IBC 2008 イノベーション賞受賞式情報①

2008.11.17 UP

3D映画ハンナ・モンタナ&マイリー・サイラス:のコンサートツアー:Best of Both Worlds ConcertがIBCイノベーション賞の最高賞である審査員賞を受賞

アムステルダム(オランダ)、2008年9月15日 — IBCイノベーション賞は審査員賞、コンテンツマネジメント部門の他、コンテンツクリエーション部門、コンテンツデリバリー部門があり、合計4つのプロジェクトが受賞の栄誉に輝きました。活気のあるIBCの審査対象がいかに幅広いかを示した。
賞は、話題のティーン歌手から、マルチプラットフォーム対応のコンテンツ配信まで、またスタジオの照明コストを削減するための身近なアイディアや、画面のHD解像度を16倍にするシステムなど、多様なプロジェクトに贈られた。
IBCイノベーション賞はコンテンツマネジメント部門の他、コンテンツクリエーション部門、コンテンツデリバリー部門、審査員賞があり、合計4つのプロジェクトが受賞の栄誉に輝きました。
IBCイノベーション賞は、技術的、商業的または創造へのチャレンジに革新的かつコスト対効果に優れたソリューションを実現し、受賞した各社と技術会社およびユーザー間の協力関係に対する評価に対して贈られる賞である。

■イノベーション賞の最高賞・審査員賞
3D映画(映像)はIBCでの話題の一つであった。イノベーション賞の最高賞である審査員賞には、今年2月公開され数々の記録を打ち立てた話題の3D映画「ハンナ・モンタナ&マイラー・サイラス:Best of Both Worlds Concert」が受賞した。

■イノベーション賞・コンテンツクリエーション部門
ハンナ・モンタナの映画はまた、ロサンジェルスのポストプロダクション会社であるフォトケム・フィルム&ビデオ社の技術をベースとするポストプロダクション・ワークフローに対し、コンテンツクリエーション賞も受賞した。これにより、フォトケム社は顧客であるウォルト・ディズニー・ピクチャーズ社の信じられない程の短期間で映画を完成させるという要求を満たすことができた。

フォトケム社のデジタル制作部長であるジョン・ニコラード氏は「ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ社が我々にこのプロジェクトを紹介してくれたのは全くの幸運でした。このプロジェクト推進では、Quantel社の3D技術を使って我々の制作システムに最近組み入れたばかりの技術がちょうどマッチングした。このスケールでの技術的チャレンジを伴うプロジェクトで仕事をする機会を得たことは非常に満足のいく経験でした」と述べた。

■イノベーション賞・コンテンツマネジメント部門
コンテンツマネジメント賞は、MICAH制作ワークフローに対するNBCユニバーサル社に贈られた。
技術協力会社である、DigitalRapids社とSigniant社と共同で開発したこのプロジェクトのおかげで、NBCはウェブ、ビデオ・オンデマンドおよびダウンロード販売(EST)を含む多様なプラットフォームにコンテンツを制作し配信することができた。
Rab Mukraj(NBC Universal社Digital Media Deliveryディレクター)は、「まず我々のMICAH制作ワークフローがIBCイノベーション賞を受賞したことを喜ばしく思います。我々のチームとDigital Rapids社そしてSigniant社との緊密なコラボレーションによって、シームレスなデジタルメディアの作業や仕事を格段に合理化でき、強力で高品質かつスケーラブルなインジェスト・エンコード・トランスコードのワークフローを生み出しました。NBC Universal社にはメディアの技術革新における豊富な歴史があり、そして本プロジェクトが世界中の仲間たちに広まることは非常に素晴らしいことで、誇りに思います。」と述べた。

■イノベーション賞・コンテンツデリバリー部門
コンテンツデリバリー部門で授賞式は音楽に戻った。2007年のLive Earth音楽公演の努力に対して制作・配信社であるコントロール・ルームに賞が贈られた。技術パートナーであるMSNインテルサット社、ロゼット・テクノロジー社、EVS、アカマイ社、インサイテッド・メディア社、ウインドウズ・メディアおよびクイックタイムと共同で開発されたシステムによりライブストリーミングと準リアルタイムのビデオ・オンデマンド・コンテンツがMSNのポータルに配信された。
このオンラインの歴史的な偉業である全世界的放送では、24時間の間に80時間を越えるコンテンツを処理することができるワークフロー環境において、システムでは20チャンネル以上のビデオサーバー取り込み、12チャンネルの送信と60台のエンコーダーが使われた。

