【音の制作現場】「魂のヴァイオリニスト、ジョセフ・リン」の公開録音レポート

2009.9.2 UP

会場となった所沢市民文化センター・ミューズのアークホール
ジョセフ・リン(写真提供=堀 衛)

ジョセフ・リン(写真提供=堀 衛)

 所沢市民文化センター・ミューズのアークホール(客席数2002)において、6月2日、台湾系アメリカ人の俊英ヴァイオリニスト、ジョセフ・リンの公開録音が行われた。fine NFレーベルによる「魂のシャコンヌ~和声を介した連続の旅」(NF63001)と「バッハとイザイ~円を描く音楽の旅」(NF53002)につづく、バッハとイザイの無伴奏作品を組み合わせたシリーズ第3弾完結編の録音セッションの一部が一般にも特別に公開されたものである。


<<演奏収録を特別公開>>

 当夜の第1部は、fine NFレーベルの西脇義訓氏より録音セッションについて説明がなされたのち、イザイの無伴奏ソナタ第5番が演奏収録された。その後直ちに、通常はバック・ルームに設置されるモニター・システムで行われるのだが、今回は特別にホールロビーに設置されたモニター・システムを用いてプレイ・バックが行われ、その結果を受けて録り直しが行われた。

 再演奏の前に、同レーベルの福井末憲氏より録音方式について説明がなされた。そうした解説やプレイ・バックの様子に熱い眼差しを注ぐ聴衆の人たちを見ていると、ジョセフ・リンの演奏が人気を集めるのはもちろんのこと、録音セッションや録音方式などに対する関心と期待の程がうかがわれた。

 第2部は、バッハの無伴奏ソナタ第3番が全曲通して演奏収録された。優れた音響で定評のあるアークホールと、鮮やかな技巧としなやかな感性をもって表現されたジョセフ・リンのヴァイオリンとが共鳴しあって醸しだされる素晴らしい響きと美しい余韻に、当夜集まった260人が酔いしれ、最後はホールロビーにてプレイ・バックを聴きながら、ジョセフ・リンとも親しく交わった。


<<バッハとイザイの無伴奏作品全曲収録は世界初の試み>>

 バッハとイザイの無伴奏作品を組み合わせた全曲録音シリーズは世界初の試みで、貴重な録音盤である。さらにジョセフ・リンは、曲目の組み合わせについても熟考を重ねており、しかもその磨きぬかれた表現と清冽な響きによる演奏は、すみずみまでこまやかな気配りがなされていて、のびやかで、みずみずしく、また感動的なものであり、全曲録音完成の暁には、ジョセフ・リンの名をいっそう幅広い音楽ファンの心に焼きつけることだろう。今回収録された完結編は、CDとSACDを分離して来春に発売される予定である。

 来る10月16日東京・紀尾井ホールにおいて、ジョセフ・リンのヴァイオリン・リサイタルが開催される。共演はピアニストのアレッシオ・バックス。曲目は、プロコフィエフ「ヴァイオリン・ソナタ第2番」、ベートーヴェン「ヴァイオリン・ソナタ第9番」他。(問:紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061) (横堀朱美)

ジョセフ・リン(写真提供=堀 衛)

ジョセフ・リン(写真提供=堀 衛)

#interbee2019

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