊張がある。

●“生きた言葉”には敏感に
 人材は常に不足しているという。しかし仕事の性質上、即戦力として使えなければ意味はないが、経験者はそういつでもいるわけではない。代表の林原圭吾氏は「仕事は未経験でも優秀であれば3ヶ月間のスクーリングを行って採用している」という。つまりOJTだが、切磋琢磨することで、いつでも色々な作品に対応できるよう、全体としての平均点を上げていきたいと語る。言葉は時代で変化する。韓国作品でも若者対象のトレンディドラマは人気があるから、「“生きた言葉”に敏感であるためには、新人スタッフ、経験者を問わず日々勉強」とスタッフの一人は語る。仕事の達成感、喜びはいつも少し遅れてやってくるという。「自分の訳したものが放送され、好評だと聞くとホッとする」。日本語作品の韓国語版制作は輸出入の制約もあり、まだ少ないが、思えば“韓流”の大ヒットなど10年前には想像もできなかった。「業務として制作・演出サイドにも関われるように社内技術のレベルアップを図りつつ、少しずつ仕事を広げていきたい」と林原氏。小規模な会社だが、今後ますます進むと思われる日韓映像界の橋渡し役として、その期待は大きい。


有限会社 西ヶ原字幕社
〒167-0041東京都杉並区桃井2-2-7
TEL/FAX 03-3397-1533

代表の林原圭吾氏

代表の林原圭吾氏

社内の様子

社内の様子

韓国語ネイティブスタッフ 金 海美 氏

韓国語ネイティブスタッフ 金 海美 氏

日本人スタッフ 朴澤蓉子 氏

日本人スタッフ 朴澤蓉子 氏

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