コントロール・ルームのジョン・ゲイドン氏は「コントロール・ルームは、異常気象についての認識を高めるため世界7大陸から24時間のライブ・イベントを配信するという歴史的な技術的力作に対して2008年のIBCで認められて名誉に思っています」と述べた。

授賞式の最後にハンナ・モンタナ・チームの全員がイノベーション賞の審査員賞のためにステージに呼び戻された。今度は、3Dカメラシステムの世界をリードし音楽映画を撮影したPACEのトッド・コーガン氏を伴っていた。
コーガン氏は、「PACEはプロジェクトのあらゆるレベルでディズニーと共同で仕事をして3D内の水準を引き上げ、制作経験に革命を起こしたことを誇りに思っています。我々はIBCがハンナのプロジェクトにこの誉れ高い賞を贈ったことを喜んでいます」 とコメントした。
受賞後、ウォルト・ディズニー・スタジオ社の制作技術担当のハワード・ラック副社長は「IBCに特に感謝したい。というのは、実際この人たちに会ったのは去年のこの会場でのことでした。その時、Quantel社のスタッフの目を見て『このプロジェクトを行うのに1カ月私を支援してくれませんか』と言いましたが、その後、彼らはやる気まんまんでやってきて我々を実際に支援してくれたのです。そこで、IBCに感謝したいです」と述べた。

Quantel社のCEOであるレイ・クロス氏は「このように仲間に認められるのは大きな名誉です。このビジネスは、顧客と緊密に仕事をすることがすべてです。『ハンナ・モンタナ』プロジェクトをこんなに短い時間にこんな成功に導いた、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ社とそれに関与する皆様の創造的な関係はこの哲学を実践した良い例です」と述べた。

■高品質で革新的なエンターテインメント
IBCの最高栄誉賞である2008年IBC国際栄誉賞はハリウッドで最も評価の高いジェフリー・カッツェンバーグ氏に贈られた。氏はウォルト・ディズニー・スタジオの会長を務めていた時期に「ロジャーラビット」「ライオンキング」などの画期的な映画を制作した。
カッツェンバーグ氏は、その後ドリームワークスSKGの創立者のひとりとしても活躍している。SKGの3文字のなか、スティーブン・スピルバーグとデイヴィッド・ゲフィンの間のKが彼のイニシャルである。
ジェフリー・カッツェンバーグの指導のもとでドリームワークス・アニメーションはマダガスカル、シャーク・ティル、シュレック映画の3シリーズやカンフー・パンダなどで数多くの興行成功を収めた。シュレック、ウォレスとグルミット・野菜畑で大ピンチ!はそれぞれ最も優れた長編アニメ映画としてオスカーを受賞している。

IBC理事会の議長を務めるピーター・オーウェン氏は「IBCは今日では、電子メディア産業の、技術的、創造的および業務的側面という風にあらゆる局面に及んでいて、我々は常に、技術は可能性のある優れたテレビと映画をつくる人たちを支援するために存在するということを思い出すよう努めています」と述べた。彼はさらに 「我々が贈る最高の賞である国際栄誉賞は、新しく想像力豊かな方法でポピュラーな物語を実現するのを助けるために、現在と未来の技術をとらえ、それを利用する先見の明のある人に贈られます。ジェフリー・カッツェンバーグ氏がこの賞を受けたことを喜んでいます」と述べた。

一方カッツェンバーグ氏は、賞を受けながら 「IBC国際栄誉賞受賞者リストのなかに入っていることに感激しています。
ドリームワークス・アニメーションでは、高品質で革新的なエンターテインメントを世界中の家庭の視聴者のために制作し、配信することを志していますので、IBCにこの分野での我々の努力を認めていただき非常にありがたく思っています」と述べた。
「3Dの年に入って、映画産業において今ほどダイナミックで刺激的な時間を経験したことがありません。この名誉に感謝します。」

