【ソウル キャラクター&ライセンシング フェア2009】韓国のキャラクター関連企業168社が参加

2009.8.3 UP

会場となった韓国ソウルにあるCOEX
盛大な除幕式

盛大な除幕式

 7月22-26日の4日間、韓国ソウルのCOEXで、韓国文化コンテンツ振興院(KOCCA)と株式会社COEX主催の「ソウル キャラクター&ライセンシング フェア2009」が開催された。同フェアは、韓国におけるコンテンツ産業の活性化を目的に2002年から始まった。8回目を迎えた今年は、キャラクター関連企業168社がブース展示を行い、ビジネスマッチングイベントには、日本やタイや米国その他17カ国からの参加があった。
 22日~23日がコンテンツ業界関係者向けのビジネスデー、24日~26日がパブリックデーとして一般公開された。主催者のKOCCAが発表した総入場者数は194,200人。オープニングセレモニーには、同フェアの広報大使である人気歌手ユニット「4minute」も参加し、来賓たちとともにテープカットをした。各社のブースでの取材から、韓国のキャラクタービジネスの一端を紹介する。

★幼児向け首位、『PORORO』のアイコニクス
 韓国国内幼児向けアニメーション事業で首位のアイコニクスエンタテインメントは、代表作の『PORORO』を中心に、大規模な展示を行った。
 『PORORO』は、3DCGによるオリジナルキャラクターが主人公で、CEOのチョイ・ジョンイル氏が自らアニメーションのシナリオを手がけている。『PORORO』関連商品の売り上げは、韓国国内だけで年間約100億円になるという。テレビ番組用に制作したストーリーもののアニメーション短編映像は、世界180カ国に輸出されており、うち約40カ国ではマーチャンダイズも行っている。日本では、2006、2007年にフジテレビ系列の子供番組「ポンキッキ」(2006年4月7日から2007年3月30日)で放送され(邦題「ポンポンポロロ」)、関連グッズも商品化されている。
 また、同社で「PORORO」に次ぐ売り上げのアニメーション『CHIRO』も、2009年9月からNHK教育テレビで放映予定。幾何学的なデザインが特徴のひよこ、こぶた、ワニなどのキャラクターが登場する作品だ。
 同社はこれまで、アニメーションの制作を主事業とし、マーチャンダイジングについては、ライセンス販売という形で展開してきたが、今後はマーチャンダイズや、商品タイアップも自社で積極的に行っていくという。
 ブースにいた同社担当者は、日本市場について次のように話す。
 「日本では、国内に品質の高いアニメーションが数多くあり、それだけで十分に需要を満たしている状態に見え、国外の作品が日本市場へ参入するのは大変難しいと感じている。大人が見るアニメは日本独自の進化を遂げており、その様式は確立しているため、それに慣れた大人の視聴者には国外のコンテンツが受け入れられにくいかもしれない。しかし、弊社が扱っている幼児向けジャンルの作品は日本市場に通用すると考えている。業界関係者にもぜひ見ていただきたい」。

★輸入アニメ大手の大元メディアが自社作品を展示
 スタジオジブリ作品やドラえもん、プリキュアなど、日本の人気作品ライセンス事業で大きなシェアを持つ大元メディアでは、これらの人気キャラクターの他に、自社開発の『noonbory』を展示した。『noonbory』は、同社が10年間準備してきたというオリジナル作品。9月から放送される予定で、今後ライセンスも取得していく予定でいるという。「弊社は、日本の人気作品のライセンス取得およびグッズ販売事業によって、キャラクター分野においては韓国国内で最大手にまで成長しました。これからは輸入作品以外に自社作品も充実させ、2本の柱として事業が両立するところまで持っていきたいと考えています」(同社担当者)。
同社は、系列会社に放送局「Champ TV」を持っており、放送、DVDなどを始めさまざまなメディアに幅広く展開している。その一方で、同社のアウトプット先は、今のところ輸入作品・自社作品とも韓国国内での展開にとどまっている。
これについて同社担当者は、「今まで日本の作品を輸入する側だったが、今は逆に弊社からもオリジナル作品を日本に輸出することを目指している。自社作品を強化するのも、国外への進出を視野に入れてのこと。KOCCAには、開発の製作費といった金銭的支援はもちろん、国外へよりスムーズに進出できるように環境面の支援を期待している」と語った。

