求められる速さと正確性 NECのVoiceGraphy

2008.11.21 UP

 今日のテレビ報道に求められるのは、ニュースの“速さ”と、“正確性”である。
これまでは、テレビは速報性が重視され、ニュースに登場する人々の会見や、インタビューなどをすぐにOAに流していた。いわゆる「撮って出し」である。
一方、昨今ニュースで議員や企業の会見などに字幕スーパーが入ることが増えている。これは、日本人のライフスタイルが多様化し、真剣にテレビを見なくなった(“ナガラ族”が増えた)のと、高齢化社会を迎え、文字でもニュースを認識しやすくするためである。音だけでなく、目でもニュースを把握してもらおうという、放送局側のサービスである。

 ただ、字幕スーパーを入れる作業は実は大変な労力を要する。何度も取材したテープを聞き直しながら、テロップ入れを行うからである。他局よりも早くニュースを流そうとすると「誤植」と言われる間違った文字をインポーズすることも多々ある。結局後で訂正とお詫びを入れなければならないが、かといって石橋を叩きすぎて他局よりも後にニュースを流すようなら局内からの非難も浴びかねない。

 この矛盾した作業を大きく軽減してくれるシステムをNECのブースで見つけた。「VoiceGraphy」がそれである。これは音声認識ソリューションで、簡単に言うと、音声を自動で文字に変換してくれるシステムなのだ。

 これまでも音声を文字変換してくれるシステムは存在したが、“誤変換”が多く、聞き返す作業が必要であった。「友達以上恋人以下」が「友達異常恋人イカ」に、「ソフト部」が「祖父飛ぶ」、「今日中に返信します」が「凶獣に変身します」など、キリがない。だが「VoiceGraphy」はNECの担当者曰く、「理想的な利用シーンでは90%を超える正確性を持っている」とのこと。さらに、「えー」「あのー」など、不要語を自動で削除してくれるのである。また、機械が“不安”と思う単語は赤で表示されるので、放送直前の原稿作成の負荷を大きく軽減できるのである。

 現段階では「VoiceGraphy」は議会や会見など、明確な発言がされるシーンで威力を発揮し、囲み取材など周囲に雑音が多い場所では認識の精度が低下するが、それでも作業の効率化には欠かせない。

 ニュースを受け取る側に間違った情報を伝えないためにも、このシステムの必要性を感じた。(*「VoiceGraphy」はNECソフトウェア北海道http://dnes.jp/ss/voicesolution/index.htmlの製品です)

【Inter BEEニュースセンター】

◎写真
NECブースで展示される「VoiceGraphy」

#interbee2019

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