授賞式と同時に、南カリフォルニア大学 映画芸術学部のエリザベス・ディリー学部長とジェフリー・カッツェンバーグ氏とのインタビューを楽しむために、熱狂的な参列者たちがIBCの大型スクリーンに集まった。
彼らのロサンジェルスでの会話は高画質3D映像で捕らえられ、ライブの3D高画質リンクを介してアムステルダムに配信された。これが初めてライブで大西洋を横断するリンクが3Dインタビューのために使われたと思われる。このインタビューは、大衆エンターテインメントを創り出すために最新の技術を駆使する関係者へのIBCからの贈り物の一部である。

■注目を集めた、環境にやさしい照明
ハンナ・モンタナ&マイリー・サイラス:Best of Both Worlds Concertのポストプロダクション以外にコンテンツ制作部門のIBCイノベーション賞の最終候補者リストに載ったプロジェクトはスタジオの照明における話が注目された。

フロリダ州ウエストパームビーチにあるCBS系列の放送局であるWPEC-TVでは新しいスタジオにVitecグループの会社であるライトパネルズ社(11.G78)により供給された全LED照明装置が取り付けられた。おそらく世界で最初の全LEDスタジオはHDへの移行の一部であったので、HDカメラの高精細な眼にはっきりと鮮明な画像を届け、かつタレントが美しく映るように慎重にライティングを行った。
結果は芸術的にも成功であったが、放送局の環境対策において劇的な改良でもあった。従来のタングステン照明ではスタジオの消費電力は52kWであったが、LED照明ではわずか3kWであった。この直接的な省エネ以外に空調電力量が削減され、電球の寿命がきたときの有害廃棄物の処分の必要もなくなるなど多大な貢献があった。
ライトパネルズ社のLEDソリューションは、HD品質を損ねることなく環境に対し真の利益をもたらすことから、IBCイノベーション賞の価値のある最終候補者であった。

■ファイルの追跡
今年のIBCイノベーション賞のコンテンツマネジメント部門で最終候補者リストに残ったプロジェクトは3つあった。それぞれは、非常に異なった方法で、真のワークフローの利益をもたらすためにテープレス環境に移行しそれを使用するというものであった。

・Dogan TVはトルコ最大の民間放送局である。その要件は、収録から放映まで完全にテープレスの制作システムを構築することであった。Cinegy社(7.A43)が提供したシステムは、非占有的(proprietary)なITハードウエアと標準のソフトウエアを使ってそれを実現している。
Dogan TVのHasan Kýraðý氏は「プロジェクトを始めたときには達成すべき目標がいくつかありましたが、今振り返って見ると、はるかに期待以上のものが得られたことが分かります。2008年のIBCイノベーション賞の最終候補者リストに載ったことは、我々の仕事に対する大いなる評価を示しています」と述べた。

・Mediasetはイタリアの大手放送事業者のひとつであり、イタリアのサッカー放送の本家とみなされている。ネットワーク送信および、コンテンツをより速い処理で記録し、まとめ、編集し、配信するリアルタイム編集能力を改善する必要があった。アセットの再利用を助けるためにアクセス可能な保存資料を増やす必要もあった。
このソリューションはQuantum社(7.629)により、複数箇所で同時編集を可能にするとともに、費用効果の高いニアライン・ストレージを提供するStorNext技術を使って提供された。今ではMediasetは、15秒以内に放送に使えるクリップとともに、プロダクション・バリューを損なうことなくサッカーの放送をずっと速くターンアラウンド処理することができる。

これらのプロジェクトは両方とも、真の実際のニーズを満たすために実践的な技術の革新的な使い方をしている点で審査員に感銘を与えた。しかし、最終的には、コンテンツが自動的にトランスコード処理されサイトからサイトへ転送される、全社的な、マルチセンター、マルチフォーマットのプロダクション・ワークフローを構築するためにデジタル・ラピッヅ社(7.641)とSigniant社(IP201)と共同で仕事をしたNBCユニバーサル社に贈られた。

■オンデマンド配信
IBCのマイケル・ラムレイ氏を議長とする、世界中の大手の業界雑誌の編集者からなる一次審査会で、IBCイノベーション賞のデリバリー部門の多くの候補者が4つの最終候補者にしぼられた。それぞれは、異なった方法で、視聴者の要求、すなわち彼らの欲するコンテンツを彼らが欲するところで、彼らが欲するときに手に入れるという要求を反映している。

*Createcna社(7.647)は2006年のIBCイノベーション賞の受賞者であったが、今年はF1レースに関してインタラクティブ・サービスを3G携帯電話に配信することに対する独創的なソリューションを携えて戻ってきた。それは異なった視点をもっていて、視聴者に進行中のレースとより密接な関係をもたらすソリュウーションであった。