★ぬいぐるみ販売のAurora World Corp.が新作グッズを展示
 ぬいぐるみ販売会社のAurora World Corp.は、代表作『YooHoo&FRIENDS』関連の新作グッズを並べて展示を行った。ブースには、人気投票のボードやキャラクター(着ぐるみ)との記念撮影スペースなどが設けられた。
 『YooHoo&FRIENDS』は環境問題を考えようというコンセプトで、希少動物をもとにデザインされたオリジナルキャラクター。アニメーション作品のストーリーの中で直接的に環境問題に触れるのではなく、作品を見る子どもたちに、“この動物は何だろう”と興味を持って希少動物のことや環境問題を調べてもらうという方法で、間接的に環境保護を訴える。ストーリーの背景は、ユネスコの資料を参考に作られているという。
 同社は韓国に本社を持ち、販売のための法人として米国、香港、英国に支社を持つ。「売上の5%が韓国で、その他95%は国外。割合としては、米国と英国の売上が多い」(同社担当者)。
 この『YooHoo&FRIENDS』は2007年に発売された。それがぬいぐるみとしてアメリカ、イギリス市場に出てヒット作となり、ぬいぐるみだけで2300万USドルの売上を出した。その後、韓国国内での販売強化を目的にアニメーションを作り、7月7日から放映開始した。
 また、出版社とライセンス契約をし、出版もされている。同フェアの翌週からは新刊のワークブック(学習教材)が発売される。5歳~7歳(日本の数え方では4歳~6歳)くらいの子どもに向けた内容で、母親と一緒に学習する教材となっている。
 日本でも、『YooHoo&FRIENDS』グッズのタオル(絵柄別にそれぞれ大・中・小)が契約され、年末から発売予定だ。日本市場に対しては、「キャラクターだけでなくアニメーション映像も無いと厳しい市場」であると同社は見ている。だが、日本進出のためには映像があればよい、というわけではないという。「なぜなら、日本には良いコンテンツが多く、日本人になじみの無い外国作品の放送は難しいとする放送局の考えもあるためである。しかし、タオルの契約をした会社とは、“このキャラクターが可愛いのでやってみたい”ということで取引が始まっており、キャラクターグッズやぬいぐるみのジャンルから日本市場へ入り込み、そこから放送などにも事業を広げていこうという戦略を立てている」(同社担当者)。

★『PUCCA』のVOOZがファッションショー開催
 欧米を中心に127カ国に進出し、大ヒットキャラクターとなった『PUCCA』を持つVOOZのブースでは、『PUCCA』キャラクターグッズのファッションショーが行われた。
 ショーという形で展示を行う理由を、同社担当者に尋ねた。「私たちの『PUCCA』がメインターゲットとするのは、10代から20代の若い女性。彼女たちに興味を持ってもらい、楽しんでいただくために、こういったショーの形で見せている」(同社担当者)。
服飾グッズは、カジュアルなものからハイエンドのものまで幅広く、ブース内にはモデル撮影会のスペースも設けられているなど、ユーザーに対して強く商品の魅力を訴求する展示内容となっていた。

★『HUTOS』のKBSN、日本進出に意欲
 KBSNのブースでは、自社キャラクター『HUTOS』をメインとして展示を行った。
 『HUTOS』は2歳から7歳までの子どもをメインターゲットとしたキャラクターで、実写の着ぐるみドラマ、アニメーション、グッズ販売で展開しており、韓国国内のほか、イタリアやロシアなど22カ国に輸出している。日本市場への進出はまだであるが、これについては、「アニメーションマーケット発祥の国である日本に進出していきたい。今回のフェアで『HUTOS』を知ってもらい、売り込んでいきたい」と前向きに検討している。

★「SICAF 2009」も同時開催
 「ソウル キャラクター&ライセンシング フェア2009」では、「SICAF 2009(Seoul International Cartoon & Animation Festival 2009)」も同時開催された。SICAFはまんが展示会とアニメーション映画祭からなるイベントで、ソウル市による支援のもとソウルアニメーションセンターが主催する。ソウルCOEXで行われたのは、まんが中心の展示会で、アニメーション映画祭はシアターのある別会場で行われた。
主催団体のブースでは、『ヘチ』という韓国の伝説上の動物をモデルにした、ソウル市のイメージキャラクターのグッズが展示販売された。

★低年齢向けコンテンツに強み
 今回の展示では、全体的に2~8歳くらいまでの低年齢層向けの商品が多いという印象だった。
韓国政府の積極的なバックアップが、キャラクター産業やコンテンツ産業を活気づけているのか、企業には意欲があり、技術レベルも高く、国際的に進出しようとするパワーと勢いがある。KOCCAの支援も有効に活かしつつ、各社独自の強みを活かして挑戦を続け、ほぼ順調に国外へマーケットを広げている。
一方、商品の魅力としての“コンテンツ力”という面から見ると、オリジナリティやコンセプト固め、デザイン力などの不足を感じるところもあった。今回の取材で話を聞いた中では、この点に関して、「日本の人気作品のようなキャラクターやコンテンツを作りたい」という意見が多くあった。
 韓国国内で日本のコンテンツ作品の人気は高く、韓国のコミック市場(2007年で700億円)のうち70%を、アニメーション産業市場(同、300億円)のうち、70%以上を日本作品の翻訳版が占めており、残りの30%前後が自国作品や欧米などの輸入作品という。

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