日本システムウエア ジェスチャー認識装置 SDKで提供

2010.5.14 UP

ジェスチャー認識装置の説明パネル
手を広げてモグラを捕まえるデモ

手を広げてモグラを捕まえるデモ

指の動きで画像の拡大・縮小も可能

指の動きで画像の拡大・縮小も可能

カルーセル型の写真選択インタフェース

カルーセル型の写真選択インタフェース

可視光対応の製品も参考出展した

可視光対応の製品も参考出展した

■赤外線ストロボ搭載のUSBカメラでジェスチャー認識

 日本システムウエア(NSW)は、5月12〜14日に、東京ビッグサイトで開催された「第13回組み込みシステム開発技術展(ESEC)」で、ジェスチャー認識のインタフェースを参考出展した。赤外線ストロボを搭載したUSBカメラで人の手・指の動きを読み取り、複数の指の動きに応じて画面をコントロールすることができる。同社の「NSWジェスチャー認識」技術を用いている。
 通常のカメラに赤外線ストロボを付ければ、可視光の画像も同時に撮れるという。


■じゃんけんや「もぐらつかみ」などをアプリでデモ

 会場のデモでは、モニター上に映し出されたロボットのCGキャラクターとじゃんけんをするアプリケーションや、ジェスチャーによって操作するグラフィック・ユーザー・インタフェース(GUI)を用いて、地面に穴の空いた画像から顔を出したモグラをつかまえるといったゲームが紹介されていた。

 これは「ポインティング機能」によって、手の動きに応じて画面上にある手の位置を動かし、「指の本数認識機能」によって、手を広げているかどうかを判断し、それにあわせて画面上の手のひらを広げたり握ったりすることで、いくつかの穴からランダムに顔を出すモグラをつかまえて、放り投げることができる。
 また、アーカイブの画像をカルーセル状のGUIで表示し、手で回転させるジェスチャーによってカルーセルを回転させて画像を探すアプリケーション例もデモした。


■アルゴリズムの簡素化で高い応答速度を実現

 同システムの物体検出距離は、赤外線ストロボを用いた場合、約30cmから50cm。QQVGA(160×120)の解像度で形状を認識し、30fpsで動きを認識している。同社が開発した検出技術によって、背後で動くものの影響を受けにくくなっているため、検出した手や指の動きに応じた動作のレスポンスが比較的早い。アルゴリズムを簡素化することで、応答速度を高めリアルタイム処理を実現している点が特徴だ。


■光学カメラによる可視光によるジェスチャー認識で検出距離3mに

 NSWブースでは、このほか、光学カメラの映像を用いたジェスチャー認識も参考出展した。通常の家庭用ビデオカメラからの映像から色、動き、形状を認識し、手・指の形状・動きを抽出している。同社のプロダクトソリューション事業本部プラットフォームソリューション事業部の村山厚二氏は、「赤外線を使ったこのシステムのカメラでは、検出の距離が50cm程度までだったが、光学カメラ対応にすることで、3m程度の検出距離でも認識が可能になった」と話す。

 用途は、赤外線使用の場合と、光学カメラを使用した場合とで異なる。「赤外線使用のカメラは、パソコンや携帯電話などでの利用が主だが、検出距離を伸ばすことによって、これまでとは異なった用途が可能になった。リビングルームにおけるテレビなどAV装置の操作や、自動車の車内での各種コントロール、あるいは、屋外の公共スペースでのデジタルサイネージでの利用など、すでに多くの引き合いがある」(村山氏)


■SDKを30万円で提供

 NSWは、昨年末からSDKを30万円で提供している。また今回から、このSDKに、ジェスチャー認識の試作プログラムを1本開発するサービスをセットにした販売も開始した。可視光版は現在開発中で、現在のところ、SDKは赤外線併用版のみ。可視光版が完成した場合の価格設定は未定。
 エンジンは、Cでコーディングしており、任意のプラットフォームに移植可能。
「認識させる内容によっては、CPUパワーが必要」という。ブースは、可視光版として、ルネサスエレクトロニクスのプロセッサー「IMAPCAR2」に搭載したボードでデモを行っていた。現在、可視光版での実績は同製品のみだが、ほかに可視光・赤外線併用版として、ARMアーキテクチャーの「ARM9 400MHz」、「Cortex-8 600MHz」、「Cortex-A8 800MHz」に搭載可能という。


■NHKアートがデモ用コンテンツを制作

 今回のデモ展示のコンテンツ制作の一部を担当した(株)NHKアートは、NSWのジェスチャー認識インタフェースのSDKを、立体3Dデジタル映像を含めた訴求力を持った双方型デジタルサイネージコンテンツの制作に活用していくという。同社取締役の國重静司氏は、次のように話す。
「フルデジタル時代を目前に控え、多様な映像コンテンツをユビキタスな環境でサービスするクロスメディア展開が活発化している。そのキラーコンテンツの一つである、双方向型のコンテンツを実現するための重要な要素技術として、ジェスチャー認識が注目されている。こうしたコンテンツの制作にあたっては、NSWのSDKのように安価で高機能な開発環境が大きな役割を果たすと考えており、活用していきたい」

手を広げてモグラを捕まえるデモ

手を広げてモグラを捕まえるデモ

指の動きで画像の拡大・縮小も可能

指の動きで画像の拡大・縮小も可能

カルーセル型の写真選択インタフェース

カルーセル型の写真選択インタフェース

可視光対応の製品も参考出展した

可視光対応の製品も参考出展した

#interbee2019

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