*Air TV、Boomerang TV、モビスター・スペインとボーダフォン・スペインにより使われてきたこのサービスを使って、Createcna社は、ライブ・イベントに関して特別プロダクション・サービスを携帯電話に配信する。これは3Gサービスなので2方向であり、インタラクションとデータのダウンロードを画像と同時に提供する。5回のF1レースにおいて200,000を超える接続が報告された。

*Verimatrix社(4.B45)はIOL Netcom社に配信サービス、すなわち300万以上の加入者へのアクセスを有する、インドで最初のIPベースのオンデマンド・テレビ・サービスを構築した。Verimatrix社のViewRight PC Playerを使ってIOLの加入者はブロードバンドを介してコンピュータに送られてきた保護されたプレミアム・コンテンツを見ることができ、これによりテレビで視聴可能なものと同じコンテンツ・ライブラリーにアクセスできる実用的な第2のスクリーンをつくり出すことだった。
IOL Netcom社のSiddhartha Srivastava社長は「多様なスクリーンにプレミアム・オンデマンド・コンテンツを提供する我々の能力は我々の顧客に『何でも、いつでも、どこでも』という我々のビジョンに基づいて配信することへの大きな一歩です。IBCイノベーション賞にノミネートされたことは、大きな名誉であり、IOL Netcomのサービスのイノベーションについての強固な証です」と述べた。
*Multimedia Polska社は600,000を超える加入者にケーブルとIPTV両方を介して放送している。この会社は、Harmonic社(1.C61)が提供した2つのプラットフォームに対して共通のシステムを使ってビデオ・オンデマンドを開始したポーランドで最初の事業者である。このソリューションには、国中で20あるノード間の人気に基づくコンテンツのダイナミックな配信のためのインテリジェントなアセットマネージメントが含まれる。
Multimedia Polska社のVODプロジェクト・マネージャーであるTomasz Dybciak氏は「IBC賞の委員会に認められるということは、この画期的なVODをポーランドの加入者にもたらすためにチーム全員が行った努力と献身の証です。HFCネットワークを介してケーブル加入者に、DSLネットワークを介してIPTV加入者に同時にサービスを提供するという我々のハイブリッドのネットワークアーキテクチャーのニーズを支えることは、Harmonic社独自のオンデマンド・ソリューションなしには不可能でした」と述べた。

しかしながら、審査員の最終決定は、今までで最も大掛かりな音楽イベントのひとつであるLive Earth 2007のライブでインタラクティブな視聴を提供するために、複雑なシステムを技術パートナーであるMSN、インテルサット社(1.C71)、ロゼット・テクノロジー社(7.J11)、EVS(8.B90)、アカマイ社(6.C28)、インサイテッド・メディア社、ウィンドウズ・メディアおよびクイックタイムと組み合わせたコントロール・ルームに賞を贈られるというものであった。

異常気象に関して注意を喚起する世界7大陸で開催された24時間コンサートは、コントロール・ルームがプロデュースし、80時間を越えるコンテンツはライブストリーミングとダウンロードのためにオンライン配信された。

*IBCについて
1967に設立されたIBCは、地上放送を起源として発展し、世界中のエンターテインメントおよびニュース・コンテンツの制作、管理および配信に関係する専門家にとって主要なイベントとなった。展示会は、すべての大手の機器製造業者を含む1400社を超える出展者を引きつける。IBCには毎年130ヶ国以上から最新技術を見ようと46,000人以上の来場者が訪れる。世界的に有名なIBC会議は、すべてのホットな制作、管理および技術問題に取り組んでいる。詳細、統計データおよび情報はwww.ibc.orgをご覧ください。

*国際栄誉賞について
以前IBCジョン・タッカー賞として知られていたIBC国際栄誉賞は、毎年、メディア技術のイノベーション、伝送または応用の優秀性を実証した個人、団体または組織に贈られる。この賞は、エンターテインメント・コンテンツの制作・管理・配信に関する、IBCの真髄を反映している。

【Inter BEEニュースセンター】
写真・・・IBC国際栄誉賞受賞のハリウッドで最も評価の高いジェフリー・カッツェンバーグ氏

#interbee2019

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